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結婚式・披露宴で飾られる花。新郎新婦が思いを込めて選び、スタッフが最高の状態で会場に飾りますが、式が終われば、わずか数時間で廃棄されることが少なくありません。そこで、その花を末永く楽しんでもらおうと、キャンドルに加工して引き出物として贈る新たなサービスが、東京などのホテルで始まりました。
所沢支局/高本純一記者
きれいに飾られる花も祝福
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この新たなサービスを利用した、都内に住む伊藤翔平さん、優香さんの結婚披露宴が、1月下旬、東京・港区のホテルで開かれました。
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会場に飾られた花は、優香さんが大好きなディズニー作品の世界観がイメージされています。
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式を開催するにあたり、担当のウエディングプランナーから、新たなサービスの提案を受けた伊藤さん夫婦。「来てくれた友人にも残る、すてきな取り組み」と感じ、利用することを決めました。
新たなサービス なぜ企画?
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新たなサービスを発案したのは、西武ホールディングスの社員、滝口遥さん(26)です。
滝口さんは、2019年12月から2年あまり、系列のホテルでウエディングプランナーをしました。そこで、結婚式で飾る花にも、新郎新婦の思い入れがあることを知ったといいます。
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「式に向けて4か月程度、新郎新婦と打ち合わせを重ねていくなかで、お花に対しても、例えば『この花に思い出があるから、この花を入れてもらいたい』と、こだわりを持って選んでいるので、会場のお花にも思い入れが詰まっていることを常々、感じていました。結婚式は、思い出だけになりがちなので、形に残すものがあれば、新郎新婦も喜ぶのではないかと思いました」
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そんな結婚式や披露宴で飾られる花は、見頃としては最高の状態で飾られます。しかし、かつては、持ち帰られずに残った花の多くは廃棄されてきたといいます。また、たとえ持ち帰ってもらっても、枯れてしまうと、廃棄されます。
その花を少しでも長く楽しんでもらうにはどうすればいいのか。滝口さんは考えたといいます。
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去年春、新規事業を企画する部署に異動した滝口さん。結婚式や披露宴で飾った花を、ドライフラワーにしてキャンドルに加工し、引き出物として贈ることを思いつきました。
さらに、障害のある人たちの新たな働く場にもしたいと、精神障害のある人たちが通う、さいたま市の就労支援施設にも協力してもらうことにしました。
滝口さんは、キャンドルづくりのアーティストから作り方を教わったうえで、施設に通う人たちといっしょに何度も試作品を作って、商品化までこぎつけました。
実証実験としてサービスの提供開始
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そして去年10月から、系列の5か所のホテルで試験的に販売を開始。その後、伊藤さん夫婦から初めて注文が入ったのです。
滝口さんは披露宴会場を下見して、会場内を撮影しながら、どうやってこの雰囲気をキャンドルに落とし込むか、イメージを膨らませていました。
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式から10日後の1月末。滝口さんは埼玉県所沢市で、施設に通う3人といっしょにキャンドルを制作しました。
目指したのは、披露宴の会場でも意識されていた、新婦の優香さんの好きなディズニー作品、「塔の上のラプンツェル」のイメージです。
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ラプンツェルの髪の色や衣装をイメージして、黄色と紫色に染めたドライフラワーを用意しました。
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色や大きさなどを考えながら、キャンドルの型にドライフラワーをちりばめたあと、気泡が入らないようにゆっくりとろうを流し込みます。
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温度は90度前後。施行錯誤した結果、ろうの温度が高すぎると、花の色が変わってしまう一方、低すぎると、ろうを表面がでこぼこになることがわかったということです。仕上がりの出来具合に直結するため、ろうの温度管理には細心の注意を払っていました。
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3時間ほどでかたまり、ろうの器にLED電球が入るランタンタイプのキャンドルが完成しました。
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「結婚式のイメージに沿うように心がけました。このキャンドルを通して結婚式の思い出も共有してもらえたらといいと思います」
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「ていねいに作りましたので、彩りの良さを感じてもらえたらと思います」
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「会場の雰囲気がそのまま再現されているキャンドルを作ることができたと思います。中の花びらは、時間が経つとアンティークな色合いになるので、結婚式の思い出とともに、月日の流れも楽しんでいただければと思います」
一足早く完成したキャンドルを新郎新婦に
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結婚式から3週間後、出席者の手元に届くより一足早く、完成したキャンドルが伊藤さん夫婦に手渡されました。滝口さんも目の前で、2人の反応を見ることができました。
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「すごくかわいいし、思っていたよりも、花の色が鮮やかで驚きました。式の当日はあまりお花を見ることができなかったので、改めて見られてうれしいです。一生、大事にしたいです」
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「目の前で、喜ぶ姿を見ることができてすごくうれしかったです。また、喜んでもらえる商品を作ることができたと実感できました。今後も、引き出物として選んでもらえるように、研究を重ねて、クオリティーを高めていきたいです」
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このサービスはことし6月まで販売し、どのくらいニーズがあるかや利用者の声を聞いたりして、今後、本格的に導入するか判断したいとしています。
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