6月29日、オランダ国防省は先週の木曜日に海軍のフリゲート「エファーツェン」が黒海のクリミア半島の南東の公海上でロシア戦闘機の威嚇飛行を受けたと発表しました。6月24日になるので、イギリス海軍駆逐艦「ディフェンダー」警告爆撃事件の翌日になります。
「エファーツェン」に対しては現地時間の午後3時30分から午後8時30分に掛けて15~20機のロシア戦闘機による嫌がらせの模擬襲撃飛行が続けられ、それらは爆弾やミサイルを搭載していた上に、電子妨害まで仕掛けてきたと発表されています。電子妨害攻撃を受けたと発表されるのは異例なことです。
- ロシア軍Su-30戦闘機の後部座席から撮影したオランダ海軍フリゲート「エファーツェン」。事件当日6月24日の映像。
なおロシア側はこの件に関して「オランダ艦がケルチ海峡(黒海とアゾフ海の海峡)の領海内に向かおうとしたのでSu-30戦闘機とSu-24攻撃機を派遣して阻止した」と説明しています。あくまで「安全な飛行」だったと説明しています。
エファーツェンはクリミア北西のオデッサからクリミア南東の海域まで進出し、クリミア北東のアゾフ海を隔てるケルチ海峡に向かう素振りを見せて、ロシアのこの反応を引き出したことになります。
こうしてイギリス海軍空母打撃群CSG21の極東遠征の道中のついでに計画されたウクライナ情勢を踏まえた黒海でのロシア牽制作戦は、分派された2隻の艦艇(英ディフェンダー、蘭エファーツェン)に対してロシアは激しい反応を示しました。
ロシアはクリミア直ぐ沖合いの領海内を無害通航した英ディフェンダーに対しては警告射撃と警告爆撃を行い、遠く離れて公海上を航行した蘭エファーツェンに対しても威嚇飛行を行っています。
ウクライナのオデッサを出港した両艦はその後に別行動を取っており、ロシアとの「事件」の後に現在はディフェンダーはグルジア(ジョージア)のバトゥミに入港、エファーツェンはルーマニアのコンスタンツァに入港。数日後の来月早々に出港し黒海を出て地中海の空母クイーン・エリザベスと合流し、極東に向けた遠征を再開する予定です。
- 黄色線(エファーツェン推定航路):オデッサ→クリミア南東→コンスタンツァ
- 橙色線(ディフェンダー推定航路):オデッサ→セヴァストポリ沖→バトゥミ
Russische gevechtsvliegtuigen veroorzaken onveilige situaties bij Zr.Ms. Evertsen (ロシアの戦闘機が軍艦エファーツェンの付近で安全ではない状況を引き起こす:オランダ国防省)
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