米与党・共和党の上院議員11人が2日、野党・民主党のジョー・バイデン次期大統領が勝ったという大統領選の結果に疑義があると主張し、6日に連邦議会で予定される選挙人団投票結果の開票と認定に反対すると声明を出した。
テッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)を筆頭に11人の現職と新人議員たちは、これまで立証されていない選挙不正の主張を検証するため、議会が委員会を設置するよう求め、そのため選挙結果の最終確定を10日延期するよう主張している。
共和党からはほかに共和党上院議員1人と約140人の下院議員が、バイデン氏当選の認定に反対する意向を示している。
下院は民主党が多数を占めるのに加え、共和党が僅差で多数の上院でもミッチ・マコネル院内総務など共和党幹部をはじめ多くの共和党議員はバイデン氏勝利を認めると表明している。このため、一部の共和党議員による動きは、選挙結果を覆すことにはならないとみられている。
昨年11月3日の大統領選で敗れたドナルド・トランプ米大統領は、自分の敗北を認めず、大規模な選挙不正があったと主張を繰り返している。トランプ陣営や支持者は各地の裁判所に選挙不正を訴えたものの、相次ぎ棄却されている。
大統領選ではバイデン氏が約8100万票、トランプ氏が7400万票を獲得。この全国的な票数は直接、大統領を決めるものではなく、各州での一般投票に沿って各州に割り当てられた選挙人(定数538)が12月14日に投票した。その結果、一般投票に沿った形で、バイデン氏が306票、トランプ氏が232票を得て、バイデン氏の勝利が決まった。
1月6日に連邦議会上下両院合同会議でこの選挙人投票の結果を開票し、議会が認定するのは憲法上の手続きで、議会が選挙結果をそのまま認めるのが通常の流れだが、今回はトランプ氏を支持する議員たちがこの場で、選挙人の投票に異議を唱え、選挙結果を争おうとしている。
大統領就任式は合衆国憲法で、選挙翌年の1月20日正午からと定められている。
トランプ派議員たちの要望は
クルーズ上院議員をはじめとする11人は声明で、昨年11月の選挙は「不正投票や、選挙法の違反もしくは選挙法の不徹底など、投票において様々な不規則行動が前例のないほどあった」と主張。1877年に与野党両党が3州で共に勝利を主張したため、超党派の調査委員会が設置されことを先例に、「異議が唱えられている州で10日間かけて投票用紙を緊急監査」するよう求めた。
「この監査が終了後、個々の州は調査委員会の結論を精査し、必要とあれば投票結果の変更を認定するため、州議会の臨時会を招集することができる」と、議員たちは述べた。
ただし、議員たちは自分たちの呼びかけはおそらく成功しないと、声明で認めている。
「私たちは世間知らずの能天気ではない。民主党議員のほとんどもしくは全員が、そして相当数の共和党議員が、これに賛成しないのは十分予想している」と、クルーズ議員たちは書いている。
クルーズ議員たちに先駆けて、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員(ミズーリ州)も、不正選挙の疑いを理由に6日にはバイデン氏当選に異議を唱える意向を表明している。
クルーズ議員は2016年に共和党の大統領選予備選でトランプ氏と争った。BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、クルーズ議員もホーリー議員も今後、大統領選への出馬を視野に入れていると指摘する。
一方、民主党幹部のチャック・シューマー上院院内総務は「テッド・クルーズの書簡への返事」として、「ジョー・バイデンとカマラ・ハリスはあと18日で、合衆国の大統領と副大統領になる」とツイートした。
共和党内の反応
さらに、ロムニー氏は「連邦議会の一部によるこの短慮な取り組みに加え、大統領は自分の支持者に対して、議会が本件を審議し決定する日に連邦議会議事堂に集まるよう呼びかけている。これは騒乱や、さらにはもっとひどい事態につながる可能性が予想される」と指摘。「世界で最も偉大な民主国家でこのようなことを目にするなど、想像しようもなかった。野心はこれほどまでに、原理原則を覆い隠してしまったのか?」と書いた。
一方で、米CNNなどによると、上院議長でもあるマイク・ペンス副大統領のマーク・ショート首席補佐官は、「前回選挙における不正や不規則行動について、数百万人のアメリカ人と同様にペンス副大統領も懸念している」とコメントを発表。「上下両院の議員が自分たちの法律上の権限を活用し、1月6日に連邦議会とアメリカ国民の前で異議を唱え、証拠を提示しようとするのを歓迎する」と述べた。
ペンス副大統領に対しては、共和党のルイ・ゴーマート下院議員(テキサス州選出)とアリゾナ州の共和党員たちが、テキサス東部地区連邦地裁に対して、ペンス氏は6日に上院議長として選挙人団の投票結果を退けるべきだと主張し、提訴していた。ペンス氏は法廷に、訴えを退けるよう要請。連邦地裁は1月1日、議員が原告適格の要件を欠いているとして訴えを却下した。担当判事は、トランプ大統領に指名され就任した。
ゴーマート議員らの訴えは2日、連邦控訴裁にも退けられた。担当判事たちはロナルド・レーガン元大統領とトランプ大統領に指名されていた。
これに先立ち、共和党幹部のマコネル上院院内総務は昨年12月15日、選挙人団の投票結果を受けて、上院本会議でバイデン次期大統領とカマラ・ハリス次期副大統領に祝意を述べた。さらに、共和党議員団には、選挙人団の投票結果を受け入れるよう求めている。
上院共和党のジョン・スーン院内幹事も、投票結果に異議を唱えて採決に臨んでも「ぼろぼろの犬のように負ける」のは目に見えており、「最終的な結果」が明らかなのだから意味がないと警告している。
議会でどうなるのか
選挙人団の投票結果が1月6日に連邦議会の上下両院合同会議で開票され、勝者が最終的に宣言される段取りは、合衆国憲法で決まっている。通常は手続きに過ぎず、上院議長でもある副大統領が、次期大統領を正式にここで発表していた。
この選挙人団の投票結果について、上院と下院の双方の議員が異議を申し立てた場合は、2時間を上限に審議し、採決することになっている。各州の選挙人団投票の結果を退けるには、両院の合意が必要となる。
連邦下院は現在、民主党が多数派。共和党が僅差で多数の上院でも、マコネル院内総務をはじめ複数の共和党議員がバイデン氏勝利を認め、異議を唱えない姿勢を明示している。それだけに、連邦議会は選挙人団投票の結果を通常通り承認する見通し。
しかし、下院では約140人の共和党議員が異議を申し立てる予定なだけに、6日に選挙人団の投票結果について異例の審議と採決が行われるのは、ほぼ確実な情勢になっている。
連邦議会が選挙人団の投票結果に反対するのはこれが初めてではないが、これほどの人数の議員が反対するのは約150年ぶり。「大統領職に留まろうとするトランプ氏の焦土作戦でさらに悪化したアメリカ政治の党派対立は、そうそう消えそうにない」と、ザーカー記者は指摘している。
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