TEXT●安藤眞(ANDO Makoto)
トヨタ・スポーツ800「シリーズハイブリッドのエコスポーツカーはいかが?」
ご存じ“ヨタ8”。1965年生まれの2ドアスポーツクーペだ。全長は3580mm、全幅は1465mm、全高1175mmの小さなボディに、パブリカに搭載されていた空冷水平対向2気筒の790ccエンジンを搭載。最高出力は45ps、最大トルクは6.8kg-mと、当時でも「並み」だったが、ホンダのSシリーズより100kg以上軽い580kgの車重と、Cd値0.35という当時としては極小の空力ボディで、レースでは幾たびも名勝負を演じた。
さすがに現代の技術を持ってしても空冷では熱効率的に厳しいので、水冷にせざるを得ないと思うが、水平対向2気筒は死守したい。何なら対向2ピストンエンジンにして発電専用にし、後輪をモーターで駆動するシリーズ式HVにしてしまうという方法もある。HVでは重くなってヨタ8らしさがなくなってしまうかも知れないが、ヨタ8は77年にガスタービンエンジンで発電するシリーズ式HVをモーターショーに出展しており、その再来モデルに位置づけるのもありではないか。
スズキ・ツイン「早すぎたマイクロコミューター。現代の欧州ならマーケットあり!?」
2003年から2年間、販売されていたマイクロコミューター。全幅こそ軽自動車枠いっぱいの1475mmあったが、全長は2735mmと極端に短い2シーター車だった。
驚かされるのは、この時代にハイブリッド車も用意していたこと。しかもISG式のマイクロハイブリッドではなく、エンジンとトランスミッションの間にモーターを挟んだパラレル式のシステムを採用。電源電圧は192Vと、けっこう本格的なものだった。
ただしモーター出力は5kW(6.8ps)しかなく、バッテリーのベースはオートバイ用の鉛電池。これを8個1モジュールとして2モジュール搭載するという大胆な構成を採用し、コストを抑制。販売価格は129〜139万円と、今なら「安い!」と思える価格だった。燃費は10・15モードで34km/L。
これを、バッテリー性能が飛躍的に進化した現代技術で蘇らせれば、実力で34km/Lぐらい走るようにできるはず。ハイブリッドシステムには、軽量なAGSと組み合わせたものをスズキは持っている。これを軽自動車用に仕立て直せば、将来的に役に立つ日はきっと来るはず。モーター出力は10kWしかないが、ツインなら十分に走るだろう。
ただし日本では、2名しか乗れないことに理解が得られないかも知れない。EV仕様も用意して、欧州メインの戦略で売れば、もしかすると化けるかも知れない。
いすゞ・ビッグホーン(UBS55型)「道具であることを最優先したクルマが現代にあってもいい」
これは僕が実際に設計に携わり、所有もしていたクルマ。何が良いかといえば、そのパッケージング。全長4470mm×全幅1650mm×全高1815mmとスマートクルマで、狭い路地でも林道でも、躊躇なく入って行けた。
サイズ感としては、全高を除いてダイハツ・ロッキーのラゲッジスペースを50cm伸ばしたイメージだが、この荷役性が抜群。大人4人分のキャンプ道具とファルトボート(折りたたみ式カヌー)4艇+4名分のキャンプ道具が収まった。しかも、サドル高が1m弱あるロードバイクが車輪を外さずに真っ直ぐ載せられた(ハンドルを切る必要はあった)。周辺視界も抜群で、縦長のドアミラーには後輪の接地点が写ったため、駐車時でも極悪路でも、手足のように扱うことができた。
今から蘇らせるなら、欠点を自覚していたフロントのダブルウィッシュボーンサスのジオメトリーを修正する。リーフ式のリヤサスは、UBS69型のセンター4リンクを移植しよう。2.7L直噴ターボだったエンジンは、今なら2.0LのVGターボで同等以上の出力が出せるはず。バイオディーゼルで走らせればカーボンニュートラルだ!
昨今は空力性能やらスタイリッシュさを追求するSUVばかりになってしまったが、UBS55型ビッグホーンのように、「道具であること」を最優先したクルマが1台ぐらいあっても良いのではないかと思う。
からの記事と詳細 ( 復活希望! 現代の技術でリバイバルしたら絶対に欲しい3台 ヨタ8、ツイン、そして…… - MotorFan[モーターファン] )
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