50年以上続くニッポン放送のご長寿ラジオ番組「テレフォン人生相談」。番組はいつも、パーソナリティを務める加藤諦三氏(83)のこんなメッセージから始まる。
《変えられる事は変える努力をしましょう。変えられない事は、そのまま受け入れましょう。起きてしまった事を嘆いているよりも、これから出来る事をみんなで一緒に考えましょう》
人生相談は、“社会問題を写す鏡”である。社会学者の加藤氏は、不倫、不登校、人間関係に相続問題など、半世紀に渡ってジャンルを問わず悩める人々の相談に寄り添ってきた。東京大学教養学部卒で、現在は早稲田大学の名誉教授で日本精神衛生学会の顧問を務める。
若者から老人まで、悩みを抱えたリスナーの回答者としてアドバイスを送り、時には手厳しい意見を指摘してきた。昭和、平成、令和と、激動の時代の変化とともに人の悩みと向き合ってきた加藤氏。
この50年間で人の悩みは変わったのか、それとも変わっていないのか。現代人の抱える悩みについて聞いた――。
◆ ◆ ◆
――50年以上にわたって日本人の悩みと向き合ってこられた加藤先生ですが、50年前と現在でどんな変化があるのですか?
加藤 僕が「テレフォン人生相談」のパーソナリティを始めた1970年代から2021年まで、実は悩みの本質が変化したという感覚は無いんです。歴史的に見ると人間が大きく変化したのは500年前のルネサンス時代が最後。だから100年単位の時間をかけてゆっくり変化するもので、たった50~60年では人々の悩みの本質は変わらないです。
親子関係の悩みは3000年前からある
――50年間でどんな変化があるのかと思っていたのですが、変わっていないとは驚きました。
加藤 番組でも親子関係の悩みが多く寄せられますが、そのほとんどはドイツの心理学者でジークムント・フロイトが100年以上前に提示した「オイディプス・コンプレックス」(父親からの心理的自立)で説明できます。オイディプスはギリシャ神話の登場人物ですから、3000年前からある悩みということになる(笑)。相続問題だって旧約聖書に登場していて、これも2000年以上前。それぐらい、人の悩みというのは変わらないんです。
――逆に言えば、人間は同じような悩みを一向に解決できずにいるということですね。
加藤 というよりも私は、人間というのは悩む生き物なんだと思っています。たまに「悩まない」という人もいますが、そのほとんどは「自分が悩んでいることに気づけず、悩んでいないと言い張っている人」のように見えます。そういう人は、悩んでいる人よりも無意識では深刻に悩んでいて、神経症気味になっていることも多いです。
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