スマホを筆頭とするIT(情報テクノロジー)ツールの存在は、もはや当たり前のもの。テレビはもちろんインターネット上にも、AIや量子コンピュータなど、さまざまなIT用語が飛び交っています。
しかしその一方、わからないことが意外に多いのも事実。しかも、それらについて調べようと思っても、専門書は難しすぎ、ネットの情報は多すぎ、ましてや人に聞くこともできず…という状態。そのため暮れてしまい、“結局そのまま”ということにもなっている方も少なくないはずです。
そこでおすすめしたいのが、『見るだけIT用語図鑑278』(草野俊彦 著、SBクリエイティブ)。
IT用語を避けて通れない現代で、新社会人やIT業界1年目など、これからITに取り組む人、ITは難しそうで敬遠していた人、楽しみながらITを知りたい人、既にITに関わっているが自分の専門以外の用語について知りたい人に読んでもらいたいのが、このIT用語図鑑です。
1用語1ページ完結型なので、興味のあるテーマの拾い読みが簡単にできます。
また、各用語は読みやすさと理解しやすさを重視し、イラストで楽しみながら全体像をつかみ・3つのPOINTでザックリ中身を知り・解説でより深い理解に繋げられる構成になっています。(「はじめに」より)
つまり、意味を知りたいIT用語はあるのに、「聞くに聞けない」という方には最適な内容だということです。
きょうはその例として、第6章「『経営』経営とECを知るIT用語」のなかからいくつかをピックアップしてみたいと思います。
ファシリティ・マネジメント
POINT
▶︎建物や設備などを企業にとって最適なものにする経営活動
▶︎コストを抑えるといった面だけでなく、従業員の快適性も追求する
▶︎ファシリティ・マネジメントの国際規格としてISO41001がある
(172ページより)
ファシリティ・マネジメントとは、従業員の職場環境と企業のビジネスとの調和を図る経営活動のこと。
企業価値は開発・生産・販売など、企業のコアビジネス(基盤業務)から生まれますが、とはいえその遂行には職場の警備や保安、オフィスの整備、通信やITシステムの運用などの“ノン・コアビジネス”が必要。
したがって、それらの最適なあり方を求める経営活動がファシリティ・マネジメントと位置づけられているわけです。
国際規格ISO41001は、ファシリティ・マネジメントを「社会や企業の創造性と生産性と、個人と構築環境との関わり方に影響を与える複数の分野を統合すること」と定義しているそう。これは、従業員の職場環境を改善し、組織の創造性を高めることと解釈されるもの。
ところでファシリティ・マネジメントは当初、保守や警備・清掃など設備管理の意味でした。
しかしその後フロアプランや不動産管理も含むようになり、2000年代には仕事場を固定しないフリーアドレスや集中スペースなど、業務効率向上施策も追加されることになったのです。(172ページより)
デザイン思考
POINT
▶︎顧客の本当に欲しいものを見つけ出す思考法
▶︎デザインとは、外見のことではなく企画や計画のこと
▶︎フォードは、速い馬が欲しいという要望から量産車を製造した
(173ページより)
デザイン思考は、顧客の潜在的なニーズをもとに、製品やサービスを生み出す考え方。表面的な要求の裏側に隠れているかもしれない、顧客自身も本当には気づいていない願望や欲求を見つけ出すわけです。
そんなデザイン思考の一般的な進め方は、共感、問題定義、創造、試作、テストの5段階。創造の手法としては、ブレインストーミングやワーストケース分析などが広く用いられているそうです。
デザイン思考に関しては、自動車メーカーであるフォードの創業者、ヘンリー・フォードの逸話が有名。
フォードは馬車が移動手段だった時代に、顧客の「もっと速い馬が欲しい」という要望から「本当に欲しがられているのは馬ではなく快適な移動だ」と考え、大衆車の大量生産を始めたわけです。
ちなみに「デザイン」ということばは、日常的には服やものの外観や装飾の意味で使われています。しかし、その第一の意味は、新たなものを創造・実現するために、まず行うべき企画や計画・仕様を考えること。つまりデザイン思考の“デザイン”は、この意味を指しているということです。(173ページより)
クライアント/サーバーシステム(C/Sシステム)
POINT
▶︎クライアントはサービスの利用者、サーバーはサービスの提供者
▶︎コンピューターシステムの形態の一つ
▶︎サーバーが主な処理を行い、クライアントがその処理を利用する
(178ページより)
クライアント/サーバーシステム(C/Sシステム)は、サービスの利用者(クライアント)とサービスの提供者(サーバー)に分離したコンピューターシステムを意味するもの。サーバーがおもな処理を行い、クライアントがその処理を利用するということです。
たとえばチケットの予約システムの場合、利用者は端末(クライアント)の予約画面で日時や座席を指定することになります。その入力内容をサーバーへ送信すると、サーバーが実際の予約を行うのです。
C/Sシステムのいちばんのメリットは、処理の大部分をサーバーが行うため、システム全体を管理しやすい点。
また、クライアントも一部の処理を分担することで、サーバーに負荷がかかりすぎるのを防ぐことにもなります。そのため、全体として安定したし早い処理を行えるわけです。
そんなC/Sシステムにもデメリットはあります。クライアントが処理の一部を分担することになると、そのアプリケーションの保守管理が必要になるのです。そのため、クライアント専用のアプリケーションを用いず、ウェブブラウザのみを使用するシステムも。(178ページより)
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Source: SBクリエイティブ
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