昔の女性は約50回、現代の女性は約450回。さて何の数字と思われるだろうか。答えは、一人の女性が生涯で経験するとされる月経の回数。実は、現代女性の月経回数は人類史上最も多いといわれる。その分、月経に伴う不調やトラブルを経験する女性も増え、QOLの低下を招いている。全従業員の約半数を女性が占める今、企業にとっても生産性の低下や労働損失につながりかねない。
産婦人科医で聖路加国際病院女性総合診療部の百枝幹雄部長は、現代女性が抱える多すぎる月経の中には、“ムダな月経”が多いという。そして「ムダな月経はむしろ体に悪い。月経に振り回されるのではなく、月経を上手にコントロールしよう」と提案する。さて「ムダな月経は体に悪い」の真意とは? フェムテックや健康経営の重要性が叫ばれる中、月経という女性特有の健康課題にどう取り組むべきか、ベテラン産婦人科医の現場からの提言を紹介しよう。
現代女性の月経は、なぜそんなに多いのか。原因として挙げられるのが、女性の体とライフスタイルの変化だ。昔に比べて初経年齢が早くなり、晩婚化によって出産年齢が遅くなり、少産少子化によって出産回数も減った。その結果、月経回数が著しく増えることになったわけだ。産婦人科医で聖路加国際病院女性総合診療部の百枝幹雄部長は次のように語る。
「初経年齢は明らかに若年化しています。海外の報告では1800年頃には約17歳で、1980年頃には約13歳になっています。日本でも同じような推移で、現在は12歳くらいが一般的です。これには栄養状態がよくなったことが大きく影響しています。また、昔と現代では女性のライフスタイルも大きく変わりました。昔は初経を迎えて数年もすると結婚をして5人、6人と子供を産むのが普通でしたが、現代は女性の社会進出などにより第一子の出産年齢が上がり、生涯に産む子供の数も1人か2人というケースが多くなっています。妊娠中と授乳中は月経が止まりますから、妊娠・出産回数が多いほど月経の回数は減ります。反対に妊娠・出産回数が少ないほど、月経回数は多くなるのです」
こうして昔の女性は約50回、現代の女性は約450回という9倍もの差が生じたわけだ(図1)。月経は毎月あるのが当たり前と考えがちだが、長い歴史の中で見るとそれは極めて稀なこと。「現代女性は人類史上最も多く月経を経験している」と百枝部長は話す。
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