突然のダイレクトメッセージ
後藤正文と坂本龍一の出会いは、握手だった。2000年代はじめ、あるロックフェスのバックステージでのことだ。 「そのフェスでは、坂本さんとASIAN KUNG-FU GENERATIONが同じ日の出演だったんです。そのとき、人づてに『坂本さんの息子さんがアジカンのファンらしくて、サインを頼まれているそうだから、楽屋に呼ばれるかも』なんて聞いちゃって。そんなの、すごくドキドキするじゃないですか。だから、呼ばれる前に自分たちから挨拶に行きました。握手はしてもらいましたが、サインは頼まれなかった(笑)」 いま40代の後藤は、YMOをリアルタイムでは体験していないという。それでも、どこかしらでYMOや坂本龍一の音楽を耳にしながら育った。 「大ヒットしたCM曲の〈Energy Flow〉や〈戦場のメリークリスマス〉などは自然と耳に入ってきていたし、iTunesStoreが日本で始まって以降は、あらためてYMOや坂本さんの音楽をダウンロードして聴き直したりもしました」 iTunesStoreの日本でのサービス開始は2005年。後藤が坂本龍一の音楽を再発見した何年か後、ふたりは第2の出会いをすることになる。場所はTwitterだ。 「ぼくがTwitterを始めてまもない2010年だったと思います。突然、ダイレクトメッセージをもらったんですよ」 それは、教授が後藤のツイートに目を留めたのがきっかけだった。 「当時、ぼくは鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー『六ヶ所村ラプソディー』(2006)を観て、原発問題に関心を持っていろいろ調べていたんです。当然、教授による六ヶ所村の再処理工場への抗議活動も知っていました。その時、なにか原発関連のツイートをしたんですが、それを読んだ教授がメッセージをくれたんです」 原発や環境問題についての後藤の真摯な姿勢を知った教授は、何冊もの書籍を後藤に紹介してくれたという。そして、本を通して交流は深まっていく。当時、教授にオススメされて印象的だったのは、小泉文夫の『音楽の根源にあるもの』、ルドルフ・シュタイナーの『農業講座 農業を豊かにするための精神科学的な基礎』、竹村真一の『宇宙樹』などだそう。 「あと、相撲の話なんかもしました。ぼくも教授も相撲が好きなんです。当時は豊真将(ほうましょう)という力士がいて(2015年引退)、その所作が美しいなんて話をした記憶もあります」 こうしてTwitter上で淡い交流を続けたふたりだったが、2011年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原発のメルトダウン事故が、関係の様相を変えた。
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