7月24日、藤井聡太棋聖は竜王戦決勝トーナメントで丸山忠久九段と対局した。 藤井棋聖にとって、この日が18歳初となる公式戦。丸山九段と野初顔合わせになった一局は、両者が得意とする角換わりで進行した。また昼食では藤井棋聖の「肉豆腐弁当(ごはん少なめ)」に対して丸山九段の昼食は「チキン南蛮弁当、肉豆腐弁当(大盛そうめん)」を選択。ABEMAで解説を務める三枚堂達也七段が「圧倒的ですね」とパワフルなメニューに驚きを口にする場面もあった。 【秘蔵写真30枚】若き羽生さんが凛々しいしカワイイ&なぜかチェス。藤井君vsひふみん&イケメンの若き加藤一二三…名棋士の大激闘とキュートな笑顔。藤井君の着物姿も! 藤井棋聖が38手目に1時間18分の大長考を見せた今局、意外な展開となったのは、15時を過ぎたころ。先手の丸山九段は「6五銀」「7四銀」、後手の藤井棋聖は「5四角」「4三角」の局面が続き、61手目の「6五銀」をもって千日手が成立した。
ここ最近、公式戦で頻出する「千日手」。
同一局面が4回となった場合に成立する千日手はここ1カ月の公式戦で頻出している。 6月21日に開催された「八大タイトル」の1つである叡王戦第1局、永瀬拓矢叡王(王座)と豊島将之竜王・名人の対局では113手で千日手が成立。差し直し局の末に豊島竜王・名人が勝利している(なお今季叡王戦は第2、第3局が持将棋になるなど大混戦となり、第5局終了時点で永瀬叡王の2勝1敗2持将棋)。 また7日の竜王戦5組残留決定戦では豊島竜王・名人の師匠で、72歳の桐山清澄九段が井出隼平四段を千日手差し直しの末に勝利。規定上負ければ引退の大一番で通算995勝目を挙げている。 差し直し局は手番入れ替わりで先手となった藤井棋聖だが、開始時点で持ち時間(各5時間)は1時間34分に対して丸山九段は3時間59分と2時間以上の差が。そして丸山九段が得意とする「一手損角換わり」で展開した。
1分将棋が続く長期戦となり……。
夕食休憩の後も持ち時間の差は変わらず。丸山九段は名人2期獲得など「羽生世代」を代表する実力者らしい円熟の戦いぶり。一方で1分将棋となった藤井棋聖は71手目に6七角という勝負手を放つなど粘りを見せる。22時を越えた時点でも解説の三枚堂七段、深浦康市九段が「長い中盤戦ですね」と評するほどの熱戦となった。 そして迎えた終盤、持ち時間に余裕がある丸山九段は終盤にAMEBAの中継で示されるAIの最適手を指し続ける。藤井棋聖も逆転を狙う一手を指し続けたものの、丸山九段がしのぎ切り、116手で藤井棋聖が投了。終局時間は23時30分を過ぎ、昼食と夕食休憩を含めれば13時間超えとなった。 2018年、NumberWebの取材に応じた野月浩貴八段が持ち時間について「棋士は誰でも局面の展開だけでなく、時間の使い方にも緩急をつけます」、「ずっと早いペースで攻め続けるのも難しいので力を溜めたり、攻めている局面でも息切れしそうな時にペースを落としたりします。なかには、形勢が良くなった時にあえてペースを落とす人もいるんですよ」と語っていたが、本局はまさに「時間」をめぐる駆け引きが凝縮され、丸山九段が先輩棋士としての意地を見せるものとなった。 渡辺明二冠との棋聖戦や木村一基王位との王位戦など過密日程の中で、竜王への挑戦権は得られなかったとはいえ、藤井棋聖が半日を優に超える持久戦で得たものは大きいだろう。
(「Number News」NumberWeb編集部 = 文)
2020-07-24 22:41:24Z
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