Friday, August 25, 2023

ここが違うよ、日本の結婚式! 独特な日本の結婚文化を、アメリカの場合と比較検証 - ELLE JAPAN

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luckyvectorGetty Images

世界中のさまざまな国にはそれぞれ独自の国民性があり、ウエディングにおいてもその美しい文化が息づいている。なかでも「こんなに違うの?」と思うほど、独特な結婚式文化を持つ日本の結婚式。お祝いから開催時間まで、ガラパゴス的に独自の進化を遂げた日本の結婚文化を、NY在住のブライダルジャーナリストが徹底解説!

1 結婚式に3万円以上のお金を渡すのは、日本ならでは

結婚式の際にご祝儀としてお金を包んで渡す「ご祝儀文化」は、実は日本や中国などアジアならではの風習って知ってた? しかし、韓国や中国といった他のアジアの国では5千円~2万程度が相場だけれど、日本では友人や会社の同僚であれば通常3万円、上司や恩師は5万円、親族の場合は10万円以上を包むことが一般的。奇数の金額が好まれるけれど、偶数でも末広がりを意味する8や奇数の1が入っている10など例外もある。

さらに、ご祝儀袋の選び方やお札の入れ方にも細かいルールが。新札を準備し、紙幣の肖像画を上にしてご祝儀袋に入れ、袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが常識。ご祝儀袋にも意味があり、結婚式の場合は「あわじ結び」や「輪結び」といった上を向いている水引を選び、右上に「のし」と呼ばれるひし形の飾りが付いたものに包む。「蝶結び」の水引は結婚式にはふさわしくないため、注意が必要! ちなみに「のし」の由来は、不老長寿の象徴であるアワビを古くからお祝い事に贈る習慣から派生したとか。

アメリカは“レジストリー”が常識

アメリカでは、新郎新婦が新婚生活で欲しいものをリストアップし、ゲストがそのリストから事前にギフトを購入して送る、レジストリー文化が根付いている。

レジストリーは、デパートや大型スーパー、そして「ウィリアムズ・ソノマ」といった有名なライフスタイルショップでリスト登録を行うことが多い。おしゃれカップルの間では、NYトップウエディングプランナー、ジャング・リー監修の「スローダンス」や元ファッションエディターが立ち上げた「オーバー・ザ・ムーン」などのECブライダルショップも人気。

最近では「ゾラ」などのオンラインレジストリーが主流で、ハネムーンの軍資金や動物愛護・難病支援をしている慈善団体へのチャリティを呼びかけることが可能だそう。なかには「食いしん坊カップルの新婚外食デートをサポートして!」とキャッシュを募るカップルも⁉

2 緊張感あふれる両家の顔合わせは、日本の伝統儀式!?

日本では、両家の親同士が初めて顔を合わせる場として「結納」という儀式がある。結納金や受書の交換が行われるこの儀式は、平安時代にさかのぼるもの。格式を重んじる家柄同士であれば結納を執り行うけれど、最近では両家顔合わせという形式のフォーマルなお食事会が行われることが一般的。

結納や顔合わせの際には、新郎新婦が両親の希望に沿って料理のジャンルを選ぶことが多く、和食が人気。また、新婦は成人式でまとった振袖などの着物を着るケースも。

アメリカの顔合わせは、カジュアル&フランク

アメリカでは婚約お披露目パーティーを開催するのが一般的。会員制のカントリークラブで両家の家族だけが集まって披露されるクラシカルな婚約パーティーもあるけれど、日本に比べてカジュアルで、スタイルや場所に多様性があるのが特徴。友人誘を誘ってレストランや自宅のバックヤードで行うカジュアルなパーティーまで……非常にさまざま!

ちなみにアメリカでは11月には感謝祭、12月にはクリスマスといった家族の集まる行事が続く。そのため、お披露目を兼ねてこの時期に婚約するカップルや家族と時間を過ごすことで「結婚したい!」という思いが芽生え、年末にかけてパートナーにプロポーズし、婚約するカップルも多いのだとか。

3 花嫁が両親に手紙を読むのも、日本独特の演出

結婚式では欠かせない新婦から両親へあてた手紙。親族だけでなくゲスト全員の涙を誘う結婚式のクライマックス的演出だけれど、これも日本ならではの演出って知ってた?

もちろん、海外でも新婦が両親に感謝の言葉を伝えるシーンはあるけれど、ゲストの前で披露することはない。あるNYトップウエディングプランナーは、以前日本の披露宴でこの演出を目の当たりにして驚愕したとか! 会場が祝福ムードで盛り上がっている最中に突然新婦の手紙で会場がしんみりとした雰囲気になり、全員が涙を流している様子はアメリカのウエディングではみられない光景だそう。

アメリカではダンス

アメリカのウエディングといえば、とにかく踊って踊って踊りまくる! 披露宴では、新郎新婦によるファーストダンスに始まり、新婦と父親のダンス、新郎と母親のダンスなども盛り込まれる。

披露宴に続き、アフターパーティーでもダンスは続く。アフターパーティーでは、DJが懐かしの名曲や最新ヒット曲などを選曲し、老若男女全員が盛り上がるように演出。アメリカ人なら誰もが知っている、DJキャスパーの「チャチャ・スライド」やキューピッドの「キューピッド・シャッフル」といったラインダンスミュージックなどが選曲されることも。10代の頃からプロムパーティーなどで踊る機会があり、踊ることが染み付いているアメリカならではのカルチャーだ。

4 ドレスのレンタルは、呉服屋が由来の日本独自のシステム

明治以降、呉服屋が新規事業のひとつとして着物の貸衣装業を始めたのが、今日のドレスレンタルに繋がっていると言われている。そのおかげで、一部の富裕層にしか手が届かない価格帯のオートクチュールドレスでさえ、一般の花嫁が着ることができるこのシステムは、日本女性の夢を叶える素晴らしいシステムだと言える。

10年前まではアメリカ人たちが「レンタルなんて考えられない!」と言っていた日本のウエディングドレスのレンタル文化も、今では「なんてサステナブルな選択なんだ!」と絶賛されるほどに変わっている。

現代の日本では教会式の結婚式が人気で、挙式では純白のドレスを、披露宴ではカラードレスや挙式とは異なるホワイトのウエディングドレスにお色直しすることが多い。古来日本では、「結婚式で夫婦の契りを結んだら、花嫁は相手の家柄に染まる」という意味で、お色直しと呼ばれる儀式が生まれた。この儀式では、白無垢から色付きの着物である色打掛に着替えることが一般的だったそう。

アメリカではドレスはシーン別に購入

アメリカのウエディングは、ある意味でお祭りのようなもの。結婚式当日だけでなく、婚約お披露目パーティーで始まり、ブライダルシャワー、バチェラーパーティーやバチェロレッテパーティー、結婚式前日のリハーサルディナー、挙式・披露宴の後から深夜まで踊り明かすアフターパーティー、翌日のウエディングブランチなど……。とにかくお祝い三昧! そのため、挙式のための純白のウエディングドレス以外にもそれぞれのシーンでさまざまな装いが登場する。

婚約パーティーやブランチではカジュアルなドレスやパンツスーツ、アフターパーティーではスパンコールやフェザーのミニドレスなど多様なスタイルがある。

日本ではウエディングドレスのレンタルが一般的だけれど、アメリカでは購入が主流。「娘が生まれたら着てほしい」という想いから大切に保管する花嫁が多く、最近では、「ニアリー・ニューリーウエッド」などのセカンドハンドサイトやフリマサイトで次の花嫁へとバトンタッチする選択肢も増えている。

5 日本の結婚式は短い!? アメリカの半分以下

一般的な日本の結婚式では、挙式は約20~45分、披露宴は約2~2.5時間というタイムスケジュール。挙式の前後にはゲストとの写真撮影が行われる。披露宴では乾杯、スピーチ、ケーキカット、友人のダンスや親族の歌といった余興などが司会者やプランナー、キャプテンのしっかりとした時間管理のもとで進行されることが多いけれど、地域によっては披露宴のスタイルも変化している。

近年では「ゲストとの時間を大切にしたい」という考え方から、新郎新婦や親族が中心となったアットホームな結婚式が増えており、司会者なしでゆっくりと一緒に食事を楽しむスタイルも人気だそう。

アメリカでは平均で4時間以上! 司会者もなし

アメリカでは、挙式は通常30分程度だが、約1時間のカクテルアワーを挟んで、披露宴は4〜5時間ほど続く。また、DJがMCとして話すこともあるけれど、基本的には日本のような司会者はいない。その代わり、新郎新婦や両家の父親、または親友などがマイクを持ち、臨機応変に進行を行う。

アメリカの披露宴のハイライトは、新郎新婦によるファーストダンス。歓談・食事の開始後に行われるのが通常で、なかには披露宴の幕開けとしてファーストダンスを披露する新郎新婦も。ファーストダンスの曲は、ふたりの思い出の曲などで構成される。しっとりとしたバラードが人気だが、ヒップホップやスウィングエレクトロなどを選曲するカップルもいるのでまさに千差万別!

また、乾杯やケーキカット、ブーケトスやガータートスなどのイベントのほか、新婦と父親のダンスや新郎と母親のダンスなども盛り込まれる。

すべてが違うようなアメリカのウエディング文化だけれど、もしかしたら日本の「素敵なものや考え方」が、海を渡ってアメリカのウエディングに取り入れられる可能性もありそうだ。

たとえば、アメリカではコロナ前から日本の生け花にインスパイアされた装花が人気を集めていたり、日本のウエディングドレスのレンタル文化も、サステナブルな選択として理解され始めている。

一方、結婚式を控える花嫁を祝うために女友達が前祝いとして行うブライダルシャワーは、元々アメリカの独特な文化だったけれど、最近では日本でも流行っている模様。これからお互いにどのような影響を与えるのかが楽しみだ。

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