宮崎駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」は、他の宮崎作品と同様に観衆に対して価値観を押し付けるようなことを基本的にしていない。「どう生きるか?」の問いにも真正面から答えていないと筆者は感じた。一方、その問いに対して真剣に悩み続け、そして真正面から世に訴え続けたのが「経営の神様」と評された稲盛和夫氏だろう。そんな稲盛氏が出した「答え」とは何か。(イトモス研究所所長 小倉健一)
「君たちはどう生きるか」
経営の神様は真剣に悩み、訴え続けた
2023年7月14日に公開された宮崎駿(※「崎」はたつさき)監督の10年ぶりの長編作品「君たちはどう生きるか」。内容よりも、事前に公開されたのが「鳥のようなものが描かれているポスター」のみという、「宣伝なし戦略」に注目が集まった。
ほぼ宣伝ゼロで、インターネット上にストーリーを書くと見ていない人たちが怒り出したりもして、かくいう私もほぼ事前情報なしで観覧することになった。
初週は3連休だったこともあり、最初の3日で興行収入は16億2000万円を突破。4日目で21億4000万円となり、好スタートを切った。この4日だけ見ると、宮崎監督の「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」などを抜いた形だ。
ただ私のような宮崎映画はとりあえず全部見ることにしているようなコアなファンは、早いうちに見てしまう人も多い。2週目にきて、集客の勢いが鈍化しているような指摘も増えてきている。映画は最初の1カ月で全体の70%以上の興行収入を稼ぐのが常識とされている。このまま、宣伝なしで突っ切ったことが成功となるかは分からないところだろう。
内容については、ネタバレと怒られることもあるだろうから、ネタをバラさずに、映画でネタになっていない部分について触れることにする。
宮崎監督がタイトルを借用した吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』の小説の内容とこの映画は関係していない。君たちはどう生きるか?という問いにも真正面から答えていないと私は感じた。
小説『君たちはどう生きるか』は、吉野源三郎氏が1937年に著した教育小説だ。主人公のコペル君が、旧制中学2年のときに起きたことを、コペル君の叔父さんに話すことで、「自分で考えること」の重要性を知り、社会や生きることについて正面から向き合い、成長していく物語だ。
宮崎監督の作品は、観衆に対して価値観を押し付けるようなことを基本的にしない。インタビューや発言などでは、現代社会の大人たちに対して強い憤りや疑問を持っていることはうかがい知れるのだが、作品で「こう生きろ」と伝えるようなことはなかった。
一方、「人間はどう生きるべきか」について真剣に悩み続け、そして真正面から世に訴え続けたのは、「経営の神様」と評された稲盛和夫氏だろう。
稲盛氏は京セラ、KDDIを創業し、日本を代表する世界でも有数の企業にまで成長させた。さらには、破綻に追い込まれた日本航空(JAL)を再建させている。特筆すべきは、この3社がメーカー、通信、運輸というまったく異なる業態であることだろう。「経営の神様」という表現は本当にその通りである。
では、そんな稲盛氏が存命だったら「君たちはどう生きるか」の問いにどう答えるのだろうか。稲盛氏の生前の言動から考えてみたい。
からの記事と詳細 ( 「君たちはどう生きるか」経営の神様・稲盛和夫が出した答え…お金を稼ぐために考えるべきこと - ダイヤモンド・オンライン )
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