リアルのサービスをオンライン化する際、ユーザーの意向をどうくみ取るかが最大のポイント。特に、顧客が従来のリアルサービスを強く望んでいる場合はハードルが高い。ウエディングはその代表的な例だ。コロナ禍の中でも、従来型のリアル結婚式を希望する顧客が多いという。難しい環境下でプリンスホテルグループが出した答えが、“多拠点型”のリモートウエディングだ。
新型コロナ感染症拡大で大きな影響を受けたのがブライダル業界だ。緊急事態宣言や外出自粛の影響で、結婚式を縮小・延期する例が相次いでいる。
国内外に83のホテルを構えるプリンスホテル(東京・豊島)でも、2020年の結婚式の開催数は前年実績の約4割まで減少。特に緊急事態宣言が発令された20年4~5月は、結婚式はすべて中止となった。
withコロナ時代の結婚式の特徴は、参加人数を抑制していること。例えば、コロナ禍以前は60人規模の結婚式が標準的だったが、現在は20~30人規模。親族やごく近しい友人だけを招待することが多いという。
そんな中、注目されているのが、オンラインサービスを取り入れた結婚式だ。挙式の様子をリアルタイムに配信したりビデオ会議システム「Zoom」で式場とゲストの自宅をつないだりするのだ。新郎新婦側で自らオンライン環境を整える場合もあれば、会場となるホテルなどがオプションとして提案する場合もある。
【特集】最高のオンライン体験をデザインせよ
結婚式はやっぱりリアルがいい?
プリンスホテルでも、20年7月からオンラインサービスを取り入れたプランの提案をスタート。すでに何組かのカップルがオンライン結婚式を実施した。
プリンスホテルの場合は、結婚式のライブ配信にYouTube Liveを使用している。オンラインの参加者は自宅からスマホやパソコンを通じてYouTube Liveにログインし、挙式の様子を見学。コメント欄にお祝いのメッセージを記入することもできる。
Zoomを使用した例もある。Zoomを通じて披露宴の乾杯や、新郎新婦とゲストがオンラインで会話をする。ホテルのサービスを利用するのではなく、自分たちでパソコンやカメラなどの機材を用意し、オンラインを取り入れる新郎新婦もいた。
結婚式にオンラインサービスを導入するうえで難しかったのが、オンラインの取り入れ方だった。
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