WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチが行われ、WBC世界スーパー・フェザー級王者のミゲール・ベルチェルト(29=メキシコ)が、元WBO世界フェザー級王者オスカル・バルデス(30=メキシコ)を迎え防衛戦に臨んだ。
試合の展開
両者がリングに上がり、向かい合う。
まず、目についたのは身長差だ。王者のベルチェルトが身長170cm(リーチ180cm)に対し、バルデスは165cm(168cm)。向かい合うと頭一つ分の身長差だ。
試合開始のゴングが鳴ると、ベルチェルトが遠い距離からジャブをつくのに対して、バルデスは左右に動きながら大きなパンチを振っていく。
KO率87%を誇るベルチェルトに対し、手数とスピードで対抗していた。序盤は静かな立ち上がりを見せたが、積極的に手数を出すバルデスがペースを握っていた。
ベルチェルトも攻めようとするが、バルデスのカウンターを警戒して手が出せない。また前に出てもバルデスが左右に動きながらパンチを振ってポイントを稼いでいく。
4ラウンドには、バルデスの左フックが直撃し、ベルチェルトの足がぐらつく。
(すかさずバルデスが追撃し)パンチでベルチェルトをロープまで吹き飛ばした。レフェリーが1回目のスタンディングダウンを奪う。
ベルチェルトは、ポイントを取り返そうと前に出るが、バルデスが巧みに動き捉えられない。打ち終わりにパンチをもらいダメージが蓄積されていく。
そして9ラウンドには、バルデスの右アッパーが炸裂し、2回目のダウンを奪われる。
そして第10ラウンド。ベルチェルトが前に出たところに、バルデスの左フックが直撃。ベルチェルトは垂直に倒れ、レフェリーが試合をストップ。
ベルチェルト有利の予想を覆し、圧倒的なKO勝利でバルデスが新王者となった。
勝敗のポイントは距離感
バルデスは試合後のインタビューで「勝てないと思われていたことは間違っている。厳しいトレーニングに耐えてきたし、不可能なんてない」と話した。
今回の試合では、バルデスの「戦う距離感」が絶妙だった。
リーチは、ベルチェルトが長かったが、バルデスが左右に動き的を絞らせなかった。
また、時折サウスポーにスイッチしてベルチェルトの前進を止め、打ち終わりにパンチを集めていた。
両者はアマチュア時代からのライバルだったが、オリンピックに2度出場経験を持つバルデスの高い技術が光った試合となった。
ベルチェルトは減量苦から、試合後にライト級へ転向する意向を示していた。今回の試合で、いつものキレとパワーが見られなかったのは残念だ。
試合後には、救急車で搬送されるほどダメージを受けていたため、容体が心配される。
今後のスーパーフェザー級戦線
バルデスは試合後に「最高の時間が来た。他のファイター試合をしよう」と他団体の王者にも呼びかけた。
この階級は下記の王者が君臨している。
IBFは王者のジョセフ・ディアズが、前日計量で体重超過したためタイトルを剥奪されている。
スーパーフェザー級の次戦は1位のシャフカッツ・ラヒモフ(26=タジキスタン)と3位の尾川堅一(33=帝拳)で王座決定戦に向けて交渉されている。
尾川が勝利すれば、バルデスと対戦する可能性もある。
この階級で最も評価が高かったベルチェルトを下し、新王者になったバルデス。今後は彼を中心とした構図となっていくだろう。
今後の展開から目が離せない。
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