今の若い人たちが将来、年金の受取額がゼロになる可能性は低い。安心して年金を頼ろう。ただし受け取り開始時期が遅れ、受給額が減少する可能性があるので、備えが必要だ。(経済評論家 塚崎公義) ● 公的年金は現役が高齢者を支える制度 公的年金は、現役世代が支払った年金保険料で高齢者に年金を支払うという「賦課方式」が採用されている。したがって、インフレには強い。インフレになると現役世代の給料が上がり、現役世代の支払う保険料を値上げすることができるので、それを用いて高齢者への年金を増額することができるからである。 しかし一方、賦課方式は少子高齢化には弱い。年金保険料を支払う現役世代の人数が減り、年金を受け取る高齢者の人数が増えるのであるから、当然のことである。そこで、「高齢者の受け取る年金が減っていき、今の若者が高齢者になる頃には年金が受け取れなくなる」と考えている人も多いようだ。 しかし、現役世代の人数がゼロになるわけではないし、年金には保険料のほか、税金も投入されているので、年金が全く受け取れないということはあり得ない。この点は、ほぼ全ての専門家の見解が一致している。この点については、前回の拙稿をご参照いただければ幸いである。
● 緊縮財政でも年金は優先されるはず 日本の財政赤字は巨額で、政府の借金も巨額なので、緊縮財政が求められている。現在は新型コロナ不況への対応で「放漫財政」となっているが、新型コロナが収束すれば、再び財務省からの緊縮財政要請が強まるであろう。 そうなれば、年金に投入されている税金も減らされていくのだろうか。可能性はゼロではないが、他の歳出項目と比べれば、年金関係が減らされていく割合は小さいだろう。その理由の一つは「シルバー民主主義」だからである。 シルバー民主主義というのは、「高齢者は数も多いし投票率も高いから、高齢者が怒るような政策は政治家として採用しにくい」ということだ。したがって、政治家は高齢者を優遇したがるため、若者向けの予算は削っても、年金はできるだけ削らないように努めるであろう。 もう一つの理由は、「公的年金を減らすと生活保護の申請が激増して、むしろ財政赤字が拡大してしまうかもしれないから」である。本当に公的年金がゼロになったら、ほとんどの高齢者が生活保護を申請するであろうから、財政が持たないはずだ。 なお、読者の中には財政自体が破綻すると心配している人もいるだろうから、そうした人は拙稿をご参照いただければ幸いである。 ちなみに、少子高齢化は年金財政を悪化させるという面では困ったことであるが、物事には両面があるので、過度な悲観は不要だろう。たとえば、今後少子高齢化による労働力不足が深刻化すれば、「緊縮財政で景気が悪化しても失業が増えないから、気楽に増税や歳出削減ができるようになる」かもしれないからである。
からの記事と詳細 ( 「年金」受け取り開始時期の遅れに、現代の“波平さん基準”で備えるべき理由(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース )
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