Wednesday, February 24, 2021

妻の家事に対し、夫は賠償金を支払え 中国の裁判所が命令 - BBCニュース

Woman cleaning table

中国・北京の裁判所はこのほど、離婚を求めて裁判を起こした男性に対し、妻がしてきた家事について賠償金を支払うよう命じる画期的な判決を言い渡した。

妻だった女性は、5年間の無報酬の労務に対し、5万元(約82万円)を受け取る。

この訴訟をめぐっては、家事労働の価値に関する大規模な議論が、オンラインで交わされた。今回の賠償金について、少な過ぎるとする意見も出ている。

中国では今年に入り、新たな民法典が施行された。離婚に際しては、育児や高齢親族の介護、パートナーの仕事に対する支援で、より大きな役割を果たしてきたほうが、配偶者に賠償金を求めることができるようになった。

去年までは、結婚前に同意書に署名していた場合に限り、離婚する男女は配偶者に賠償金を請求することが可能だった。ただ、婚前の同意書作成は中国では一般的ではない。

「夫は家事も育児もしなかった」

裁判記録によると、チェンという名字の男性とワンという名字の女性は2015年に結婚。男性は昨年、離婚を求めて裁判を起こした。

女性は当初、離婚に消極的だった。しかしその後、男性は家事をまったく担わず、息子の育児にも関わらなかったとして、金銭的な賠償を要求した。

北京の房山地方裁判所は女性の主張を認め、生活費として毎月2000元(約3万3000円)と、結婚生活中に女性がしてきた家事の賠償金として一度きり5万元を支払うよう男性に命じた。

裁判長は22日、結婚したカップルの共同財産の分割は通常、有形の財産の分割を伴うと記者団に説明。「だが、家事労働は無形の財産としての価値を有する」と述べた。

家事労働の価値めぐる議論

今回の訴訟をめぐり、中国のソーシャルメディアでは熱い議論が起こった。微博(ウェイボ)では、関連のハッシュタグがつけられた投稿が5億7000万回以上閲覧された。

ユーザーには、5年間分の家事に対して5万元はあまりに少ないと指摘する人も少なくない。あるユーザーは「ちょっと言葉が見当たらない。フルタイムの主婦の労働が過小評価されている。北京で子守を1年間雇えば5万元以上かかる」と投稿した。

そもそも、男性がもっと家事を担うべきだとする意見も出た。

一方、女性は結婚後もキャリアを追求し続けるべきだと主張する人もいる。あるソーシャルメディアのユーザーは、「女性よ、常に独立した存在であれ。結婚後も仕事をあきらめず、困難な状況を自分で解決できるようにしろ」と書き込んだ。

経済協力開発機構(OECD)によると、中国の女性は1日約4時間を無報酬の仕事に費やしている。これは男性の約2.5倍の時間に当たる。

OECD加盟国の平均では、女性が無報酬の仕事に費やす時間は男性の約2倍となっている。中国の女性は、この平均より多かった。

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