「ヴェットモン」は、デジタル形式で22~23年秋冬コレクションを発表した。デジタルのルックブックとともに送られてきたリリースは、まるでウィキペディアの資料のような形式。秋冬もヴェットモンらしいユーモアを感じさせる。
コレクションはお札をつなげたシートをバックに、ルック写真を撮影した。仮想通貨やソーシャルメディアによって生まれた億万長者の出現を背景に、クチュールの再定義を意識した。王族や貴族のための服から、新興ブルジョアジーへと顧客が移っていったクチュールの歴史。そこに現れた現代の富裕層を意識してコレクションを作った。
ジャージーとモルトンを使って作られたテーラードアイテムを新開発、新たな旅のスタイルを提案する。伝統的なパターンとデジタル3Dパターンを生かして作ったシルエットは、誇張されたかのようにシェイプの利いたもの。全身ワンカラーのコーディネートが基本で、フーディーやジャージートップに同色のテーラードアイテムを重ねていく。ヴェットモンらしく、大きく襟ぐりを空けたダウンコートやベアトップドレスでストリートスタイルにエレガンスを加える。
アイコニックなのは、ドルやポンド、円のロゴをのせたアイテムやお札の柄のアイテム。セットアップやコート、ボディースーツやドレープドレスなどを彩る。「何もしなかった。ただラッキーだった」という現代の新富裕層を揶揄(やゆ)するような文字がフーディーにのせられ、極太の穴空きデニムパンツのレイヤードと組み合わされる。服そのものは、画期的な新しさを感じさせるコレクションではないけれど、その背景にある毒やウィットには考えさせられるものがある。
(小笠原拓郎)
からの記事と詳細 ( 「ヴェットモン」22~23年秋冬コレクション 現代の新富裕層を意識 - 繊研新聞 )
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