
人間国宝の
訃報を聞いて、最後に生で聴いた落語会でのことを思い出した。今年の7月23日。CD集の発売に合わせて有楽町の朝日ホールで行われた記念の会で「
「俺は今できることをやるしかない。それが俺の高座です」――。
悲鳴にも似たその言葉に、人間国宝の大看板といえども、老いの中でできることは確実に少なくなっているのだ、と感じさせられた瞬間だった。
長年の演芸記者生活の中で私にとって小三治さんは大きな壁、いや、関所みたいな存在だった。インタビュー取材などで質問すると、よく切り返された。
「君はどうしてそんな質問をしたのか」
「僕に何を語らせようとしているのか」
新聞記者時代、新社屋内に完成したホールの開場記念に行った連続落語会「至高の落語」にゲストの一人で来ていただいた時にも「長井くん、『落語の至高』とは何だい?」ときた。ありったけの思いをぶつけて答えたら「それなら、それでいい」。ホッとした。
2021-10-10 12:28:00Z
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