Thursday, February 11, 2021

【シネマプレビュー】現代の山水絵巻「春江水暖~しゅんこうすいだん」ほか3本 - 産経ニュース

映画「春江水暖~しゅんこうすいだん」の一場面(C)2019 Factory Gate Films All Rights Reserved
映画「春江水暖~しゅんこうすいだん」の一場面(C)2019 Factory Gate Films All Rights Reserved
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 公開中~公開間近の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。

■「春江水暖~しゅんこうすいだん」

 大河、富春江(ふしゅんこう)が流れる中国杭州・富陽(フーヤン)はかつて数々の山水画に描かれた名勝。再開発が進む富陽を舞台に、認知症が進む高齢の母親、4人の息子とその妻子たちを描いた。タイトルは、中国北宋の詩人で書家・画家としても知られる蘇東坡(そとうば)の代表的な詩の一節からとられた。

 監督・脚本はこれが長編デビューとなるグー・シャオガン(32)。富陽は監督の故郷でもあり、山水画の傑作絵巻「富春山居図(ふしゅんさんきょず)」にインスピレーションを得て、横移動する超長回しや、壮大なロングショットで捉えた山水絵巻のような映像が特徴だ。

 演じているのはほとんどが監督の親族や知人。市井の人々のリアルな息遣いが映像から伝わってくるようだ。作品の最後に「巻一完」とあり、本作が3部作の1作目だ。第2作は順調にいけば来年に撮影が始まるという。東京フィルメックス審査員特別賞をはじめ中国国内外の映画祭で数々の賞を受賞。カンヌ国際映画祭批評家週間のクロージング作品にも選ばれた。

 東京・Bunkamuraル・シネマで公開中、19日から大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。2時間30分。(啓)

■「ファーストラヴ」

 北川景子の主演で、芳根京子、中村倫也(なかむら・ともや)を共演に迎え、直木賞作家、島本理生(しまもと・りお)の同名小説を映画化。話題作だが、家族の闇を描いた原作。主題の重さを受け止める覚悟が必要だ。

映画「ファーストラヴ」のイメージ写真
映画「ファーストラヴ」のイメージ写真
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 女子大生(芳根)が父親を殺害した。「動機はそちらで見つけてください」と口を閉ざす。公認心理師、真壁由紀(北川)は、本を書こうと取材で女子大生と接見するうち、自分の「過去」と似た「何か」を感じ取る。

 北川は、髪を切って背筋をピンと伸ばす。芳根の演技は狂気をはらむ。空気が張り詰める。窪塚洋介が演じる真壁の夫の穏やかさが救い。監督は堤幸彦。

 東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開中。1時間59分。(健)

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