松原タニシが、長年アルバイトしていた「金龍ラーメン」にて。
変死、自殺などが起きたいわくつきの物件「事故物件」に住む芸人、松原タニシ。不動産屋に事故物件ばかりを紹介してもらい、部屋を転々としながら、そこで起きた不思議な出来事をネタにして大ブレイクを果たす。そんなタニシの体験談をまとめたベストセラー本を映画化したのが、8月28日公開の『事故物件 恐い間取り』だ。
タニシをモデルにした主人公・ヤマメ(亀梨和也)が、事故物件住みます芸人として人気を得るまでの道のり、そのなかで巻き起こる怪奇現象を描いている。今回は、タニシが2019年までアルバイトとして籍を置いていた「金龍ラーメン千日前店」を取材場所に設定し、売れなかった時代のエピソードや、事故物件住みます芸人としての心構えなどについて話を訊いた。
取材・文/田辺ユウキ 写真/木村華子
「だれもが嫌がる世界に、ジャニーズのトップスターが・・・」
──「事故物件住みます芸人」として時の人になったタニシさんですが、実は5年ほど前に大阪・味園ビルのライブシアター「なんば紅鶴」でネタを拝見したことがありまして。ビートルズ「Can’t Buy Me Love」にのせて、頭にかぶっている無数のサンバイザーをひたすら脱ぐというネタなのですが。
え、本当ですか・・・。確かにそのネタはあります。
──大阪時代、アングラなイベントにたくさん出ていらしたタニシさんを知る人からすれば、雑誌などで亀梨和也さんと対談してグラビアを飾っている現在の状況に、びっくりしているんじゃないですか。
そうかもしれません。10年前では考えられないことばかりが起きています。亀梨さんがドラマ『野ブタ。をプロデュース』(2005年)に出ていらしたとき、僕はそれこそ味園で謎のイベントによく出ていましたから(笑)。
──今回、タニシさんをモデルにした主人公を亀梨さんが演じるということが話題になりましたが、制作に際して亀梨さんとはどういったお話をされましたか。
「どういう気持ちで事故物件に住んでいたか」と尋ねられました。事故物件に住むことで周りが不幸になるかもしれない。そういった周囲への感情についてですね。僕の内面の部分についていろいろと聞かれました。
──映画を観ると、亀梨さんはルックスやテンション感もふくめて、タニシさんをよくリサーチされている印象がありました。
そうやって主人公のモデルである僕にキャラクターを近づけてくれるなど、亀梨さんの取り組む姿勢がいろんな人を巻き込み「この映画を成功させよう」という気持ちを高ぶらせてくれていると感じます。
そもそも「事故物件に住むこと」なんて、だれもが嫌がることだった。そんな世界にジャニーズのトップスターが身を投じてくれた。僕はすごくうれしいですし、そういう亀梨さんの姿を見て「たくさんの人にこの映画を観て欲しい」と思えるんです。
──映画のなかで描かれていますが、タニシさん自身、事故物件に住むことは当初怖さがあったけど、途中から『怪奇現象慣れ』をしていきますよね。
生活の一部になる感じですね。仕事という意識の方が強くなりました。不思議なことが起こればネタにできるけど、起きなければ何もしゃべれない。だから僕にとっては怪奇現象が起きない方が怖いんです。仕事にならないですから。実際にたまにしか怪奇現象は起きない。時間を使っても撮れ高が少なく、効率も悪い。そんな思いから、自ら心霊スポットにも行くようになりました。
2020-08-27 01:07:57Z
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