美しい女性の妖艶さから妖魔へと化す境目とは?
5月14日(金)から公開中の映画『美しき誘惑-現代の「画皮」(がひ)-』は、善VS悪との闘いの中で、最終的には人間の良心の可能性に触れられるような作品です。本作は海外でも高い評価を得ており、アメリカ・ヒューストン国際映画祭をはじめ11カ国で65もの賞を受賞しました。さらに、公開初週の週末観客動員数ランキングで第1位、続く2週目でも第2位と上位にランクインしています。
今回は、誰もが振り向く美しさを備えるも、その正体は「九尾の狐」に取り憑かれた妖魔である山本舞子役を演じた長谷川奈央さんと、そんな舞子に心を奪われるものの、舞子の裏の顔に気付いたことで悩み葛藤する将来の総理大臣候補・塩村太郎役の市原綾真さんに、お互いの印象や撮影現場で感じたこと、本作から感じる「美しさとは何か」や人として大切なことなどお話を伺いました!
―― W主演での共演になりましたが、お互いにどんな印象を持ち、共演してみてどんな方だと感じましたか?
市原綾真さん
同じ事務所の先輩なので前から知っていたんですけども、今まで演じていた役も含めて結構クールな印象がありました。
長谷川奈央さん
怖い?(笑)
市原綾真さん
怖いと思ったことはないと思うんですけど(笑)、話すと明るくて、とても良く笑う方なんですね。知ってたつもりが全然知らなかったんだと。“天真爛漫”な感じっていうのが改めて受けた印象でした。凄く明るくて、しっかり者なんですけど、ちょっと“天然っぽい”ところがあったり…。
長谷川奈央さん
それはかなり。“天然”って良い言い方をしてくれましたけど、抜けてるところが。
先輩として後輩たちを前にする時はしっかりしないとっていう思いがあるので、(今回は)化けの皮が剥がれたところを見られたんだろうなって(笑)
―― この作品の中では完璧さを演じていらっしゃるので、実際の長谷川さんはどんな方なんだろう?って思っていました。ところで市原さんは、選挙演説のシーンで見せる仕草や台詞、間合いが素晴らしくて、本当に選挙運動をしているようでした。
長谷川奈央さん
私も本当にビックリしました!
私はあのシーンには居なかったのですが、映画を観た時に衝撃を受けて!本物の議員さんみたいって思いました(笑)手の動きとか喋り方、演説の仕方も研究したんだろうなって感じました。本人に聞いてみたら、「YouTubeも相当見て研究しました」って聞いたから、“やっぱりそうだったんだ!”と思って。
―― 市原さんは勉強熱心な方だということですね?
長谷川奈央さん
そうですね。ダブル主演が決まって、準備期間に入っていく中で最初から肝が座っている姿、落ち着いた態度を見て、私は“イッチー”って呼んでいるんですけど、“イッチーは責任感が強いんだな”って思いました。いざ決まったら覚悟を決めるというか、最初から“立派だなぁ”と思っていました。
でも、撮影では凄くリラックスして演じていたのが印象的で、休憩している時も他の役者さんと話している姿を見て、ずっとリラックスして臨んでるんだなと思って。そこで私はまた新たに気付かされて。
私は逆に“主演として引っ張っていかなきゃ”と気が張っていた部分が相当あったので、リラックスした彼を見た時に、ハッと気付かされたところもあったりして、本当に色々学ばせてもらいました。
―― 豪華なキャスト陣が出演されていますが、ベテランの方々の演技に心を打たれたとか、演じていて感じたことや印象に残っていること、“この人が凄かった!”などあれば教えてください。
長谷川奈央さん
私はホステス役でベテラン俳優の方々と共演させていただいたんですけれども、皆さん、役のことについて凄く色々膨らませて現場に来られてるっていうことに“本当に凄いな”って思いました。
矢部美穂さんは、舞子が務めるクラブZのママとしての立ち振る舞いですとか雰囲気、ホステスの山本舞子とママとの関係性を演じている時も、本当にホステスの舞子として温かく愛情を持って接してくださっていることが凄く伝わってきました。
デビット伊東さんも、業界用語を色々考えてきてくださったり、最初に乾杯するシーンもデビットさんから提案してくださったりしました。
小宮孝泰さんも役のことについて、ご自身の役と山本舞子との関係性がどうなのかをお話してくださりました。皆さんと共演させていただいたおかげでホステスとしての演技が非常にやりやすくなったのでとてもありがたかったです。
その中でも印象に残っているのは、元総理大臣役の永島敏行さんが初めてクラブZに来たシーンです。クランクインの日だったんですけど、スタジオで元総理大臣として入ってくる永島さんを見た時に、本当に物凄いオーラを感じて、ちょっと恐縮してしまうくらいの感じだったんです。若干緊張もあったんですけど、撮影以外の時に永島さんの方から積極的に話しかけてくださって。それで大分リラックスしてお話させていただいたり、撮影に臨むことが出来たので、本当に支えていただいたことに本当に感謝しています。
―― 経験豊富なので、現場の雰囲気作りなどよくご存知なんでしょうね。市原さんは、そんな永島さんがお父さん役でしたがいかがでしたか?
市原綾真さん
台本を読んで演技の練習をしていく中で、塩村歩というお父さん像をかなりイメージはしていたんですけど、当日お会いして撮影に入っていくと、“あっ、お父さんだ!”っていう感覚になるんです。
それを受けて、素直に演技をさせていただいた感じがあって。威厳というか存在感がありつつも、撮影の合間には凄くフランクに話しかけてくださって、緊張を解いていただいたことがありがたかったです。
「未来の科学」の教祖・橘勝子役の芦川よしみさんとも共演させていただいて、人の人生を導く立場の役ということで、役も相当作り込りこんだとは、おっしゃっていたのですが、もう目を見ただけでも心を見透かされているかのような感覚を受けた瞬間があって。役として本音を吐露するシーンで、“自分は確かに間違っていたかもしれない、欲があったかもしれない”っていう気持ちが物凄く素直に引き出された感覚がありました。これは自分でもビックリしました。
―― 言葉ではない佇まいや雰囲気、演じ手のエネルギーみたいなものが演技の瞬間・瞬間に出てくるのですね。続いてストーリーについてですが、女性が自然に備えている見た目の美しさがあると思うのですが、それが妖艶さから妖魔へと化す境目があるとすれば、それは何なのか?作品を通して感じていることや考えられたことがあればお聞かせください。
市原綾真さん
その境目は、心のところかなと思います。同じ見た目でも、同じ行動をしていても、その心根において相手のためを思って幸せになって欲しいと思ってやっているのか、それとも自分が評価されたいとか自分が好かれたい、自分がチヤホヤされたいと思っているのか、この違いなのかなって思います。
長谷川奈央さん
私も同じです。欲って人間誰しもあって、それをゼロにすることは出来ないけど、それが過ぎた時に妖魔的に惑わすものに変わっていくのかなって。私もこの美しさの見極め方、“山本舞子とそうではない本当の美しさを持った女性の違いって何だろう?”って凄く難しかったんですけど、山本舞子自身も結構表面的には相手のことを思って良いことをしたり、相手にとって励みになるような言葉を言ったりとか、相手が喜ぶようなことをしてあげたりするんですけど、その心の中は絶対に本当に相手に幸福になってほしいと思ってやっているわけではない。それが決定的な違いだったので、私も演じる時にそこは一番気をつけて演じました。
現場でも山本舞子として演じている時に、“長谷川奈央(自身)として、本当に良いことをしよう”みたいな感じで演じている瞬間があったみたいで、その時はモニターに映った時の表情が違って見えたみたいです。プロデューサーが現場まで来て、「今、ちょっと奈央になっているからもっと欲を出して。山本舞子だったら“(相手を落とす瞬間が)よし、きたっ!”って思うはずだからこそ強く持って」と言われました。
だから、例え良いことをしていてもずっと心の中では違うことを思っている、裏・表の部分もかなり意識して演じていたので、そこが違うのかなって思います。
―― 確かに、銀行員として業務をする山本舞子はお客さんのことを気遣ってるけれども、何かそれが形だけのもので、もしくは自分のためにやっていると感じました。最後にお二人それぞれお気に入りのシーンを教えてください。加えて、長谷川さんは綺麗なドレスを着こなされていましたが、お気に入りのドレスについて。また、市原さんはどんな女性がタイプなのかを教えてください!
長谷川奈央さん
一番好きなシーンは、海空様に太郎が悟されるシーンが凄く好きです。二人とも誘惑したりされたりみたいな中で海空様の声が聞こえてきて「政治とは自分のためにやるものではない。神のご加護があってのものだ」って“バシッ”と喝を入れられるシーンです。希望が見える瞬間で、私は何度この映画を観ても“ハッ”と気付かされるというか、感動します。そこで太郎が気付いて“何て自分は愚かだったんだろう”って自分の過ちに気付く瞬間が凄く好きなシーンです。
好きなドレスは、最初に太郎とお会いする時に着ていた時の白いドレスが一番好きです。肩が出ているあのデザインのドレスをずっと着てみたいなって小さい頃から思っていて、お絵描きする時もいつもあのデザインを描いてたので、念願が叶ったような気持ちになりました(笑)
市原綾真さん
スゴイ形で叶いましたね(笑)
長谷川奈央さん
はい、叶っちゃったんです(笑)
市原綾真さん
好きなシーンは長谷川さんと一緒です。太郎が過ちに気付いた瞬間の心の変化。自分のために生きていたことに気付いてそれを認めて、人のために生きようと立ち上がっていく瞬間です。もう一つはやっぱりラストシーンです。今度はその変わった太郎の心や愛を受けて、舞子の心が変わる瞬間。台詞こそ多くないものの、心情の変化が明らかに変わっている瞬間は何度見ても感動するシーンです。
好きなタイプは、自然体によく笑い、よく食べる人です(笑)
僕がどうしても人の目を気にしてしまうタイプだったので、人にどう思われるかよりも、自分の好きなところをよく分かっているとか、飾り気のない自然体で生きている人に凄く魅力を感じます。自分も“フッ”と力が抜けるような感覚になるので。
―― ありがとうございました!
キャスト
長谷川奈央 市原綾真 芦川よしみ
モロ師岡 矢部美穂 中西良太
デビット伊東 千眼美子(特別出演)
杉本彩 永島敏行
監督
赤羽博
製作総指揮・原作
大川隆法
音楽
水澤有一
脚本
大川咲也加
配給:日活
©2021 IRH Press
公式HP:https://utsukushiki-yuwaku.jp/
大ヒット上映中
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