アメリカのミネソタ州で黒人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首を圧迫され死亡した事件から5月25日で1年。 【写真】囚人貸出制度下の黒人受刑者たち 事件をきっかけに、黒人差別に抗議するブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大事だ)運動が起き、世界中に広がった。 黒人差別の起源となった奴隷制は、南北戦争が終わった1865年にできた合衆国憲法修正13条によって禁止されたが、黒人たちを「搾取」するシステムは今なお存在する。 その一例が「監獄ビジネス」と呼ばれるものだ。奴隷制の現代版とも呼べるこの構造に詳しい上杉忍・横浜市立大名誉教授(アメリカ現代史)に聞いた。
――監獄ビジネスとはどんなものですか。 監獄、つまり刑務所の運営をめぐって税金を含めた巨大なお金が動き、様々な組織や人たちが利益を得ている仕組みです。服役するものの割合は圧倒的に黒人が多いため、ある意味、彼らが搾取されているとも言えます。 順を追って説明しましょう。ちょうど民主党のクリントン氏が大統領だった1994年から2001年にかけて、全米各地で刑務所が増えました。 大統領選の中で、犯罪対策が甘いと批判されたクリントン氏は就任後、警察予算を急増させ 、取り締まりを強化します。例えば重罪で3回有罪判決を受けたら、懲役25年から終身刑になるという「三振法」が成立しました。 問題はこの重罪の範囲です。酒酔い運転や麻薬使用なども含まれ、受刑者はどんどん増加しました。これに伴って刑務所も増えたのですが、刑務所というのは巨大な利権のようなシステムなんです。 まず、刑務所が立地する州には連邦政府から補助金が出るほか、過疎対策にもなる。刑務所が誘致できれば受刑者はその場所の住民にカウントされ、その結果、議会などの代表権も増えます。 刑務所で働く人も必要なので雇用も創出されるほか、受刑者のための物資の納品や光熱費で潤う業者も出てくる。民間企業がビジネスとして刑務所経営に乗り出し、ノウハウを蓄積して海外にも刑務所ビジネスを展開するようになりました。 企業は受刑者たちに作業をさせてもうけますが、賃金は格安だし、健康保険や厚生年金(のコスト)を支払う必要もありません。作業内容は拡大し、電話のオペレーター業務をやる場所もあるほどです。 刑務所を誘致できる政治家を有権者は選出し、結果的に刑務所に服役者を送ることになる司法関係者の中には刑務所を運営する企業などに再就職するものもいる。企業、政治家、司法関係者…、刑務所をめぐる巨大な利権に群がる組織や人たちは「産獄複合体」と呼ばれています。
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