クロスオーバーSUV百花繚乱時代、各メーカーから隙間なく、実にさまざまなモデルが登場している。
クロスオーバーSUVと聞いて、昔からのファンからは軟弱のSUVばかりで、昔ながらの無骨なクロカン四駆はないのか? という声も聞かれてくる。
そんな声がメーカーに届いたのか、スズキジムニーをはじめ、メルセデスベンツGクラス、ジープラングラーなど昔ながらの無骨なクロカンSUVをリリースし、大ヒットしているのはご承知のとおりだ。
そして、2020年7月には、フォードがブロンコを復活させ、日本導入となったランドローバーの新型ディフェンダーも、昔のデザインをモチーフにしたレトロ&モダンで無骨なSUVだ。
そこで、最も無骨なクロスオーバーSUVは、どのクルマか? モータージャーナリストの岩尾信哉氏が独断と偏見でランキング!
文/岩尾信哉
写真/ベストカーweb編集部
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1位:スズキジムニー/日本の宝、世界の宝!
2018年7月にジムニー/ジムニーシエラが発表された当時、昔ながらの四角いボディで、4WDフリークのみならず、一般人も熱狂させた。その功績は大きい。文句なしに最無骨SUV、NO.1でしょう!
しかも口うるさいクロカン四駆愛好家を黙らせるラダーフレームでオフロードでの走りも不安なし。スタイル、メカニズム、インテリアのデザイン1つとってみても、軟弱なSUVをひれ伏す無骨さに溢れている。
ただ、惜しむらくは納期が1年以上と長いこと。ただし、1年待った甲斐のあるクルマなので、待つしかないか……。
2位:ジープラングラー/本物のジープはレトロモダンでワイルド
2018年10月、11年ぶりにフルモデルチェンジした現行ジープラングラーは、愛嬌のある丸目ヘッドライトをはじめ、7本のあるスリットなど、伝統的なジープスタイルを継承。
誰もがジープはこうあるべきと思う姿をしている。世界を見渡しても、こんなにわかりやすいクルマは珍しい。
軍用のウイリスMB型を起源とするジープブランドの元祖であるラングラーは、2ドアのスポーツと4ドアのアンリミテッドで構成される。
搭載エンジンの基本は3.6L、V6(284ps/347Nm)、アンリミテッドサハラのみ2L、直4ターボ(270ps/400Nm)を設定する。
ラングラーも日本仕様では8速ATの4WDが基本となっても、硬派4WDの証明たる前後リジットサスペンションやボール循環式ステアリングを採用。
なかでもルビコンに限っては副変速機付きパートタイム4WDを搭載しているので悪路走破性はハンパない。
ジムニーか、ジープラングラーかNO.1をどちらにするか最後まで迷ったが、ジムニーはやはり日本の宝、手ごろな価格で買えるという点においても、ジムニーは世界一だと思う。
3位:メルセデスベンツGクラス/無敵のオフロードキング
欧州では2018年1月の米国デトロイトショーでフルモデルチェンジしたGクラス。
このモデルにはかつて名付けられた“ゲレンデヴァーゲン”のほうがなじみ深い。日本市場では2018年6月に発表された。
メルセデスベンツは現行モデルを開発する際、ゲレンデヴァーゲンオーナーに次期型をどうするかリサーチしたところ、現在のスタイルをそのまま活かしてほしいという意見が多かったらしい。
旧型から新型になった時、どのように進化させるのか、世界が注目したが、一見、新型とわからないほどの変貌ぶりに世界がたまげた。
旧型から流用した部品はドアハンドルやスペアタイヤカバー、サンバイザーなどわずかな部分に留まるが、コードネームはW463を継承した。
まごうかたなきGクラスとしてのスタイルやムードは頑なに守りつつ、安全性能や快適性、環境性能を現代基準にアップデート。
ウィンドウには伝統的な板ガラスを採用しつつも、フロントウィンドウのみわずかに曲面を付け(=空力、風切り音対策)、フロントフェンダー上部にそびえるターンシグナルもは衝撃を加えると下に落ちる仕様(=歩行者保護)とするなど、「GクラスがGクラスであるために」気の遠くなるような工夫が盛り込まれている。
また、アルミニウムを多用したフレームボディや新型9速AT、LEDの丸型ヘッドランプ、レトロ&モダンなコクピットなど、絶妙に昔ながらの無骨さを残しているところが実にうまい。
この先、旧型のように40年もほとんど変えずに生きていくのか、興味深い。
4位:トヨタランドクルーザー/日本のクロカン四駆の王様
現行のトヨタランドクルーザーの200系は2007年の登場だから、そろそろ次期300系のモデルチェンジも噂されつつあるが、この200系を外すわけにはいかない。
2014年に30周年を記念して日本市場で期間限定発売されたランクル70も話題になったが、現在の“ランクル”はレクサスLX(5.7L V8搭載)と海外市場では商用仕様も存在する(UNの文字を備えた国連の活動用車両もニュースでも見かける)。
現行モデルはモノコック構造のボディ採用と独立式サスペンションなどに変更を受けたため、発表時には「ついにランクルも日和ったか」というたわいもない批判もあったが、肝腎なのは世界のあらゆる舞台での性能であり信頼性であり、過去のモデルのイメージというか伝統が圧倒的な「無骨さ」を与える理由に違いない。
5位:フォードブロンコ/アメリカで人気爆発中
1965年に登場した初代から1996年に先代が生産終了になっているから、約24年ぶりの復活となったブロンコ。
もともと旧型の無骨なブロンコ(アーリーブロンコ)が人気だったのに目を付けたフォードが復活させたわけだが、新型の発売前かリーク画像が流れ、異常とも思えるほどの人気を得ている。
新型は「ブロンコ2&4ドア」と「ブロンコスポーツ」が用意され、前者はプラットフォームをピックアップトラックのフォードレンジャーと共用として、2ドアに加えてブロンコとして今回初めて4ドア仕様が加わった。
スポーツはSUVのエスケープ(足回りは前:マクファーソン・ストラット、後:独立式)をベースとするので、推すのはあくまで「ブロンコ」のほうだ。
2ドアボディは、標準で3分割式の脱着式ルーフを採用。4ドアボディは4分割式となる。取り外しが可能なフレームレスドアが標準で採用されている。
新型ブロンコの4×4システムには2種類あり、ベースシステムは「2速電子シフト オン ザ フライ トランスファーケース」を採用。高度な4×4システムはオプションとなり「2速エレクトロ メカニカル トランスファーケース」に、オプションのエンゲージメントモードを追加することで、2ホイールと4ホイールの間での配分調節がが可能となる。
また、どちらもSpicer製のPerforma TraK電子ロックデファレンシャルを採用し、Dana製の44AdvanTEKソリッドリアアクスルと、同じくDana製AdvanTEK独立フロントデファレンシャルユニットに駆動力を分配し、起伏の多い地形でのトラクションを向上させる。
最低地上高は、クラス最高の11.6インチ(約30cm)を誇り、左右最大29度のブレークオーバー角度、37.2度の出発角度、さらに、最大33.5インチ(約85cm)と、クラス最高のウォーターフォーディング(河渡り)機能と、セグメントをリードするレベルのオフロード機能を持つ。
6位:なぜ日本市場で買えない?/日産パトロール
日産パトロールは日本市場ではかつてサファリとして販売されていたクロカン四駆。初代は1965年登場というから歴史あるモデルだ。
2019年9月にはアラブ首長国連邦のアブダビで発表されたビッグチェンジしたパトロールのボディサイズは、全長(牽引フック込み)5315×全幅1995×全高1940mmを誇るアラブの富豪好みのラージサイズSUVだ(最低地上高:273mm)。
エンジンは400ps/560Nmを発揮する5.6L、V8と、同じく275ps/394Nmを発揮する4L、V6も用意されている。
流行りのLEDヘッドライトとフラットに仕立てられたマスクなど今風のエクステリアを与えられてリニューアルされたが、どうですか、この無骨さ。レクサスLXより凄い顔してませんか? 日本でも売れるのではないだろうか。
7位:ランドローバーディフェンダー/72年ぶりに進化したランドローバーの始祖
2019年9月のフランクフルトショーでワールドプレミアを迎え、日本市場でも2019年11月に発表された新型ディフェンダーもひと目でそれとわかる姿を纏っている。洗練された無骨とでもいいましょうか、若者にもウケそうです。
出自を軍用車両に対応できる「オフローダー」であるディフェンダーは、新型のボディはついに新開発されたアルミニウム製モノコック構造を採用。
エンジンもジャガー&ランドローバーの新世代の2L直4ターボ(300ps/400Nm)を搭載。
3ドアの「90」はコイルサスペンション、5ドアの「110」はエアサスペンションを組み合わせるなど、オフロード性能と快適性を両立させる工夫が見られる。
8位:いすゞMU-X/いすゞのアジア向けSUV
いすゞのSUVといえば、ビッグホーンやビークロスなどの名車を思い出しますが、現在でもアジア向けに販売されているのがいすゞMU-X。
2013年に東南アジア地域で発表、2014年に発売した、いすゞがピックアップトラックのD-MAXをベースとして仕立てた、3列/7人乗りのSUV。
ボディサイズは全長4825×全幅1860×全高1825~1860mmという堂々とした体躯で、昔のいすゞSUVを知っている人は乗ってみたいと思うはずだ。MU-Xという車名もウィザード/ミューを思い起こさせ、懐かしい。
搭載されるエンジンは、3L、直6ターボディーゼル(176ps/380Nm)に5速のMT/ATを組み合わせる。
エッジの訊いたマスクとタフさを演出したエクステリア、アジアで強みのあるいすゞが仕立てたピックアップベースという成り立ちに無骨さを感じ、選んでみました。
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August 08, 2020 at 07:00AM
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