4月14日に、セリーヌ(CELINE)が2021年ウィンターコレクション「パレード(PARADE)」をフィルム形式で発表した。シャンボール城で撮影されたセリーヌ オム(CELINE HOMME)に続き、今回の舞台はパリから55kmほど離れた、バロック式のヴォー=ル=ヴィコント城。17世紀のフランスの著名な造園家、アンドレ・ル・ノートルによってつくられた、敷地内の庭園で撮影された。
壮麗な景色の中で、モデルたちは悠々と闊歩。まず序盤に目に留まるのは、母親のクラシカルなジャケット、父親のビッグサイズのヘリンボーンコートといった、両親のクローゼットに眠っていそうな仕立ての優れたアイテムと、カジュアルなものをミックスさせたスタイリングだ。アシンメトリーにカットされたクロップドトップを差し込んだスタイリングからも、Z世代を意識しているのは明らかだ。ラフに見せたレイヤリング手法など、TikTokに夢中のE-Boyを象徴するスタイルも登場した。
ブルジョワジーやグランジといったキーワードで語られてきたセリーヌだが、今回は、クチュールのような精巧なピースが中心だ。ゆったりとしたシルエットに落とし込まれ、あえてデイリーな装いと組み合わせている。これまでもユースカルチャーに着目してきたエディ・スリマンは時代を読み取り、メゾンのクラシックなコードと融合させることで、新しいスタイルを生み出している。
短文で綴られたコレクションノートには、シャルル・ボードレール、ポール・ヴェルレーヌ、アルチュール・ランボーといった、若者の心情を捉えた表現で知られる、フランスの詩人による言葉が引用されている。なかでも、ランボーの「客寄せ芝居(PARADE)」から抜粋された、「このワイルドなパレードへの鍵を持つのは、私一人だけ(I ALONE HAVE THE KEY TO THIS SAVAGE PARADE)」という一文は、「おとぎ話」と表現された本コレクションのフィルムのラストシーンと重なるようだ。
パーティー、クラブ、フェスが長らく禁止されている今日、ビーズで埋め尽くされたクリノリン・シルエットのドレスを着た少女は、空に打ち上げられた花火を遠くから見ながら、涙する。彼女がそのドレスを纏って出かける機会はまだないが、スリマンとセリーヌはハッピーエンドが訪れることを夢見ている。少なくとも、その服がぽっかりと空いた心を埋めてくれると信じて。
※CELINE 2021-22年秋冬コレクションを全て見る。
Photos: Courtesy of Celine Text: Maki Saijo
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