「週刊SPA!」の署名を振り返って
2019年の初めに私は「週刊SPA!」が2018年12月25日号で「ヤレる女子大学生RANKING」を掲載したことに対する署名活動を行い、「週刊SPA!」編集部と対談を行った。
正直それまでの自分は、日本社会の女性軽視に対し絶望をしていて「もうこの国に住みたくない」と諦めて、特にジェンダーに関するアクティビズムには関わってこなかった。
ただ、あの記事を見た時の恐怖感と怒り、その衝撃により始めた署名活動は数日間で4万人を超える署名が集まった。
「こんな記事が出てしまうなんてありえない」その思いが何より先を走った。
その署名活動から一年が過ぎ、毎日ジェンダーについて考えさせられ、学びながら生活をしてきた。
ただ、それと同時に私は毎日絶望するニュースや発言を聞いている。
そして自分でも気づかないうちに、いつの間にか、様々なものに対し感覚が麻痺をし始めていたようだった。
女性を蔑視、差別する発言、政治家や著名人によるセクシュアルマイノリティへの差別発言、在日外国人や日本に在住する外国人に対するヘイトスピーチ、ありとあらゆるものに毎日触れていて、自分の中でどんどんと「絶望」が「無」へと変わっていった。
だから、Voice Up Japan の学生メンバーから話をされた時は、すぐに「そうだね。何かしよう」と署名を立ち上げる準備をした。
社会が変わらないのであれば、私たちが変えないといけない
「女性軽視発言をした岡村隆史氏に対しNHK『チコちゃんに叱られる』の降板及び謝罪を求める署名活動」を始めて数日経つが、私は反対意見にもきちんと目を向けている。
反対意見を述べている人の言いたいことはわからなくもない、何故そういう主張をしているのかも理解できなくもない。
ただ、その彼らの反対意見に私が一番感じるのは「危機感」である。
日本では何十年にも渡り「女性差別・蔑視発言」が横行してきた。
そして自分自身物心がつく時からテレビやラジオ、雑誌や漫画を見て疑問を抱いてきた。
私の考えや活動を応援してくださる、私より10年、20年、30年歳上の方(ジェンダー関係なく)からこんな風に言われることが時々ある。
「この状況は何十年も続いてきた。そして私たちは何もしなかった。その代償を背負わせてごめんなさい。だから、私たちはあなたたちを応援します」
上の世代を責めるつもりは全くない。
だけど、同時に女性差別や蔑視に溢れる社会をかえることができなかったという点においては、ある程度の「責任」はあるのではないか、と思う。
政治家が女性やセクシュアルマイノリティ、外国人や障害者に対して発する差別発言を何度聞いてきたか。
著名人が女性やセクシュアルマイノリティ、外国人や障害者に対して発する差別発言を何度聞いてきたか。
定型文のような「謝罪」で満足している社会
では、ここ数年で状況は良くなっているか?
私は、良くなっていないと思う。
むしろ酷くなっているのではないか、と思う事の方が多い。
「グローバリズム」「ダイバーシティー」「女性活躍」などの言葉がよく見られるわりには差別や蔑視が存在する状態は継続していると思う。(むしろジェンダーギャップランキングは下がり続けている)。
だからこそ、今回の「女性軽視発言をした岡村隆史氏に対しNHK「チコちゃんに叱られる!」の降板及び謝罪を求める署名活動」には意味がある。
今まで署名人や政治家の「問題発言・差別発言」は炎上して、「不快な思いをさせて申し訳ありません」と定型文のような謝罪文で済まされてしまってきた。
そして謝罪をした次の日には、また誰かの似た発言が「炎上」して…の繰り返し。
それは社会が定型文のような「謝罪」で満足をしており、そういった発言にどんどん寛容になってきているからではないのか?
だから私は、社会として「差別や蔑視に寛容的はない」という声明を出す必要があると思っている。
そして被害者が傷つくばかりではなく、加害者がその行動や発言に責任を取る社会にならなければいけないと思う。
何より、社会やメディア、権力との戦いを、絶対に次の世代には背負わせたくない。それが、私が感じている私の「責任」だ。
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May 01, 2020 at 02:04PM
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岡村隆史さんの発言に対する「署名はやりすぎだ」。その声に対して、22歳の私が持つ危機感 - HuffPost Japan
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