Thursday, May 28, 2020

トランプ氏、SNS企業の規制を狙う大統領令に署名 - BBCニュース

ドナルド・トランプ米大統領は28日、ソーシャルメディア事業者に認められている法的保護の一部を廃止する大統領令に署名した。

これにより当局は、フェイスブックやツイッターなどの企業に対し、投稿内容の規制方法をめぐって法的責任を問えるようになる。

トランプ氏は署名の際、ソーシャルメディアについて、「野放しの権力」を有していると非難した。

この大統領令に対しては、訴訟が起こされると見込まれている。

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法律の専門家らは、ソーシャルメディア事業者を保護しているとされる現在の法的解釈を変更するには、連邦議会か裁判所の関与が必要としている。

トランプ氏はたびたび、ソーシャルメディア事業者について、保守的な発言を抑圧や検閲していると批判している。

トランプ氏は27日、ツイッターが自らの投稿2つにファクトチェック(事実確認)のリンクを足したことを受け、選挙への干渉だと非難した。

ツイッターは28日、新型コロナウイルスはアメリカが発生源だとする中国政府の報道官の投稿2つに、「COVID-19に関する事実を知ってださい」というラベルを付けた。

大統領令の中身は?

大統領令は、フェイスブックやツイッター、YouTubeなどのオンライン事業者に特定の状況における法的保護を認めている米通信品位法について、解釈を明確にするのが狙い。

同法230条では、ソーシャルメディア事業者は一般的に、利用者の投稿の内容に対して責任を問われることはないとされている。同時に、わいせつや嫌がらせ、暴力に関する内容を排除するなど、「よきサマリア人の阻止」と呼ばれる良識に基づいた行為を認めている。

大統領連は、ソーシャルメディア事業者が利用者の投稿を編集した場合には、この法的免責は適用されないと指摘。同法230条を「削除または変更」する法律の制定を議会に求めている。

また、事業者が自社サイトに明記してある理由以外で投稿を削除するなど、「欺くような」投稿阻止も免責されるべきではないとしている。

トランプ氏は、ウィリアム・バー司法長官が「直ちに」法案を作成し、議会で表決にかけると述べた。

共和党議員も支持

マルコ・ルビオ上院議員(共和党)らは、ソーシャルメディア事業者に対し、特定の投稿にファクトチェックのラベルを付ける場合は「出版社」の役割を担うべきだと訴えている。

ルビオ氏は、「法律が今もツイッターなどのソーシャルメディア企業を保護しているのは、出版社ではなくフォーラム(意見表明などの広場)とみなされているからだ」と述べた。

「それらの企業が出版社のような編集の役割を果たすと決めたのであれば、もはや法的責任の追及から保護されるべきではなく、法律によって出版社として扱われるべきだ」

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そのほか、大統領令は以下を求めている。

  • 連邦通信委員会(FCC)が、どのような種類の投稿阻止が偽装的で、ソーシャルメディア事業者の規約に合致しないかを明示する
  • ソーシャルメディアへの政府広告の見直しと、事業者が特定の見解に立った規制をしていないかを検証する
  • 市民がソーシャルメディア事業者による不公正な対応について通報できる、ホワイトハウスの「テック偏見通報ツール」を再構築する

事業者側の反応は?

今回の大統領令についてツイッターは、「画期的な法律に対する反動的で政治的なアプローチ」と表現。米通信品位法230条は、「アメリカの革新と表現の自由を守っており、民主主義の価値に支えられている」とした。

YouTubeを所有するグーグルは、230条の変更を「アメリカの経済と、インターネットの自由を世界的にリードする役割を損なう」ものとした。

同社はBBCの取材に、「投稿内容に関する明確な方針があり、政治的見解と無関係に実行している。私たちのプラットフォームは、あらゆる政治的立場の幅広い人々や組織に、発言の機会と聴衆への新たな到達手段を与えることで、彼らを力づけてきた」と声明を出した。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は27日、FOXニュースのインタビューで、検閲を懸念している政府がソーシャルメディア事業者に対して検閲行為をするのは「正しい反応」ではないと述べた。

「フェイスブックは、人々がオンラインで発言することすべての真実性の裁定人となるべきではないと強く信じている」とザッカーバーグ氏は主張。

「一般的に民間企業、特にこれらプラットフォーム企業は、そうしたことをする立場にいるべきではないと思う」

「言論の自由を損なう恐れ」

保守系シンクタンクのケイトー研究所は、今回の大統領令は意図しない結果を招く可能性があると警告する。

「ソーシャルメディア企業に対するこの保守的な運動は、長期的には言論の自由に壊滅的な影響を及ぼしかねない」と同研究所のマシュー・フィーニー氏は話す。

また、通信品位法を改め、「ソーシャルメディア企業に政治的中立性を強いる」ことで、ソーシャルメディアにはポルノや暴力的な画像、人種差別など、「事業者が本来なら削除したいと思う合法的な投稿」があふれる恐れがあるとする。

「または、私たちが現在、ソーシャルメディアで慣れ親しんでいる自由な情報の流れを止めるほど、投稿内容を審査することになるかもしれない」とフィーニー氏は主張する。

フィーニー氏は、大統領令の草案は「めちゃくちゃ」だが、大統領選挙に向けて政治的な支持を集めるかもしれないと述べた。

これまでの経緯

ドナルド・トランプ米大統領のツイート2つに対し、ツイッターは26日、初めてファクトチェックに関するラベルを付けた。

トランプ氏は、「郵送投票は実質的に不正なものにならないとは(絶対に!)言い切れない」と、証拠を示さずツイートした。

これに対しツイッターは、投稿の最後の部分に警告ラベルを付けた。さらに、この主張は「根拠がない」とするウェブサイトへのリンクを貼った。

トランプ氏は27日、ソーシャルメディア事業者を「強力に規制する」と威嚇。自身のツイッターの8000万人を超えるフォロワーに向かって、事業者は「保守派を安全に黙らせる」つもりだと共和党員らは感じており、そんなことは許さないとツイートした。

この前には、トランプ氏はツイッターについて、「言論の自由を完全に抑圧している」とツイートした。

ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は28日、「ファクトチェック:企業としての行動に最終的な責任を取る人物がいる。私だ。どうか従業員をこの問題に巻き込まないでほしい。私たちは世界中の選挙における不正確または真偽が争われている情報を指摘し続けていく。そして間違いがあれば認めていく」とツイートした。

トランプ氏は26日、フェイスブックでも郵送投票に関する同様の投稿をしたが、警告の対象にはならなかった。

ツイッターは近年、不干渉主義的な運営方法が偽アカウントや偽情報がはびこるのを許しているとの批判を受け、方針を強化している。

(英語記事 Trump signs order targeting social media giants

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