Saturday, April 18, 2020

令和2年4月17日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見 | 令和2年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース - 首相官邸

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【安倍総理冒頭発言】

 緊急事態宣言を発出してから10日がたちました。この間、毎朝、店を開き、食料品など生活必需品を棚に並べてくださっている皆さんがいます。レジの対応をしてくださっている皆さん、そして、物の流れを絶やすことのないよう、昼夜分かたず配送に携わっている皆さんがおられます。緊急事態の中にあっても、私たちの生活を守るために事業を、営業を継続してくださっている皆様に心より感謝申し上げたいと思います。
 高齢者の介護施設や、保育所などでは、多くの職員の皆さんが感染予防に細心の注意を払いながら、必要とする方々のため、事業を続けてくださっています。電力やガス、水道の供給、ごみの収集・焼却、鉄道の運行、こうした社会インフラがしっかりと維持されなければ、私たちの生活は成り立ちません。そのために日夜、頑張ってくださっている皆さん、こうした皆さんの存在なくして、私たちは長期にわたるこのウイルスとの闘いに打ち勝つことはできません。目に見えない恐ろしい敵との闘いを支えてくださっている、こうした全ての皆様に心より御礼を申し上げます。
 そして、人と人との接触を最低7割、極力8割削減するとの目標の実現に向けて、外出自粛の要請に応えてくださっている国民の皆様に改めて感謝申し上げます。
 事業者の皆さんにも在宅勤務を原則とするなど、多大な御協力を頂いています。
 しかし、1日当たりの新規の感染者数は、まだ減少には至っていません。東京都では、本日、過去最高の200人を超える感染者の報告がありました。大変厳しい状況です。
 都市部の平日の人出は、感染拡大前と比べて、東京の渋谷周辺では6割程度、大阪の梅田周辺では7割程度減少していますが、いまだ目標のレベルには達していません。最低7割、極力8割の接触削減を実現できない限り、1日当たりの新規の感染者数を大きく減少に転じさせることは困難です。
 累積の感染者数は、東京都では既に3,000人に迫っています。大阪府でも1,000人を超えました。各地で軽症者の皆さんにホテルなどで療養していただく取組も進んでいますが、医療現場からは悲鳴が上がっています。守れる命も守れなくなる。感染リスクと背中合わせの中で、現場の医師や看護師の皆さんの肉体的な、精神的な負担は限界に達しています。
 皆さんに改めてお願いいたします。どうか、外出を控えてください。できる限り、人との接触を避けてください。そのことが医療現場を守り、多くの命を守ることになります。ひいては、皆さんや皆さんの愛する人たちを守ることにつながります。全ては私たち一人一人の行動にかかっています。
 昨日、緊急事態宣言の区域を7都府県にとどまることなく、日本全国へと拡大することといたしました。尾身会長を始め、諮問委員会の専門家の皆さんから賛同を頂き、政府対策本部において決定したものです。
 足元では、全国各地でクラスターと呼ばれる集団感染が確認されるようになっています。これについては、3月の三連休における緩み、都市部から地方への人の移動が全国に感染を拡大させた可能性があるというのが専門家の皆様の分析です。
 また、東京都や大阪府など7都府県では、既に知事による休業要請などが進む中で、一部にコロナ疎開と呼ばれるような、外の地域への人の動きが見られるとの指摘があります。間もなくゴールデンウィークを迎えますが、感染者が多い都市部から地方へ人の流れが生まれるようなことは絶対に避けなければならない。それは最も恐れるべき事態である、全国的かつ急速なまん延を確実に引き起こすことになります。
 先週の記者会見でも申し上げましたが、地方には重症化リスクが高いといわれる高齢者の方々がたくさんいらっしゃいます。その感染リスクが高まれば地域医療に大きな負担となり、ひいては、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあります。
 こうした事態を避けるため、大型連休に先立ち、それぞれの地域で観光施設への休業要請も必要となるでしょう。人の流れを、人の流入を防ぐため、各地域が所要の緊急事態措置を講じることができるよう、今般、緊急事態宣言の対象を全国に拡大することとしました。
 そのため、期間についてはこれまで同様、ゴールデンウィークが終わる5月6日までといたします。あと20日間、日本全体が一丸となってこのウイルスとの闘いを闘い抜いていく。全国の都道府県と手を携えて、皆さんの健康と命を守るため、あらゆる手段を尽くしていきたいと考えています。
 今回、緊急事態宣言を全国に広げ、全ての国民の皆様に御協力をお願いします。感染症の影響が長引き、全ての国民の皆様が厳しい状況に置かれています。長期戦も予想される中で、ウイルスとの闘いを乗り切るためには、何よりも、国民の皆様との一体感が大切です。
 国民の皆様と共に乗り越えていく。その思いで、全国全ての国民の皆様を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことを決断いたしました。収入が著しく減少し厳しい状況にある御家庭に限って、1世帯当たり30万円を給付する措置を予定しておりましたが、国民の皆様から寄せられた様々な声、与野党の皆様の声も踏まえまして、更に給付対象を拡大することといたしました。
 これに伴って、現金給付の総額も、これまでの6兆円から14兆円を上回る規模へと大幅に拡大することとなります。補正予算の編成をやり直すこととなるため、更に1週間程度の時間を要することとなりますが、速やかな国会成立に向けて御協力をお願いしたいと思います。
 ここに至ったプロセスにおいて混乱を招いてしまったことについては、私自身の責任であり、国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと思います。
 日々、事態が大きく推移する中で、国民の皆さんの健康と暮らしを何よりも最優先に、そして、国民の皆さんの声にしっかりと耳を傾けながら、常にベストな判断をするよう、最善を尽くしていく。その責任をこれからも果たしていく決意であります。一日も早く、現金を皆さんのお手元に届けられるように、実施に当たる自治体や関係機関の方々と協力し、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 リーマンショックのとき、全国民一律に配付した定額給付金の際には、皆さんに案内をお送りする作業だけで3か月もの時間を要しました。そのため、今回はスピードを重視するとともに、申請する人が殺到して感染リスクが高まることを避ける観点から、手続については市町村の窓口ではなく、郵送やオンラインによることにしたいと考えています。
 緊急事態宣言が拡大することにより、全国の観光業・飲食業の皆さん、イベントに携わる方々には大変な御苦労をおかけしています。事業者の皆さんへの現金給付も速やかに実施していきます。休業要請を行っている自治体では、個別に協力金をお配りする動きもありますが、国として休業要請した、そして、休業要請に応じた方々のみならず、今回の感染症で売上が減少した事業者の皆さんを全国的に幅広く支援してまいります。
 中小法人は200万円、フリーランスを含む個人事業者の皆さんには100万円を上限に、国として現金給付を行ってまいります。
 また、納税時期が迫っている皆さんも多いと思いますが、納税や社会保険料の納付を猶予することで、手元資金を事業継続に活用していただけるようにします。
 この困難な中にあって、本当に歯を食いしばって頑張っておられる皆様、必死に前を向いて取り組んでおられる皆さんを、政府はあらゆる手を尽くして支援してまいります。皆さんの努力は決して無駄にしません。共にこの緊急事態を乗り越えてまいりましょう。
 このところ相次いで病院内でのクラスター発生、院内感染が報告され、事態を大変憂慮しております。全ての医師、看護師、看護助手、そして病院スタッフの皆さん、臨床検査技師の皆さん、さらには保健所の皆さん、こうした皆さんこそが、今、最前線にあって、感染リスクと背中合わせの苛酷な環境でウイルスとの闘いに臨んでくださっています。
 この現実に立ち向かうため、国として自治体と連携し、感染予防に必要な医療防護具を1つでも多く現場にお届けします。医療用ガウンや高機能マスクなどを、産業界の全面的な協力を得て、調達いたします。今週から初診も含めたオンライン診療を先行的に解禁しました。院内感染のリスクを減らすためにも、全ての皆さんや、正に全ての皆さんに電話やオンラインでの診療を積極的に御活用いただきたいと思います。各地の医師会の協力も得て検査センターを設置します。かかりつけ医の皆さんが必要と判断した場合には、直接このセンターで検体を採取し、民間検査機関に送ることで保健所などの負担を軽減してまいります。
 厳しい現実に立ち向かうため、国としてこれまでに延べ13,000人を超える自衛隊員を動員し、自治体による軽症者の宿泊施設への移送などを支援してまいりました。医療資源を重症者に集中することで医療現場の負担軽減に取り組みます。
 今、この瞬間も重症者の命を救うため、命を守るため、懸命に治療に当たってくださっている医師、看護師の皆さん、医療従事者の皆さんのため、診療報酬を倍増するなど処遇の改善にもしっかりと取り組んでまいります。
 そして、現実に必死で立ち向かっている現場の皆さんに、私たちは心からの敬意と感謝の気持ちを表すことができます。現在の厳しい状況に全力で立ち向かっている医療従事者の皆さんに、全国各地で拍手を送り、また、ライトアップを行って、感謝の気持ちを示す取組が行われています。本当にありがとうございます。
 でも、私たちにはもっとできることがあります。それは目の前の現実に立ち向かうだけでなく、未来を変えることです。私たち全員が、今、不要不急の外出を避けることで、2週間後の新規の感染者数を劇的に減らすことができます。それは間違いなく、医療現場の負担を減らすことにつながります。2週間後の医療現場の状況を決めるのは正に今なのです。未来は私たちの今の行動にかかっています。医療現場を支えるため、その負担を減らしてください。皆さんの力で未来を変えてください。緊急事態に皆さんの御協力をお願いいたします。
 私からは以上であります。

(内閣広報官)
 それでは、これから皆様方からの御質問を頂きます。質問には安倍総理と尾身会長に御対応いただきますので、総理、会長におかれましては所定の位置に御移動いただけますでしょうか。質問の内容によりましては会長から御説明を頂くこともございますので、御了解を頂戴したいと思います。
 質問をされる方、恒例によりまして挙手でお願いいたします。私が指名をいたしますので、指名をお受けになった方は近くのスタンドマイクの前までお進みいただきまして、所属とお名前を改めて明らかにされた上で御質問をお願いいたします。質問の御希望の意思表示、発声ではなく挙手でお願いいたします。それでは、初めに幹事社の方から頂きたいと思います。どうぞ。

(記者)
 東京新聞・中日新聞の後藤です。
 緊急事態宣言の全国への拡大についてお伺いします。対象地域に追加するよう求めていた愛知県などからは評価する声がある一方、感染者が少ない地域では唐突な政府の決定に驚きの声も上がっております。国民の自由や権利の制限を伴う緊急事態宣言について、政府はこれまで累積の感染者数など3つの指標を重視し、慎重に見極めて判断するとしてきましたが、今回、一気に拡大した背景に厚生労働省のクラスター対策班が公表した厳しい先行きの指針などの推計があったのかを含め、政治決断に至った理由をお聞かせください。
 また、期間は5月6日までですが、今、総理から長期戦も覚悟されるというお話がありました。今後の生活に不安を抱く人も多い中、感染者数がどの程度になれば解除され、5月何日頃にどんな状況なら宣言を延長する判断を下すことになるのでしょうか。見通しをお聞かせください。

(安倍総理)
 今回、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大することになりました。もちろん中には、自分の県ではまだ本当に感染者は少ないのにという声もありましたが、しかし同時に、例えば全く今、感染者がおられない岩手県の方、テレビで見たのですが、ゼロだけれども、もしかしたらこの連休等に多くの方が東京とか、都市部からやってこられるかもしれない。そこで更に感染が広がるかもしれないので、あらかじめそういう指定をしてもらってよかったという声も聞いております。
 専門家の皆様によれば、都市部からの人の移動等によりクラスターが各地で発生し、全国的な感染拡大への傾向が見られるとの見解でありました。特に地方には、先ほどお話しをさせていただきましたが、重症化リスクの高い高齢者の方々がたくさんいらっしゃるわけであります。そこでもし感染が広がれば、医療現場に大変な負担がかかり、医療提供体制に、地域の医療にも大きな負担になるわけであります。
 このため、特にこの大型連休、ゴールデンウィークを迎えるに当たって、長期間の旅行や、また帰省等で多くの人が移動するということが予想される中にあって、人の移動を最小化するとの観点から、全国を対象にしたところであります。
 国民の皆様には、大変御不便をおかけいたしますが、この国難とも言えるこの状況を全ての地域の皆さんと共に乗り越えていきたいと思います。
 そのクラスター対策班の示した先行き、推計との関係においては、尾身先生、よろしいですか。

(尾身会長)
 先行きのことについては、実は、もう皆さん御承知のように、今、見ている報告数というのは、大体2週間前ということはもう何度も言われていますので、先行きどうなるかというのは、実は5月の6日ぐらい、1か月経ってみると、いわゆる極力8割というものがどのぐらい達成したのかということで、いわゆるこのエピカーブという感染のカーブ、これが当初に比べて、そのまま平坦(たん)なのか、あるいは残念ながら下がらないのか、あるいは下がっても、かなり急速、我々が期待するような下がり方をするのか、あるいは下がるのだけれども、少し下がり方が緩やかだということは、今、まだ評価することは早過ぎるので、それが5月の6日頃になると大体のことが言える。
 その評価を基に、これからどうすべきかというのも、我々専門家としては、政府の方に提言をしたいと思っています。

(安倍総理)
 今、尾身先生からも御説明がございましたが、専門家の皆様の、この提言も頂きながら、5月6日、延ばすのかどうかということについて判断をさせていただきたい。あくまでも専門家の皆様のお話を頂いた上で判断をしていきたいと、こう思っています。
 大切なことは、最低でも7割、極力8割、人との接触を減らすこと、これが一番大切なことだろうと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、幹事社の方、もう一社、どうぞ。

(記者)
 共同通信の吉浦です。よろしくお願いします。
 全国民への一律10万円の現金給付は、一部の減収世帯を対象とした30万円の給付の補正予算を組み替えるという異例の経過をたどっています。当初の想定から支給日が遅れる可能性もあり、なぜ最初から一律給付にできなかったのかとの疑問の声も上がっています。
 先ほど総理は混乱を招いた責任についておわびすると、率直におっしゃいました。この現金給付に関する一連の判断や対応のどこが問題だったかとお考えでしょうか。そもそも全ての国民に10万円の現金を給付しなければならない理由は何なのか。また、実際に給付する際は、事前に振込先の口座などを申請した国民全員が受け取れるという流れになるのか、現時点で想定されている具体的なイメージも併せてお伺いします。

(安倍総理)
 今回の緊急経済対策について政府は、また、与党において議論をしたときにおいても、一律10万円という議論もございました。一方、そのときに、リーマンショックのときに12,000円を全ての国民の皆様にお配りした。しかし、言わば経済効果という観点からすれば、多くが、これは寝てしまった、預金となってしまったという反省点もありました。
 この30万円を決定した議論を行ったときには、2つのフェーズに分けて、今、非常に、特定の事業の皆さんが、旅行に関わる事業の皆さんが大変な打撃を受けている中において、その皆さんをまず手厚く支援をしていく。そして、その先で終息が見えてきた、あるいは終息した段階においてV字回復をしていくという中において、その消費を全ての国民の皆様が活用できる形で喚起していこうという判断をさせていただきました。
 しかし、緊急事態宣言を行い、また、今回、全国においてそれを広げてきたところでございますが、正に特定の事業者あるいはその周辺の関係者の皆さんだけではなくて、ほとんどの国民の皆様がそれぞれ外出を自粛しなければいけない、どうなるかという、本当に不安の中にあるわけでありまして、ここは皆さんが、国民みんなでこの状況を乗り越えていく、連帯して乗り越えていくということの中においては、一律10万円、全ての国民の皆様にお配りするという方向が正しいと、そういう判断をさせていただきました。
 私も国民の皆様からそういう声が強いということも承知しておりました。そしてまた、与党からもそういう議論がありました。野党の皆さんもそういうお話があった中において、何とか4月中に国会の手続も含めて、何とかこういうぎりぎりのタイミングで、こういう判断をさせていただいた。
 しかし、先ほど申し上げましたように、1週間遅れることになりましたから、もっと判断を速くしておけばよかった、責任は私にありますので、改めて国民の皆様におわびを申し上げたいと、こう思います。その上で、できるだけ早くこの現金を国民の皆様のお手元にお届けしたいと思っています。
 どういう方法があるかということにおいては、例えばリーマンショック時は、全国に対する給付申請の確認等に時間を要しまして、予算成立から多くの方々に給付を行うまでに3か月の期間を要したわけでありまして、今回は申請手続の簡素化等、様々な工夫をして、できる限り早く国民の皆様にお渡しできるようにしたい。そしてまた、先ほど申し上げましたように、感染リスクを減らすために郵送等でお届けをさせていただきたいと思っています。
 具体的な方法について、今、正に急ピッチで作業を進めています。正にこれはスピードが極めて重要だと思っておりますので、できるだけ早く、いつまでにということをお伝えできるようにしていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、これから幹事社以外の皆さんから御質問を頂きたいと思います。
 質問を希望される方、発声ではなくて挙手でお願いいたします。私が指名いたしますので、お近くのマイクの前にお進みいただきまして、所属とお名前を明らかにした上で、御質問をお願いしたいと思います。
 恐縮ですが、お一人様、1問でお願いしたいと思います。
 それでは、伊藤(いとう)さん。

(記者)
 ラジオ日本の伊藤と申します。よろしくお願いします。
 総理は、先ほど衆議院の厚生労働委員会でもお話しされていましたけれども、今、医療現場は非常に、医師の方あるいは看護師の方の防護服の不足と、それからマスクの不足が非常に深刻な状況になっております。その問題について、どういうふうに現在、対応されているのか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

(安倍総理)
 国民の命、健康を守るために、苛酷な状況の中で感染リスクと背中合わせで最前線で闘っておられるのは正に医療関係者の皆様です。看護師、看護助手あるいは、もちろん医師の皆様、病院関係の皆様や、臨床検査技師等々、医療関係の皆様に改めて御礼を申し上げたいと思いますが、その皆さんが自らの感染を守るためのマスクや、ゴーグルや、防護のガウン、医療用ガウン等が不足している、十分に供給できていないということは、総理大臣として申し訳ないと思っております。その中で、今まで海外に大きく、特に中国に大きく依存していたという問題点もありました。
 そこで、この医療物資の不足状況を緩和するために、プッシュ型で提供していくこととしております。まず、第一弾の緊急事態宣言が発出された7都府県に対して、サージカルマスクを今週中に1,000万枚、そして医療用ガウン及びフェースシールドをそれぞれ今週中に10万枚、今月中に90万枚、またN95マスク、またKN95マスクを今週中に約7万枚、今月中に約70万枚、配付します。
 また、これまで医療機関へのサージカルマスクの優先的な配付を行ってきましたが、これに加えまして、介護施設や、あるいは小中学校、また妊婦の方々に対して、感染拡大防止の観点から布マスクの配付を行ってきました。その上で更に枚数が確保できる見通しとなったことから、手に入らずに困っている方々がたくさんいらっしゃるという認識の下に、国民の皆様に広くこの布マスクの配付を行わせていただくことといたしました。これは洗えば何回も使えるものでございまして、マスク需要の抑制にもつながっていくと考えております。シンガポールでも全国民に対する布マスクの配付を行っていると伺っておりますし、また、パリ市においてもそういう決定がなされたと聞いています。
 また、昨日と一昨日には、医療物資の増産等の取組をしていただいている企業の代表者の方々との意見交換を行いました。更なる供給の確保に向けたお願いをさせていただいたところなのですが、これは従来の医療機器メーカーだけではなくて、例えば自動車メーカーや、あるいは電機メーカーなど、異業種の方々も含めて総力を結集していただきたい。また、全力を尽くしていただくという力強いお話も頂きました。正に現場で頑張っている皆さんをできる限り支えていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、次の方、頂きます。
 それでは、前列の向こうから3人目。

(記者)
 毎日新聞、佐藤と申します。よろしくお願いします。
 緊急事態宣言についてお伺いいたします。総理は、今回の宣言対象地域の拡大に当たって、ゴールデンウィークにおける人の移動を最小化する観点から、全都道府県を緊急事態措置の対象とすると説明しておられます。人の移動の最小化に関して、大型連休中の新幹線や飛行機の減便などについて、鉄道、航空会社などに要請するお考えはございますでしょうか。対応をお伺いいたします。

(安倍総理)
 鉄道や航空機も含めて、公共交通機関は国民生活や経済活動を支える正にインフラであります。例えばこの社会基盤を支えている基盤の一つなのだろうと、こう思います。基本的には、緊急事態においても、必要な機能を維持すべきと考えていますが、また、特定の期間に集中して混雑が起こることのないように、政府としては、事業者に対して減便を要請する考えはありません。つまり、減便することによって、かえってそこで混雑が起こるということにもなるのだろうと思います。また、別途、それぞれ経営判断として減便されているところはあると承知しておりますが、政府として、減便することによって、かえって特定の便等々、電車もそうですが、人が集中するということは避けたいと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、次の御質問といたします。
 後藤さん。

(記者)
 TBSの後藤と申します。
 安倍総理にお尋ねします。現金給付10万円の件でお尋ねいたします。今回のこの方針決定は、総理が総裁を務める自民党で、言わば政審、総務という決定のプロセスを経て決定したものなのですけれども、今回、結果的にそういったプロセスを否定した形になりました。これでお尋ねしたいのですが、総理としては、党に対して何らかの説明というのを行う考えはおありでしょうか。そして、今回のような決定の在り方について、総理はどう考えていらっしゃるのか。お願いいたします。

(安倍総理)
 自民党の長い歴史の中において、御存じか御存じでないか私も承知しておりませんが、かつてはグリーンカードというものが決定していたものを、副総裁が、これは今、国民との関係においてやめるべきだと言って変更したこともございました。また、私が部会長を務めていたときに、介護保険制度を導入する、徴収時期も既に部会の中で実は決まっていたのですが、当時の政調会長がそれを変えるべきだと言って、直前にそれを変えたということもございました。言わば、その時々の変化を見ながら、決まってきたことに対しても柔軟に対応していくということは政治に求められる要素の一つなのだろうと、こう思っております。
 今回も、確かに政調で議論し、そして、総務会で決定したということで、決定がなされてきました。しかし、それを飛ばしてすぐに私が決めることはできません。当然、また政調で今日、協議いただき、御了解いただいたと思います。そして、総務会の議を経て決定がなされるというふうに承知しております。ですから、そこで決定が出されれば、直ちにこの方向で作業を進めていきたいと、こう思っております。
 私が出ていくかどうかということでございますが、これは政調会長が責任を持って政調で御説明し、そして総務会では高い見地から御議論いただくということになるのだろうと思います。

(内閣広報官)
 それでは、次、頂きます。
 では、星野さん。

(記者)
 朝日新聞の星野です。よろしくお願いいたします。
 総理、先ほど予算案の組替えについて、責任の方を取られると。取られるというか、責任の方をおわび申し上げるということでしたが、この間の会見でも一斉休校について、感染者の拡大を防げなかったというふうに述べられました。最近では布マスクや星野源さんの動画でも批判を浴びているのですが、この間の一連の新型コロナの対応について、御自身でどのように評価されていますでしょうか。よろしくお願いします。

(安倍総理)
 全国の一斉休校は、私は判断として正しかったと思っています。あの後、多くの国々が一斉休校を行っていることからも明らかではないか、そう思います。
 そしてまた布マスクにつきましては、先ほど申し上げましたように、まずはサージカルマスク等を医療機関にしっかりと配付しながら、言わばサージカルマスクの受注について、この対応をしていく上においても、それ以外の、例えば介護施設等々については布マスクを配付させていただきました。今、御質問いただいた御社のネットでも、布マスク、3,300円で販売しておられたということを承知しておりますが、つまりそのようなこの需要も十分にある中において、我々もこの2枚の配付をさせていただいたと、こういうことでございます。
 また、若い皆さんの今、感染が増えている中で、若い方々が移動することによって感染が拡大する。若い皆さんにどのようになるべく自宅で、外出を自粛していただくかという声を伝えるということで様々な工夫をさせていただきました。もちろん様々な批判があったということは受け止めておりますが、賛否両論あったのだろうと、こう思います。
 大切なことは、みんなで、この最低でも7割、できれば8割、人との接触を避けていくということに力を尽くしていくことではないのかなと思います。
 今までの現状はどうかということでありますが、とにかく一日も早く終息させることに全力を尽くしていきたいと、こう思っているところでございます。専門家の皆様の御協力、御助言も頂きながら、やるべきことは今まで全てやってきたつもりでございます。もちろん至らない点はあったとは思いますが、これからも全力を尽くして、努力をしていきたいと、こう思っております。

(内閣広報官)
 それでは、次。
 鹿嶋(かしま)さん。

(記者)
 フジテレビの鹿嶋です。
 緊急事態宣言に関連してお聞きします。ハーバード大学の研究では、外出規制を解除するたびにこの反動によって感染が広がる可能性があって、今の医療体制のままでは2022年まで断続的に人間の行動を抑制する必要があると指摘しています。安倍総理がおっしゃる長期戦の覚悟ということであれば、国民が予見性を持って備える、行動できるようにする、その指針を示すことが重要だと考えますけれども、安倍総理としては、今後、緊急事態宣言を解除するか否かにかかわらず、来月7日以降も繁華街への外出自粛要請などは当面継続されるというお考えでよろしいでしょうか。

(安倍総理)
 例えば、過去にスペイン風邪の大流行があった。あのときにも一旦収まった後に再び感染が拡大して大きな被害が出たと。こういう教訓にも学ばなければならないと思いますが、今回の新型コロナウイルスについては、正に未知のウイルスであり、十分にこの確信を持って予見することはできないということは申し上げなければならないと思います。
 その上において、この5月6日以降どうなるか。夜の飲食店等への外出も含めてどうするかということについては、今から断定的なことを申し上げることはできません。これはやはり、いわゆる政治的に決めることではなくて、専門家の皆様の意見をお伺いした上で判断をしたいと、こう思っております。
 夜の街についてどうかということでありますが、夜の街については、特にこれは3密ということもあり、また、夜の街のクラスターが発生しておりますので、この全国に広げたことを機会に、全国で夜の街への外出はできる限り控えていただきたいと、このように思います。
 その上で、7日以降にどうなるかということについては、尾身先生からのお話も伺いたいと思います。

(尾身会長)
 先ほど、総理が申し上げたと思うのですけれども、これは基本的には我々専門家も5月の6日、どんな結果があるにしろ、それでゼロに、感染が、なるということはないので、下火になっても小さな山はその後も続くというのが我々の見込みです。
 したがって、どのぐらい、いわゆる国民への協力要請の程度を下げるかどうかというのは、5月6日時点での評価によると思いますが、1つだけ、今の時点でほぼ間違いなく言えることは、感染が仮に下火になっても、その後、全くゼロになるということはあり得ませんので、小さな山がまた何度か繰り返してくるということは、当分、覚悟をしておいた方がよいと思います。
 そして、その小さな山がどのぐらいになるかというのは、いろいろな要素の積分でありますから、そのときの感染のレベルに応じて対策を、言ってみればガードを厳しく、非常にしたたかなウイルスと我々は今、対処しているわけですから、相手の動きによってガードを少し上げたり下げたりするということは、当然必要になってくると思います。

(内閣広報官)
 それでは、次の御質問をお受けいたします。
 では、後列一番奥の方。

(記者)
 フリーランスの畠山(はたけやま)と申します。
 緊急事態宣言下での選挙について伺いたいと思います。コロナウイルスの感染拡大が続く中でも選挙というのは延期をされておりません。各選挙管理委員会では期日前投票の推奨、それから、投票所への消毒液の設置など、いろいろ対策を採っていますけれども、感染拡大が進む中で行われた選挙の投票率というのは軒並み下がっています。緊急事態宣言発令から10日がたちますけれども、有権者が安心して投票する権利を保障するための施策、例えば、郵送投票の拡充、それから、インターネット投票の検討とか選挙の延期を検討するなどのお考えはありますでしょうか。
 それから、総理は常々、国民に丁寧な説明をするというふうに発言をされているかと思いますけれども、この記者会見というのは参加する記者がすごく限定されていて質問の数も限られているわけです。このように限定された形での記者会見を可能にしている現在の記者クラブ制度について、総理がどのようにお考えになっているか、それから、今後、よりオープンな形での記者会見を開いていくお考えがあるのか、ここをお聞かせいただければと思います。よろしくお願います。

(安倍総理)
 まず、この状況の中で選挙をどうするかという話でございました。例えば、韓国では先般、言わば総選挙が行われたわけでございますし、また、延期したところもあるわけであります。現在、日本においては静岡の衆議院の補欠選挙は行っています。民主主義の根幹である選挙については、言わば不要不急のものではないという判断の中において、感染リスクを避けながら実行させていただいています。
 ただ、今お話があったように、インターネット投票とかいろいろな手段がありますよねというお話がありました。ただ、今の法制下ではそれはできないのでございますが、今後こうしたことを契機に、我々も、例えば診療においても、今度、初めて、対面ではない形で診察をしていただくことになりました。こういう大きな変化の中で、選挙もどう考えるべきかということについては当然、議論していく必要が、これはなるべく国会において議員の皆さんが議論していただくべきことだろうなと、こう思っています。なるべく投票率を上げる努力はこういう中でもしなければいけないし、今後どうすべきかということについては、基本的には、基本中の基本であるこの選挙については、できる限り実施していくこととしたいと、こういうふうに考えています。
 それと、記者クラブの在り方、この記者クラブの在り方というのは、これは正に私が申し上げることではないかもしれません。それはまた、正に時代の流れの中において、今までのメディアが全てカバーしているのかと言えば、そうではない時代になり始めましたよね。ですから、その中でどう考えるかということについては、正に皆様方に議論をしていただきたいなと思います。
 ただ、自民党政権の中において、こうした形で御質問を頂いたのは初めてのことだろうと思います。こうした形で、できる限り皆さんの機会も確保していきたい。どうしても、しかし、総理大臣としての質問の時間というのは、皆さんの質問も受けると何時間にもなるということにもなりますので、ある程度、時間は限らせていただきたいと思いますが、なるべくそうした機会も増やしていきたいと思っています。

(内閣広報官)
 すみません。後の、他の皆さんが御質問を希望されているので、他の方に譲りたいと思います。
 それでは、他の方、どうぞ。
 では、国貞さん、手を挙げているかな。

(記者)
 京都新聞の国貞と申します。
 休業要請に伴う各都道府県独自の協力金についてお伺いしたいと思います。
 各業者に対して、例えば京都府は中小企業20万円、個人事業主には10万円を支払うと。最大100万円の東京や大阪、一律50万円の愛知とはかなりの開きがあります。都道府県の財政力等の差でもらえる額が変わるというのは、市民にとってかなり不公平感を感じると思うのですが、法の下の平等において国が責任を持って対処すべきだと考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。

(安倍総理)
 東京都が50万円上乗せをしている。東京都は大変財政力が強いということがあります。ただ、財政力の強弱によって様々なサービスが変わってきていますよね。例えばお子さんの医療費に対する支援の仕方も違ってきているのだろうと思います。そういう意味においては、それぞれの地域によって差が出ている。それは地域の努力、あるいはどの予算に地域は力を入れていくかということの結果でもあり、地方自治の観点からそういうことが行われているのだろうと思います。
 一方、今回の自粛等々、あるいは要請等々に関わっての対応については、国としては先ほど申し上げましたように、国としてはその特定の業種ではなくて、全て収入が減少したところについては最大200万円、100万円の支援を行わせていただくということを決定させていただいているところでございまして、国としてはそれをお答えとさせていただいている。
 あと、地方に1兆円の交付金を出させていただいています。今回の交付金は、リーマンショックのときと違って、国がやっている様々な措置は、ほとんど100パーセント国が負担をするという形、国が支給するという形でございますので、実際、使えるお金としては、地域が使える形としては、このリーマンショックの給付金のときよりは、相当多くなっているのだろうと思います。そうしたものも活用していただきたいと、こう思います。
 確かに京都は、今回、ゴールデンウィークにおいてある程度、人が来るということも予想されていたということで、減収になるところが多いのだろうと、こう思います。そういう旅館やホテル業、旅行関係者の皆様には、この100万円、200万円の給付金を活用していただく、あるいは個人においては、さらに20万円の緊急小口資金等も、これは最大80万円まで使えますので、この返済免除付きでございますので、そういうものも活用していただきたいと思っています。

(内閣広報官)
 それでは、篠原(しのはら)さん。

(記者)
 テレビ東京の篠原でございます。
 正に、今、総理がおっしゃった緊急小口資金についてなのですが、現場の社会福祉協議会の窓口、大変混雑をしていて、2か月待ちと言われたとか、あとは丁寧に対応されているところもあると思うのですが、杓子(しゃくし)定規な対応をされたとか、審査が厳しいという声も現場からは来ています。相談に行った人からはですね。こういった情勢、対応について、何らか改善するお考えはありますでしょうか。

(安倍総理)
 この緊急小口融資については、開始後3週間で4万件の申請を頂いており、うち貸付け決定件数は32,000件でありまして、その額は54.8億円になっているというように承知しておりますが、是非多くの方々に、これを活用していただきたいと思っています。
 その中で、都市部を中心に相談が集中していることから、当座の生活費に特に急を要する場合は、住民票等の添付書類が整わない段階でも窓口への来所を促して、そして住民票等は後日に提出することとして対応することや、あるいは相談を経ずとも、郵送で申し込む環境を整えることなどによって、必要な取組を進めています。
 また、相当多くの方々に利用され始めておりますので、相当、申込みが殺到して、なかなか時間がかかるというお話は、私も聞いています。そこで、金融機関などにも、社会福祉協議会以外の窓口の活用、金融機関などを活用していきたいと思います。来週の実現に向けて調整を急いでおりまして、早急に体制を強化していきたいと思います。

(内閣広報官)
 総理ですが、この後、外交日程が近づいておりますので、最後の1問にさせていただきます。
 では、今井さん。

(記者)
 読売新聞の今井です。
 昨晩のG7首脳のテレビ会議では、WHO(世界保健機関)の徹底的な検証と改革の必要性を確認したとホワイトハウスは発表しています。トランプ大統領は、WHOが中国寄りとして資金拠出の停止を表明していますが、総理は、テレビ会議では、トランプ氏の主張をどう受け止め、WHOについてどのように発言しましたでしょうか。
 併せて、総理御自身は、WHOを中国寄りと考えていますか。WHOへの資金拠出を見直す考えはないでしょうか。

(安倍総理)
 昨日のG7のテレビ会議では、私から、今回のように世界に影響を与える感染症に対する対策については、やはりWHOを中心に国際社会が一致協力して、この感染症と闘わなければならないと。言わば国際機関としてはWHOしかないではないかという話をさせていただきました。同時に、今回と同様の事態に備えるためにも、WHOの機能については、十分な検証を行うべきだということも申し上げたところであります。
 ただ、もちろん検証を行うというのは、今回の事態に対して、WHOを中心に世界が結束して対応していく。そして、その後、検証していく必要はあるだろうということを申し上げました。
 そこで、WHOに対してはいろいろな見方があります。政治的に中立ではないのではないかという意見もございます。日本は、御承知のように、従来から台湾のオブザーバーとしての出席を強く求めてきている立場であります。そういう、政治性を持たずに、正に全ての人々の健康を守るということに徹するべきだということも、日本は申し上げてきたところでありますが、今後、現場で支援を実施をする、また、知見を有するWHOの協力は、このコロナウイルスの闘いにおいては、不可欠であるのも事実であろうと思います。
 日本が、日本の分担金を削る、出さないということは、これは全く考えておりません。今は正にしっかりとWHOを支えていかなければならないと思います。ただ、問題点、課題もあるのも事実でありますから、そうしたことをしっかりと、この事態が終息した後、検証していくべきだろうというふうに考えています。

(内閣広報官)
 それでは、次の日程との関係がございまして、申し訳ございませんけれども、これをもちまして、本日の総理記者会見を結ばせていただきます。皆様、どうも御協力ありがとうございました。

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