「日産の態度は横柄だ。取引価格について『年数%分割り引くので、よろしく』と当たり前のように言ってくるし、こんなひどい会社はない」。日産などに部品を供給するサプライヤーの幹部はこう憤る。
このサプライヤーはかつて売り上げの6~7割が日産向けだった。今その割合は低下し、他社との取引を増やしている。
幹部は「生産量も事前の綿密な相談もなく急に減らされる。それが一転、突然、『車が売れてきたから部品を供給してくれ。できるでしょ?』と言ってくる。そんなの無理。我々と一緒にものづくりをしていこうという配慮のかけらも感じられない」と吐き捨てる。
日産自動車は3月、公正取引委員会から「下請法違反行為があった」として再発防止を求める勧告を受けた。車部品の取引先36社に対し、発注時に決めた金額から「割戻金」として一部を差し引いた代金を支払っていた。取引先に対し約30億円を返納した。日産は6月にも再発防止策をまとめるとしているが、取引先から批判する声は消えない。
公取委勧告後も「減額を強要する行為が続いている」との一部報道があった。これを受け、斎藤健経済産業相は17日の閣議後の会見で「至急に事実関係を確認し、報告するよう求める」と述べた。
公正取引委員会は日産に対して下請法違反行為があったとして再発防止を求める勧告処分を出した(写真=共同通信)
目標達成のために現場が暴走?
なぜ不当な減額要求が行われているのか。内情に詳しい日産関係者が明かす。
「管理職に目標額のコミットメントがある。管理職から数字を求められた現場が、目標に到達するために文句を言わなそうなサプライヤーを選んでかすめ取っていたようだ」。割戻金はダイレクトに日産の利益に直結する。数字も簡単につくりやすい。プレッシャーがかかり、現場が暴走したという構図だ。
コミットメントは、日産元会長のカルロス・ゴーン氏が好んで使った言葉だ。「必達目標」という意味で解釈され、社員も毎年目標を設定し、給料に反映される仕組みをつくっていた。日産は、現場にプレッシャーがかからないよう行動指針を刷新するなどして職場環境の改善に取り組んでいるものの、その関係者は十分に浸透していないと話す。コミットメント体制は今なお続いていたわけだ。
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