
引っ越し後にプロポーズ
今年3月、緑丘さんは2LDKのマンションに引っ越した。 年下の恋人・サトル君とは5年ほどの付き合い。 ワンルームマンションでの2人暮らしは、ケンカが絶えなかった。 普通に会話しているだけで隣人が壁をたたいてくるので、常に小声で話すようにしていた。 そんな環境だったことも影響していたのだと思う。 新居で気持ちにゆとりができたからか、2人の将来について話し合うことが増えた。 引っ越して3カ月ほど経ったころ、サトル君からプロポーズされた。 ベッドの中で、ふとした瞬間に「結婚しよう」と告げられた。 きれいなレストランではないし、婚約指輪もなかった。 それでも迷うことなく、「はい」と答えた。
両親に電話で報告
コロナ禍で、実家には長いこと帰っていない。 お互いの両親には、電話で結婚することを伝えた。 サトル君の両親に会ったことはないが、電話では何度か話したことがある。 すでに話は伝わっていたけれど、改めて報告する時は緊張した。 自分は緊張すると、電話なのについつい身ぶり手ぶりを交えてしまうらしい。 サトル君は横で聞きながら、ジェスチャーをまねして冷やかしてきた。 「次の年末年始は、ワクチン接種も済ませて2人であいさつに行きたいです」 将来の義母にそう伝えると、とても喜んでくれて「末永くお幸せに」と言ってくれた。
姉のウェディングドレス姿を思い出して
感染を避けるため、友人と会うことも控える日々。 結婚式を挙げることはまったく考えていなかった。 それでも、ふとした時に姉の花嫁姿を思い出した。 ウェディングドレス姿がきれいで、バージンロードを歩く間、姉はずっと泣いていた。 母はその姿をじっと見つめ、父が涙を流していたのが忘れられない。 「私もウェディングドレスを着たかったなぁ」 そんなことを考えていたら、ふとひらめいた。 そうだ、2人きりで「おうち結婚式」を挙げればいいんだ、と。
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