来年度の高校1年生から新設される科目「現代の国語」の教科書の検定結果を巡り、文部科学省が揺れている。文科省は「小説の入る余地はない」と説明してきたにもかかわらず、近現代の文学作品を多数載せたある教科書会社の教科書が合格。ライバルである他社から「言っていたことと違う」との批判が高まっているのだ。騒動の背景には、そもそも文科省が進める国語改革が現場であまり歓迎されていなかった実態がある。高校の国語を巡り、いま何が起きているのか。【東京社会部/大久保昂】
教科書会社から強い批判
「到底承服しがたい」 「大変失望した」
パソコンの画面越しでも参加者の熱気が伝わるほどに議論はヒートアップし、当初予定していた1時間を15分ほどオーバーした。
8月25日に文科省が教科書会社を対象として、オンラインで開催した説明会。毎日新聞が入手した録音記録には、各社の編集者たちが強い調子で文科省の担当者を問い詰める様子が残っていた。
各社が追及していたのは、文科省が3月に公表した2022年度以降に使われる高校の教科書の検定結果だ。論理的・実用的な文章を扱う新設科目「現代の国語」で、芥川龍之介の「羅生門」や夏目漱石の「夢十夜」など5編の小説・文学作品を載せた第一学習社(広島市西区)の教科書が合格した。
「現代の国語」の教科書検定をパスしたのは、他に7社あったが、いずれも小説をまったく扱わないか、載せていても補足教材の位置づけだった。そうした中で第一学習社の教科書は突出していた。
この説明会の翌26日、東京都立高校・中等教育学校で22年度に使われる教科書の採択結果が公表された。220校のうち約4分の1の53校がこの教科書を選んでいた。羅生門などの定番小説が入った教科書が、学校現場のニーズと合致していたことを示した結果だといえる。
教科書会社は当然、こうしたニーズを把握しているはずなのに、なぜ他社は小説を載せなかったのか。…
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