近代を形作った「リベラリズムの功績」
リベラリズムは、ヨーロッパを1000年以上支配した「宗教国家」に対する抵抗の中で形作られた。中世ヨーロッパでは、ローマ・カトリック教会が社会を支配し、黒い服を着た聖職者の超国家的組織(騎士修道会)があらゆる事柄について服従を要求した。精神的にも道徳的にも人々を支配し、教育も牛耳った。 16世紀の宗教改革はキリスト教諸派の間に競争をもたらしたが、それによって宗教と国家の癒着は助長された。フランス出身の神学者ジャン・カルバンは、スイスのジュネーブで異端者を弾圧し、投獄や国外追放あるいは処刑をした。英国王ヘンリー8世は、異端者を生きたまま釜茹での刑に処し、ローマ・カトリック教会は異端審問と禁書目録を考案した。 350年前、こうした教会と国家の融合を批判し始めたのがリベラリズムだった。イギリスの詩人ジョン・ミルトンは、真実の水は「絶えず流れ続けなければ、服従と伝統の泥沼で淀んでしまう」と著書に記し、オランダの哲学者バールーフ・デ・スピノザは、聖書は他の書籍と同じように解釈されねばならないと主張した。イギリスの哲学者デービッド・ヒュームとジョン・スチュアート・ミルも、真実を確立する最善の方法は活発な議論だと論じた。 こうしたリベラリズムの考え方は、その後の欧米での3つの革命に結実した。アメリカでは、独立戦争後、トマス・ジェファーソンが「教会と国家の忌まわしい組み合わせ」を世界の諸悪の根源と呼んだ。フランスは、フランス革命を通じて世俗主義の共和制を樹立した。王政を排除したイギリス革命(清教徒革命・名誉革命)では、英国国教会自体は責められなかったものの、社会の主流からは取り残された。 しかし、現代の欧米社会では驚くべきことが起きている。新世代の進歩主義者が、信教国家時代の忠誠の誓いや(神への)冒涜禁止法の現代版ともいうべき、類似したやり方を復活させているのだ。そして、この現代の動きを指揮するのは、アングロサクソン的リベラリズムの中枢であり、大抵の場合はリベラルを自称する人たちだ。古いしきたりがどのような形で復活しているのか、順を追って見ていこう。
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