
「三十にして立つ」──。かの孔子の言葉だが、それをなぞるかのように「自立」を求める女性が増えたのは一体いつからだろうか。20代がそろそろ終わりを迎える頃、女友達と集まっても圧倒的に現実的な話題がテーマとなってくる。
結婚や出産を現実的に考えるのはもちろんだが、仕事をするならするで人生設計、保険のこと、親の介護と正面から向き合うことになるのが、いわゆる「アラサー」だろう。
そんな中、そんなアラサー世代に属する女性たちが「仏教」や「仏像」、さらには「仏道に生きるお坊さん」などに興味を持ち始めている。
約10年前、森ガール、山ガールと並び仏像ガールという言葉も生まれたが、それはあくまで「仏像だけ」が好きな女性を指したものだった。
しかし今、アラサー女性はその枠を超えて、もっと本質的なものを求めて「仏」に興味を持ち始めている。
■意外と間口の広い今の仏教
御朱印集めをきっかけにお寺に行くようになり、宗派の違いに興味を持ち始めたケースや、仏像の作風の違いから興味を持ち始めたケース、お経に興味を持ち始めたケース、はたまたお坊さんという存在に興味を持ったケースなど、「仏」の間口は意外と広い。
一見バラバラなきっかけで、「仏」に興味をもつアラサー女性たちだが、なぜそこに向かって行ったのか。彼女たちの言葉を聞いているとその輪郭が見えてきた。
「基本的には無宗教ですが、般若心経は現代に生きる私たちにも伝わる応援歌みたいに感じています。知識として、心の片隅に置いて落ちて、何か悩んだときはふと思い出す、というのがいいなと思っています」(30代前半の女性)
般若心経という言葉の知名度自体は高いが、般若心経がどんな内容なのかということを知っている人は少ない。なんかよく分からないけど、有難い。というのが世間一般の持つお経のイメージだろう。
しかしここ数年、コンビニなどで般若心経が訳された文庫本が売られているのを目にするようになった。そしてそれは「ストレスや苦しみからの解放」という自己啓発的なアプローチのものだったりする。
宗教として仏教に触れるのはハードルが高いけれど、自分を見つめるためのコンテンツとしてなら触れたいと思うらしい。
お経に限らず成功者の金言も、自分の中で腑に落ちた瞬間に初めて「ありがたいもの」になるし、そのカタルシスは一種の快感でもある。
また20代後半の女性は「結婚しなくてもいいとか、子供を産まなくていいとかの自由な選択をすることを仏教に触れることで、自分を認めてあげられるようになりたい」と語った。
女性の生き方は多様化されているとはいえ、30歳を過ぎた独身女性&既婚でも子なしの女性はまだまだ肩身が狭い思いをすることもある。
「せっかく女に生まれたのに、どうして結婚も出産もしないの!?意味わかんない!」と、私自身言われたことが何度かある。今まで実感していたはずの「自由」が、彼女たちの何気ない言葉によって途端に「不自由さ」に変わった。
自由になりたいと思っている限り、人は自由になれない。自由になりたいと思う心を手放して、人は初めて自由になれる。そんなプロセスを踏むための現実的な方法論が、仏教には詰まっているのだ。つまり仏教は心のあり方だけで「なりたい自分に出逢える」教えでもある。
■内から見出す仏の教え
そして一番多かったのが、「自分の本質を知りたい」「どうして自分は生まれてきたのか?」「何のために生きていけばいいのかを知りたい」というものだった。
祈りという形で、それを他者や自分の外側に求めようとするのが従来の「宗教」のイメージだったが、今、アラサー女性の間で求められている「仏教」は、決してそうではない。
今のアラサー女性は、きっとどの時代の女性よりも「自分の意思で、よりよい人生を生きたい。」「自分の選択に後悔したくない」「自分や自分の人生に意味を見出したい」と思っている世代だろう。
そのために必要なのは、依存型の救済ではなく、自分の中から納得のいく形で見出すことができた「方向性」なのだ。
「三十にして立つ」のはある種、「今後の人生の方向性が決まる」ということでもある。そんな「今後の方向性」を決める上で、後悔しないために必要なアシスタント的役割をアラサー女性は「仏」に見出しているのかもしれない。
(取材・文/SALLiA 仏像オタクニスト)
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February 20, 2020 at 07:26AM
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