Tuesday, February 25, 2020

誤用が多い「役不足」の意味とは? 「力不足」との比較 - マイナビニュース

言葉の言い間違いや、誤った使い方をしてしまったという経験は誰にでもあるもの。ちょっとした勘違いだったり、そもそも間違って覚えていたりとその理由はいろいろですが、友人同士の日常会話であれば軽くスルーされたり、その場で訂正してもらえたりと、大きな問題になることは少ないでしょう。

しかし、ビジネスとなるとそうはいきません。仕事の現場での言い間違いは時に失礼に当たったり、教養がないと判断されたり、仕事のできない人と認定されたりと、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。

今回は、そんな意味の間違いに気を付けたほうがいい言葉の代表格、「役不足」を紹介します。

役不足は謙遜を表す言葉ではない?

ビジネスシーンにおいて、与えられた仕事に対して、

「いえ、私などはまだまだ役不足ですので、そんな大役はとても……」

などと謙遜する場面を見たことがあるかもしれません。中には、自分自身がそんな言い方をしていたという人もいることでしょう。ここでの役不足は、「本人の力量が不足している」「能力に比して役目が重い」という意味で用いられています。

でも、その使い方って本当に正しいのでしょうか。ここで改めて役不足の意味を見てみましょう。役不足は、広辞苑(岩波書店)によれば、

「(1)俳優などが、自分に割り当てられた役に対して不満を抱くこと」
「(2)その人の力量に比べて、役目が軽すぎること」

とあります。つまり役不足とは本来、「本人の力量に対して、役目が軽い」状態や、そのことに対する不満を示す言葉なのです。仕事に対して役不足を訴えることは謙遜どころか、こんな仕事じゃ納得いかない、と不平を述べることになってしまいます。

この役不足を間違って使っている人は、実はかなり多いのが現実です。文化庁が行った『平成24年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』によれば、役不足の例文「彼には役不足の仕事だ」に対して、「本人の力量に対して役目が軽すぎること」と正しく解釈した人は41.6%にとどまります。「本人の力量に対して役目が重すぎること」と間違って理解している人は51.0%と半数を超えており、つまり多くの人が役不足を本来の意味とは真逆の意味で理解しているのです。

意味を間違っている人の割合は5割

では実際、「役不足」の意味を理解している人はどのくらいいるのでしょうか。20代~70代のマイナビニュース会員305名にアンケートを行いました。

「Q1.『役不足』という言葉を知っていますか?」では、91.9%の人が「知っている」と回答しました。言葉自体を知っている人はかなり多いようです。

そして「Q2.役不足の意味はどちらだと思いますか?」と聞いてみたところ、「本人の力量に対して、役目が重い」は51.4%、「本人の力量に対して、役目が軽い」は48.6%と、約半々という結果となりました。

「本人の力量に対して、役目が重い」と回答した人たちからは、

・一般的にこちらの意味で使われることが多いと思う(男性/55歳/福岡県)
・荷が重い感じで使っていたので(男性/38歳/広島県)
・実力のない人だということかと思った(女性/58歳/東京都)

といった意見が寄せられました。一方で、本来の意味である「本人の力量に対して、役目が軽い」と回答した人の意見では、

・反対の意味で覚えやすい言葉だと聞いたことがある気がする(女性/32歳/茨城県)
・役に対して不満があると思うから(男性/40歳/鳥取県)
・誤用を使っていて会社で指摘されたことがあります(男性/37歳/静岡県)

といった回答が。クイズ番組で覚えたという人や間違いやすい言葉として印象に残っているという意見もありました。

謙遜を指す言葉は「力不足」や「荷が重い」

それでは、謙遜の意味を伝えたい場合にはどんな言葉を用いれば良いのでしょうか。役不足に代わる言葉としては、「力不足」や「荷が重い」が良いでしょう。

力不足は「与えられた役目を果たすだけの力量がないこと」を意味します。広辞苑の「役不足」の項の注釈にも、(役不足を)「誤って、力不足の意に用いることがある」とあります。「役不足」と「力不足」は文字面がとても似通っているため、いつしか意味が混同されてしまった、ということなのでしょう。

「力不足」や「荷が重い」の例文

先に挙げた例文では、役不足を「力不足」に代えて、

「いえ、私などはまだまだ力不足ですので、そんな大役はとても……」

とすることで、本来伝えたかった気持ちを表現することができます。

あるいは役不足の代わりに「荷が重い」を使って、

「いえ、そのような大役は、私には荷が重いです」

としてもいいでしょう。このほか、「未熟者」や「若輩者」、「実力不足」、「器でない」などもビジネスシーンでは使い勝手の良い言葉になります。例として、

「まだまだ未熟者(若輩者)ですので、そのような大役は務まりません」
「実力不足の私には、手に余ります」
「そのような役職に就く器ではありません」

などとなります。

謙遜しすぎない表現方法

ただし、これらの謙遜の表現もあまり度が過ぎるのも考えものです。過度の謙遜は、「自信がないのだな」「本当に実力が不足しているのだな」と解釈されて、却って自分の評価を下げてしまうことになりかねません。行き過ぎた謙遜はビジネスの現場ではマイナスに作用することがあることも自覚するべきでしょう。先の力不足も、

「まだまだ力不足の私ですが、精一杯努力します」
「力不足を痛感しますが、この経験を今後に活かしてまいります」
「力不足だと言われないよう、きちんと結果をお示しします」

など、ポジティヴな場面で使いたいものですね。

「役不足」の気を付けたい使い方

また、一見"正しい"役不足の使い方にも注意が必要です。例えば自分が部下で、上司である課長に対して「些末な業務は自分が担当し、課長の負担を減らしたい」という気持ちを込めて、

「課長にはそのようなお仕事は役不足ですので、自分が引き受けます」

と言った場合。本来は相手に対する褒め言葉となるはずですが、過半数が役不足の意味を誤って理解している現状では、上司を侮ったり誹謗したりする発言とも受け取られかねません。

このように役不足は、その使い方に慎重な配慮が求められる、なかなかやっかいな言葉と言えるかもしれませんね。

調査時期: 2019年1月31日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女305名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

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