タッチパネルのついたスマートフォンや、質問に答えてくれるAIを搭載したスマートスピーカーを誰でも入手できる現代、FD(フロッピーディスク)を使ったことがないという人も少なくないはず。そのFDの中でも特に古い、“現代の化石”ともいえる8インチFDに保存された「化石のデータ」を、化石のようなデバイスを組み合わせて読み取ることに挑むムービーがYouTubeで公開されています。
Fossil Data Part 2: 8-Inch IBM Floppy Data Recovery - YouTube
YouTuberのCuriousMarc氏は、カリフォルニア大学バークレー校の研究者から連絡を受けます。
連絡したのは、生物考古学の研究者たち。
3億年前のアメリカの環境や生物を研究しています。
研究者たちにとって重要な資料となる、石炭紀の沼地で形成された「炭球」と呼ばれる化石
研究者たちは炭球に関する昔の研究データを見つけましたが、それはIBMが1970年代に開発した8インチのFD300枚の中に収まっていました。自分たちではデータを取り出せないため、CuriousMarc氏にデータの取り出しを依頼したとのこと。
8インチのFDは、IBMのSystem/370やIBM 3741 データ・ステーションで使用された、従来のパンチカード方式に代わる画期的なメディアでした。
FDを読み取るため、まずはeBayで8インチのFD用のドライブを入手。
5.25インチのFDからデータを取り出した経験があるCuriousMarc氏は、そのノウハウを8インチのFDに生かします。
Dolchのコンピューターシステムに……
自作のドライブ接続用ケーブル
ディスクのデータを読み取れるDOSソフトウェアを用意。
通常、FDドライブで使用するコネクタのピン数は34ピンなのですが……
8インチのFDドライブは、50ピンのコネクタが使われていました。
ピン数は異なりますが、50ピンのドライブも34ピンのドライブと同じ信号が使えるとのこと。それぞれの通信路をうまくピンに接続する必要があります。
アダプタを自作するため、ゼロックスのAltoで使用されていた50ピンのスニファケーブルを流用。
スニファケーブルと50ピンのIDCケーブルを接続。
IDCケーブルの反対側は、それぞれの通信路の接続先ピンを変えた34ピンのコネクタ
34ピンのコネクタをコンピューター側につなげれば、コネクタの変換は完了です。
購入したドライブは5Vと24Vの電圧を要求するものでした。
ドライブを起動しディスクからデータを読み取ろうとしましたが、BIOSはディスクすら認識しません。
今度はIBMの古いフォーマットも読み取れる「OmniDisk」というDOSベースのソフトウェアで読み取りを試みます。
すると、ディスクの認識には成功。
「FM」というフォーマットが使用されていることがわかりましたが、データを検出することはできませんでした。
ドライブの様子を見て、あるトランジスタの不良が原因であることを突き止めたCuriousMarc氏
すぐさまトランジスタを交換します。
ドライブの修理が完了し、笑顔のCuriousMarc氏
ドライブの電源を入れ、ディスクを再度読み取ると……
データを検出することに成功しました。
検出したデータをダンピングし、解析を進めます。
解読不能な文字列がずらずらと表示されます。
ダンピングしたデータの文字コードが「ASCII」ではなく、もっと古い文字コードではないかと考えたCuriousMarc氏は……
変換元の文字コードを「EBCDIC」に変更。
すると、研究データらしき文字列が表示されました。
研究者から事前に伝えられていた炭球の発見場所のひとつである「SAHARA」の文字も。
文字列を整形して、データの取り出しが完了しました。
残りのディスクに入ったデータも同じようにして取りだした研究者は、非常に満足そうな様子。デジタル化したデータからその構造を突き止めることにも成功し、昔の研究データをよみがえらせることができました。
CuriousMarc氏は「研究者たちを比較的短い時間で助けることができたのは、非常に名誉なことだ」と語っています。
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February 27, 2020 at 07:00AM
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