原作・剣名舞、作画・嶺岸信明によって1994年に発行され、99年にはテレビドラマ化されるなど、患者の心理を読み解く医療サスペンス漫画の金字塔となった『女医レイカ』が初めて舞台化される。鋭い観察眼と膨大な心理学知識を持つ容姿端麗の女医、レイカを演じるのは準ミスインターナショナル受賞後、つかこうへい門下として芝居を学んだ女優・鳳恵弥。本作では主演だけでなく、脚本・演出にも挑戦する。さらに総監修には原作者の剣名舞、総合演出には映画『屍人荘の殺人』(2019年)、『仮面病棟』(2020年3月公開予定)を手がけた木村ひさし監督という豪華な布陣を迎え、新たな世界観でレイカを描き出す。
新しいレイカを多くの人に届けたい
――― 多くのファンを持つ漫画が初めて舞台化される事で注目を集めています。鳳さんと剣名先生とは4年前に接点があったと伺いました。
鳳「剣名先生とは2016年の『漫劇2』で現場をご一緒させて頂いてことがきっかけで、漫画『女医レイカ』を拝見させて頂いたところ、一気に魅了されてしまいました。私自身、サイコ的な作品に惹かれる部分があるので、殺人犯の猟奇的な心理描写や、女医レイカがそこを紐解いて事件解決に導く様子には魅力を感じていて、その時から先生の作品に片思いの様な感情を抱いていたと思います。
昨年、芸暦20周年を迎えたのを機に、演劇ユニット『ACTOR'S TRIBE ZIPANG』を旗揚げして、脚本や演出も手がける中で、自分の思っていた構想を形にする作業に魅力を感じていたので、この女医レイカもいつかは形にしたいと思っていました。その思いが繋がって両思いになれたことは非常に幸せなことです」
剣名「漫画のシナリオを35年以上に渡って手がける中で、舞台作品への興味は持っていましたが、時間的な制約もあり、着手できていなかったのですが、2016年に『Dr.コトー』作者である山田貴敏先生、『JUNKY BOY』『100億の男』を手がけられた故・国友やすゆき先生と共に、漫画と舞台のコラボレーション企画『漫劇2』に関わらせてもらったことで大きく動き始めました。それぞれの作品をオムニバス形式に発表する中、鳳さんが主演する山田先生の作品『W』を観せてもらい、そこでご縁を頂いた事が非常に印象に残っています。
そこから自分なりに舞台用の脚本や校正を勉強してオリジナルの舞台脚本を書き始める中で、僕の中でイメージしていた『女医レイカ』を是非、鳳さんに演じてもらえればと思うようになりました。僕の方こそ片思いだと思っていたので、実は両思いだったのは嬉しいですね。
1999年に名取裕子さん主演でテレビドラマ化された時は、名取さんと打ち合わせしながら、2時間にどう脚本をまとめあげるかという作業をやってきました。その様にして、僕の書いた作品が漫画やテレビとなって多くの人の目に触れてもらってきたので、また改めて自分の作品をもう一度観てもらうチャンスかなと思っています。
今回、僕は総監修という形で関わりますが、発刊から時間が経って、SNSによる誹謗中傷やPTSD、子供への虐待など、現代ならではの心の闇を盛り込む必要があると感じます。約30年が経ち今だから描けることも多いので、新しい女医レイカとして多くの人に届けられたらと思います」
原作の世界観を壊さずにプラスアルファを
――― 鳳さんは主演だけでなく、脚本や演出にも挑戦されますが、表現したいレイカ像はありますか?
また、木村監督は映像作品で培われた経験を、どの様に舞台作品に反映されたいですか?
鳳「私自身も脚本も演出もまだまだ駆け出しです。自分の頭だけだと、ただ暗い作品になってしまう恐れもあるので、そこはもう剣名先生と木村監督の多大なお力を頂いて、エンターテインメントにしていけたらと思っています。レイカについては、“アイスドール”という名前を付けられているほど、冷静沈着でほとんど感情を表に出さない印象がありますが、私自身が表に感情が出やすいので、自分で自分の手綱を握らないといけないなと思っています(笑)。またクールなイメージだけではなく、レイカが持つ慈悲深い一面も表現したいです。あとは知的なセクシーさですよね……。」
剣名「そこはもう是非、期待したいところです!」
鳳「はい、そこは近づけていけるように努力したいと思います! 沢山のファンの方が待っていらっしゃるので、絶対に女医レイカ像を壊すようなことだけはしたくないですね。観てくださった方から『確かに女医レイカだった』と言ってもらえるように演じたいです。当時とは少なからず時代背景も違っていますが、根底にある部分は同じだと思っていて、苦しみや悩みを抱えた人の心に一筋の光を当てることができるような作品になれば嬉しいです」
木村「原作があるのでキャラクターは固まっていますが、どうしても舞台は生身で演じるものですので、漫画の世界観を壊さない程度にプラスアルファの要素を出せたらと思っています。
また発表から30年近く経っていることもあり、時代背景などの違いがありますが、現代の人が観ても納得できる形を目指していければと。でも僕としては新作を作る気持ちで臨みたいと思っています。今回扱うテーマの1つに、ネット上の書き込みがありますが、それを舞台でどう表現するか。プロジェクションマッピングも1つの手法として考えていますが、また別の演出があるかもしれません。2時間という限られた時間で、いかにストーリーを表現するかが大切になってきます。
ただ、映像というフィルターを通すのではなくて、そこにいる生身の人間が演じるというのが舞台の強みでもあるので、例え出来上がった脚本で全てを表現できなくても、お客さんに伝わるものはあると信じています。少なくとも剣名先生が首をかしげる様な作品だけにはしたくないなと(笑)。うなずいてもらえる様な舞台にするつもりです」
剣名「それは大丈夫ですよ。メディアが違えば表現方法も違ってくるので、原作者としては漫画の世界にプラスアルファの要素を期待しています。キャラクターの解釈は色々あっていいと思います。お二人の感性を存分に生かして、『レイカ=クール&ビューティー』というイメージにさらに新しい魅力を入れてもらえたら嬉しいです」
今後新たな展開も!?
――― 益々、公演が楽しみになってきました。最後に読者にメッセージをお願いいたします。
鳳「これまで自分自身が映像作品の現場を踏ませて頂く中で、先輩方のすごい演技を目にしてきました。その現場で味わった経験をお客さんにも味わってもらえるような機会を作りたいと思ったのが劇団旗揚げのきっかけです。
スクリーン越しでは体験できない空気感を皆様に味わってもらうために、臨場感がより感じられるサイズの劇場でやらせてもらいます。漫画を越える作品になるように、再び女医レイカさんからのラブレターをお届けしたいと思います。是非ご期待ください!」
木村「原作ファンの方が観にいらして、舞台の方も良かったねと思えるように、メッセージを発信できる作品にしたいと思っています。是非劇場にお越しください」
剣名「レイカは非常に思い入れの強い女性の1人であり、もう永遠に会えないと思っていた恋人に、別の形で再会できる喜びは何物にも変えがたいものがあります。作品を書いた約30年前は、精神的な疾患に対する偏見は現代より強く、人々の理解も進んでいませんでしたが、インターネットの登場によって、顕在化した一方で、未だに人の心に潜む闇は決して無くなっていないし、むしろ鮮明になったと思います。
改めてこの時代でこの作品を上演することによって、闇の中に何か光をもたらすことを出来たらと思っています。この舞台を機に、今後、新たな展開も考えているので、ファンの方も、初めて女医レイカを知ったという方も、是非観に来て頂けたらと思います」
(取材・文&撮影:小笠原大介)
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February 05, 2020 at 04:34PM
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