■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪
COVID-19の影響で急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)のように、私たちの生活は常に変化にさらされている。伝統工芸も然りだが、昔から続くものであっても変化の影響を受けないとは言えず、同じことは祈りの形にも当てはまる。今回紹介するアイテムたちは、変化する私たちの生活様式に対応するように自らを変化させてきた祈りのアイテムたちである。
いつまでも眺めていたくなる骨壺『こころぼし』
亡くなられた方のお骨は海外では海に撒くケースもあるが、恐らく日本では納骨堂などに納めるケースが大半ではないかと想像する。一方、全てもしくはその一部を手元に置いておくニーズもあるようで、そうしたニーズに応える製品も登場してきている。この『こころぼし』は手元にお骨を置いておき手元供養するためのアイテムであるが、特徴的なのは宇宙空間に浮かぶ惑星をモチーフにしている点。現在発売されているもののラインナップは碧色、緋色、白茶の3種類だが、どれもずっと眺めていたくなるような魅力を持った綺麗な色をしている。手作業による着色のようで1つ1つ表情が異なるそうである。なお、本体は真鍮製で着色に関わったのは銅器で有名な高岡の職人たち。日本の高い技術が反映された骨壺となっている。
各色ともに価格は税込み22,000円で「九乗おりん」のオンラインストアから購入することが可能だ。
手のひらサイズの神棚(?)『TEINORI KAMI』
『TEINORI KAMI』は現代の住宅事情にも合致した今の時代の神棚と言えるかもしれない。なにせそのサイズは幅90㎜、奥行き50㎜と女性の手のひらに乗ってしまうほどコンパクトだからである。重量も40gしかなく、それだけ軽いわけは素材が木と紙だけで作られているからである。木でできた台座のスリットに、紙で作られた土器(水玉、瓶子、高杯、榊立)を挿し込んで使用する。木と紙だけで作られているので落として割れてしまうこともなく、小さな子どもいる家でも安心して設置できる点がメリットのひとつかもしれない。既存の形とあまり異なるそのいでたちに反感を覚える人は少なくないだろうと想像するが、祈りの形は本来人それぞれなので、本人がそれで良しとするのであればそれに対して言うことはないと私は考えている。
価格は税込み4,298円で「一般社団法人 神社崇敬会」のオンラインストアから購入することが可能だ。
形式ばることなく純粋に神札を設置するホルダー『神札ホルダー tower』
神札や破魔矢を頂いたものの予め設置する準備ができていなかった場合、このような神札ホルダーを使用してみるのはいかがだろうか?『神札ホルダー tower』は壁に設置して神札や破魔矢を納めることができるスチール製のホルダーである。神札ホルダーとしての神聖さにはいくばかりか欠けるデザインであるが、現代の家の光景には馴染むものであるし、値段もお手ごろなので購入に踏み切るハードルも低いのではないかと思う。せっかく頂いた神札を放置して汚してしまうよりは、このようなホルダーできちんと祀ることの方が大切ではないだろうか。
カラーラインナップはホワイトとブラックの2種類。価格は各々税込み1,980円で楽天市場から購入することができる。
個別化が進んだ位牌『森の位牌』
最近の医療業界における一つの潮流は個別化医療である。薬側に当てはめて患者さんをグルーピングするのではなく、患者さんひとりひとりの個性や希望にあった医療を提供していこう、という流れが加速している。そんな個別化の波はこんなところにまで押し寄せているようで、こちらの『森の位牌』、なんと108種類もの天然木・銘木からその素材を選ぶことができる木製の位牌である。選択できる木材の中には林檎やさくらんぼといった果物のカテゴリのほか、キングウッドなどの楽器に使われるもの、樹齢1000年を超える神代クス、神代ケヤキなど、その背景もまた多種多様なものとなっている。見た目の色だけでなくそうした背景情報もまた選択する際の判断材料になるだろう。
価格は素材の稀少性等により異なるが、税込みでおよそ35,000円から65,000円の幅で販売されている。購入は「いのりのオーケストラ ショップ」から行うことができる。
身に着けるだけで速攻性がありそうな携帯する鬼瓦『鬼顔守』
社寺や住宅の守り神として建物の屋根に設置されてきた鬼瓦。東京で目にする機会は稀であるが、日本を旅行する中では出会うことも少なくなく、その独特のデザインとインパクトに惹かれてついつい見入ってしまう。そんな鬼瓦で培われた技術を使い、“悪縁を祓い良縁を祈願する”ことをコンセプトに作られたお守りがこちらの『鬼顔守』である。ご覧のように鬼瓦の形をそのままお守りの形に変えたような姿をしており、そこに秘められたパワーの大小は別として、見た目の印象で悪縁を祓う効果は速攻で得られるだろうと確信している。“近年目にすることの少なくなった鬼瓦を多くの人に知ってもらいたい”という思いから生まれた製品とのことで、このような動きは他の伝統工芸品にも見られるものである。
こちらの製品はクラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトが行われていたが見事に予定金額を達成して終了となっている。2021年6月5日現在、商品化した製品を税込み5,500円から購入することができる。購入は本プロジェクトのサイトから行ってもらいたい。
text/Wataru KOUCHI
からの記事と詳細 ( 現代の生活様式に溶け込んだ祈りのアイテム5選| - @DIME )
https://ift.tt/3hqhgME
0 Comments:
Post a Comment