デジタル通貨を実際に発行した中央銀行は今なお限られているが、2020年10月のバハマに続き、本年、東カリブ中央銀行も4カ国での試験発行に踏み切った。カリブ諸国の積極姿勢の背景について、元日銀局長の山岡浩巳氏が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第46回。 現在、中央銀行が発行するデジタル通貨(中央銀行デジタル通貨)が世界的な注目を集めています。この背景としては、中国が「デジタル人民元」について積極的な実験を行っていることなどが指摘できます(第6回参照)。 もっとも、現時点でデジタル通貨を実際に発行している中央銀行は限られています。最も早くからこの検討に取り組んできたスウェーデンもなお発行の決定には至っていませんし、デジタル決済インフラ“Bakong”の検討を進めているカンボジアも、中央銀行自身が、「Bakongは中央銀行デジタル通貨ではない」と述べています(第24回参照)。
この中で、積極姿勢が目立っているのがカリブ諸国です。バハマは昨年(2020年)10月20日、世界で初めて、中央銀行デジタル通貨を正式に発行しました(第21回参照)。そして本年3月31日、東カリブの8カ国・地域(アンギラ、アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントクリストファー・ネビス、セントルシア、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、ドミニカ国、モントセラト)が共同で運営する「東カリブ中央銀行」も、デジタル通貨「DCash」の試験的発行を開始しました。 ■ カリブのデジタル通貨「DCash」 東カリブ海の国・地域は1981年、「東カリブ諸国機構」(Organisation of Eastern Caribbean States, OECS)を組織し、1983年には「東カリブ中央銀行(East Caribbean Central bank, ECCB)を設立しました。この中央銀行は、東カリブの国々や地域で使われる共通通貨「東カリブ・ドル」を発行していますが、東カリブ・ドルは米ドルにペッグされた通貨であり、もともと「金融政策の独自性」はありませんでした。この点は、既に中央銀行デジタル通貨を発行しているバハマと同じです。 そして、東カリブ中央銀行は2019年3月から中央銀行デジタル通貨に関するパイロットプロジェクトを進め、本年、中央銀行デジタル通貨“DCash”を試験的に発行しました。この試験発行に参加しているのはアンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントクリストファー・ネビス、セントルシアの4カ国です。今後、1年間の試験期間を経て、東カリブ中央銀行は、DCashを加盟全8カ国向けに正式発行するかどうかを決定することになります。
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