日本美術の墨表現に着目した企画展「ひろがる墨−五彩に出会う」(東京新聞水戸支局後援)が二十八日、北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開幕する。県近代美術館が所蔵する近現代の日本画を中心に六十二点を展示する。
「墨に五彩あり」との言葉通り、みずみずしく発色する墨の美しさは、見る者に色彩を感じさせる。鎌倉時代に禅とともに中国から伝来した水墨画の伝統は、近現代の日本画に引き継がれ、洋画などでも新境地が開拓された。
本展では、県ゆかりの横山大観や小川芋銭(うせん)ら日本画家のほか、室町時代後期の画僧雪村、洋画家の岸田劉生、現代作家の墨作品が並ぶ。大観の代表作「朝霧」は、墨のぼかしを生かしながら巧みに空気感を演出している。
同館がメインテーマにすえる岡倉天心のコーナーも設けられ、愛用のすずりや筆立てを紹介。自作の漢詩をつづった「登慈雲寺偶感(じうんじにのぼるぐうかん)」は県内初公開となる。
二十七日は内覧会が開かれ、地元関係者ら約三十人が一足早く鑑賞した。塩田釈雄(しゃくゆう)学芸員は「墨一色だが、その中にあるさまざまな味わいと出会ってほしい」と来場を呼びかけている。
会期は九月二十六日まで。原則月曜休館。問い合わせは同館=電0293(46)5311=へ。(佐藤圭)
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