「労働力の搾取」と聞いて、なにを思い浮かべるだろうか。売春宿? 麻薬農場? 繊維工場? 驚くことに、イギリスではネイルサロンが奴隷制度の温床になっているという。
サービスの安さに惹かれ、労働者の背景にまで考えが及ばない消費者。政府による十分とはいえない「現代の奴隷制度」対策──その現状を、強制捜査の様子と織り交ぜつつ英紙が伝える。
格安10ポンドネイルサロンの正体
南ロンドンの小さな町、ペッカム。ここで店を構えるネイルサロンが、オンラインレビューでさまざまな評価を得ていた。
「ペッカムで最高のネイルサロン」と評価する人は少数派で、ほとんど不満だらけだ。「安かろう悪かろうだね」とコメントする人もいる。ちなみにこの店では、フルマニキュアがたったの10ポンド(約1400円)だ。
レビューのなかでもっとも多かったのは、スタッフに関するコメントだった。
「若い子たちが、とにかく実践しながら仕事を覚えてるみたい」
「スタッフは英語を話さないから、コミュニケーションがほぼとれないに等しい」
そして「スタッフと英語でコミュニケーションがとれない」事実が、同店も搾取の容疑で「調査が必要なネイルサロン」のリストに名を連ねた原因のひとつである。
ある木曜日の午後、粗末な店に20人の警察官が強制捜査に乗り込んだ。後に3人が人身売買の容疑で逮捕された。怯えた面持ちの若い従業員4人は、議会が運営する避難民収容センターで一時的に保護され、治療とアドバイスを受けることになる。
故郷から遠く離れたトラックのなかで
老舗ネイルサロンが消えるにつれて安価な店が取って代わり、ハイ・ストリートの顔となった。そしてここ20年間で、ネイルサロンは「セレブにのみ許された贅沢」から「誰でも気軽に楽しめる自分へのご褒美」となったのだ。
しかし、低価格であることは、そこで働く人々にとって「何を意味するのか」──この点における世間の認識はかなり曖昧だ。
大麻農場や売春宿を搾取と関連づける方がまだ分かりやすいだろう。だが、通りに堂々と店を構えるネイルサロンが、現代の奴隷制度の温床になっているとはまるで思えないのだ。人畜無害なはずのサービスが重大な犯罪と結びついているなんて、誰が想像できるだろう。
イギリスのネイル業界において、社会的弱者であるベトナムの若者に関する懸念は、過去10年間で徐々に高まっている。
エセックスでは10月、39人のベトナム人がトラックの冷蔵コンテナから遺体で発見された。10人はまだ10代だった。被害者のひとりであるファム・ティ・トラ・マイは、トラックから母親にメッセージを送っている。
「ママ、ごめんね。海外の旅はうまくいかなかった。ママ、本当に愛してる。私もう死んじゃうみたいよ。息ができないの」
反人身売買の専門家は、彼らはネイルサロンやレストラン、大麻農場で働くために連れて来られたのではと推測している。サザーク評議会は、昨年の夏からロンドン警視庁と共にネイルサロンの捜査をおこなっていたが、この事件をきっかけに活動が強化された。
しかし、この悲惨な事件がニュースになっても、10ポンドのネイルサロンの人気が衰えることはなかった。
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February 23, 2020 at 05:30PM
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