米ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報担当調整官は9月1日、ウクライナ軍がそれまでの72時間の間にザポリッジャの南で「顕著な前進」を実現したと述べた。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は同日、米CNNに対して、ウクライナ軍は前進しているものの「厳しい戦い」だと話した。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー氏は記者団に対して、「ザポリッジャ周辺から南へ進む戦線で、ウクライナ軍がこの72時間ほどの間に顕著な進展を果たした」と話した。さらに、「ロシアの第2防衛線に対して、(ウクライナは)一定の成果を上げた」と述べた。
「ただし、今後さらに南へ進軍しようとする中で、まだかなりの厳しい戦いが待っている」とウクライナは承知しており、ロシアが反撃するかもしれないことも、ウクライナはわかっていると、カービー氏は話した。
他方、ロシア国防省は1日、最大級の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」を実戦配備したと発表した。「サルマト」は10以上の核弾頭が搭載可能という。確かに実戦配備されたかどうか、第三者による確認はされていない。
ウクライナの反攻ペースで批判と反論
ロシアは2014年に併合したウクライナのクリミアと、昨年2月からの侵攻で制圧したウクライナ南部一帯を陸路として、ロシア本土から物資や兵員を運び込んでいる。ウクライナはこの陸の回廊を寸断するため、南部に部隊を進める反転攻勢を今年6月から開始している。しかし、その進捗(しんちょく)のペースは期待したほど速やかではないと、ウクライナ政府も認めていると、カービー氏は述べた。
カービー氏は記者団に対して、状況を客観的に観察している者にとって、ウクライナ軍によるこの成果は「否定しがたい」ものだと述べ、ウクライナ軍の前進が遅いと匿名で批判する「当局者」たちの発言は、「ウクライナが確実に成功するようにする取り組み全般に対して、何の助けにもならない」と付け加えた。
反攻を続けるウクライナ側は北大西洋条約機構(NATO)の加盟諸国に対して、戦車や地雷撤去装置のほか、アメリカ製F-16戦闘機の提供を引き続き強く要請している。
こうした中でクレバ外相は31日、スペイン・トレドで開かれた欧州連合(EU)外相会議に出席し、「反転攻勢のゆっくりとしたペースを批判することは、ウクライナの土地を1キロずつ進み解放するため毎日命を捧げているウクライナ兵の顔に、つばを吐くようなものだ」と記者団に述べた。
クレバ外相はスペインのホセ・マヌエル・アルバレス外相と並んで、「(ウクライナの反転攻勢を)批判している全員に黙れと言いたい。黙って、ウクライナへきて、自分で(ウクライナ領を)1センチでも開放してみろと言いたい」と述べた。
この発言後にCNNのインタビューに応じたクレバ氏は、「もしウクライナが失敗しているなら、おそらく私が真っ先にありのままの真実を口にする。しかし、私たちは失敗していない。むしろ前進している」と述べた。さらに、ウクライナの反攻のペースを批判する人たちは、実際に戦っている兵士たちがどう思うか考えるべきだと述べた。
「仲間2人が死んで、自分も死にそうになって、地雷撤去のために1キロも腹ばいになって匍匐前進(ほふくぜんしん)して、自分を犠牲にして、激戦でロシアの塹壕(ざんごう)を奪って」、「それで電話を開いたらいろいろな頭のいい人たちが、自分たちは遅すぎる、自分たちの働きはお粗末だと言っているのを読んだとしたら、どう思うか?」とクレバ外相は話した。
外相はさらに、「アメリカを含めて、私たちを助てくれるパートナーたちは、事態が正しい方向に動いていると理解している。悲劇や停滞などないというのも理解している」、「ただこれは厳しい戦いなので、こうなっているだけだ。厳しい戦いだ」と述べた。
ウクライナ政府は8月28日、ザポリッジャ州のロボティネ集落を奪還したと発表した。
一方、ロシア軍はウクライナ北東部クピャンスク近くで、戦略拠点となる高所を掌握したと主張している。
北東部ハルキウでは、昨年9月にウクライナ軍が奪還した州都ハルキウから東の地域を再び制圧するため、ロシア軍が大部隊を集結させている。
<関連記事>
ロシア軍は南部では、塹壕(ざんごう)やトンネルを広範囲に掘り、地雷や砲撃拠点のほか「竜の歯」と呼ばれる対戦車障壁で守りを固めているとされる。
からの記事と詳細 ( ウクライナは南部で「顕著な進展」=アメリカ政府高官 「厳しい戦い」とウクライナ外相 - BBCニュース )
https://ift.tt/E7Hd6wC
0 Comments:
Post a Comment