英国のジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相は8月30日、中国を訪問した。韓正国家副主席、王毅外相と会談した。英国の外相が中国を訪問するのはここ5年間で初めて。
会談の中でクレバリー氏は、香港に関し、国家安全維持法に伴う人々の権利や自由への悪影響を強調、中国の国際的な評判を落としているとした。さらに、服役中の香港の民主化活動家、黎智英氏にも言及した。続けて、台湾海峡の平和と安定が国際社会にとって重要であることを強調。また、新疆ウイグル自治区での大量投獄に対して英国が強い感情を抱いているとした。さらに、英国の国会議員に対する制裁の即時撤廃を求めた。そのほか、ウクライナや北朝鮮情勢、核の不拡散などに関して英国側の立場を明確にしたとしている。
一方で、クレバリー氏は韓正国家副主席および王毅外相との間で、気候変動などの国際課題について両国が直接協力することの重要性につき合意した。また、人工知能(AI)の潜在性については一致しつつも、リスクの緩和などに向けた国際協力の必要性も強調した。
クレバリー氏は会談に先駆け、気候変動やパンデミックの予防、核不拡散など、重要な国際問題は中国抜きでは解決できないとし、訪中は中国側の意思決定者と対面で議論し、問題提起をする上で重要としていた。
英国政府は、2023年3月に発表された英国の安全保障、国防、開発、外交方針を示した「統合レビュー改定版」の中で、中国は安全保障、価値観の両面で、国際秩序に対し「時代を定義づける(epoch-defining)」困難を与えているとし、パートナー国と連携して中国政府と関与していく意向を示していた。
また、クレバリー氏は4月に行ったスピーチで、対中政策の柱を次の3つに整理している。
- 中国政府の行動が英国の人々や繁栄に対する脅威となる場合は英国の国家安全保障を保護
- 国際法の順守のため、インド太平洋地域および世界の友好国、同盟国と協力
- 安定的な関係の促進に向け直接中国と関与
今回の訪中に対し、労働党のデイビッド・ラミー影の外務相は、13年間の保守党政権において対中政策が一貫していないことを指摘、明白な外交的勝利を得られるよう両国関係をコントロールする必要があるとした。自由民主党のレイラ・モラン報道官は、新疆ウイグル自治区、台湾、英国内の香港の民主化活動家に対する中国の行為を踏まえ、クレバリー氏は中国に対して送るべきシグナルを再考すべきと述べた。
(山田恭之)
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