きょうのNY為替市場でドル円は110円ちょうど付近での推移となっている。きょうの為替市場はドル売りが優勢となっているものの、それ以上に円安がドル円をサポートしている。一時110.40円近辺まで上昇していたが、この日発表のADP雇用統計が予想を大きく下回る弱い内容となったことでドル売りが強まり、ドル円は109円台に値を落とす場面もみられた。ただ、9月相場に入っても米株が底堅く推移しており、落ち着いた雰囲気が円売りに安心感を与えている模様。本日の21日線が109.90円付近に来ており、その水準の上で推移している。
ただ、ドルに対しては弱気な見方も出ており、年末までに下落する可能性も指摘されている。デルタ株の感染拡大が米経済に打撃を与え、市場は金利上昇期待を修正する必要があるかもしれないという。米景気回復鈍化の兆候が今後、より鮮明になるにつれ、FRBは金融政策を引き締めに転じるインセンティブが低くなる可能性がある。結果として、資産購入ペース縮小は予想以上に緩やかになり、その分、利上げ開始も遠のく可能性があるとしている。高インフレがドルの購買力に長く影響を与える一方、市場は金利見通しを調整する必要があると指摘している。
ユーロドルはリバウンド相場を加速させており、1.18ドル台半ばまで上げ幅を拡大。来週のECB理事会を巡って、ECB理事の加盟国の中銀総裁からタカ派な発言が伝わっていることもユーロドルをサポート。きょうは理事会メンバーのバスレ・スロベニア中銀総裁の発言が伝わり、「中銀は高インフレのリスクに無知ではない」と述べていた。ユーロドルは21日線を上放れる展開が続いているが、目先は7月末から8月初めにかけて上値を拒んだ1.19ドルの水準が意識される。
来週のECB理事会を巡って様々な見方が出ているが、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)に基づく債券購入の縮小を示唆したとしても、ドルとポンドに対するユーロの上昇は限定的になる可能性があるとの見方も出ている。ECBがPEPPの最後の数カ月での債券購入の段階的縮小を決定したとしても、FRBや英中銀と比べれば遅れるよう設定されるという市場の見方に、ほとんど影響は与えない可能性があるという。ECBは来週9日に理事会を開催する予定。
ポンドドルは東京時間に1.37ドル台前半まで値を落としていたものの、ロンドン時間以降は買戻しも入り、1.37ドル台後半まで戻している。この日発表のADP雇用統計が予想を大きく下回る弱い内容となり、ドル売りが優勢となっていることもポンドドルをサポートしている。
先週のパウエルFRB議長の演説が慎重姿勢を強調したこともあり、ポンドドルはリバウンド相場を継続しているものの、1.3810ドル付近に来ている200日線を試そうという雰囲気までは見られていない。英中銀は来年後半にも引き締めに転じると見られている中で、FRBやECBと比較すれば、タカ派なスタンスとも言える。金融政策面で見れば、ポンド優位とも言えるが、依然としてその気配は見られていない。
やはり、EU離脱に伴う影響がポンドを圧迫しているとの声も出ている。北アイルランドを巡る「ソーセージ戦争」と呼ばれる対立が英国とEU間にはある。EUは英国に対して、離脱に伴う冷蔵肉製品を英本土から北アイルランドに出荷できないようにする規制措置の適用を7月から3カ月間猶予している。しかし、その期限が今月末に来ることから、再び、英国とEUとの間が不安定になることが憂慮され、ポンドに積極的になれないとの声もあるようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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