Kyashは1日、銀行口座から入金した残高に対して年利1%の利息を付与する「残高利息」サービスを12月8日から提供する。Kyashの決済で使えるKyashバリューながら、1%という高金利での利息を付与することで、ユーザーに対してさらなる利便性を提供したい考えだ。
Kyashは、創業から総合的な金融プラットフォームの実現を目指しており、これまでは決済を中心としたサービスを展開してきた。2020年に資金移動業として登録したことで「デジタルバンク」としての事業展開が可能になり、さまざまな金融サービスを提供していく計画だ。
その一環が今回の残高利息。Kyashの決済サービスは、支払い元にクレジットカードや銀行口座を登録して決済を行うが、これまではKyashに残高を入金しなくても、リアルタイムにクレジットカードから支払えた。これに対して残高利息では、あらかじめ銀行口座から入金した残高に対して年利1%の利息を付与する。
利息はKyashバリューとして付与されるため、出金はできず、Kyashの決済でのみ利用できる。利息は毎日計算され、毎月1日に付与される。同社の鷹取真一社長は、「今まで決済のポイント還元もなるべくリアルタイムに、すぐにユーザーに届けていくことをポリシーにしていたので、それに準じた設計にした」と説明。早期に利息を付与する。
日本のキャッシュレス決済比率は順調に増加しており、支払い方は多様化したが、貯蓄の仕方は多様化していない、というのが鷹取社長の認識だ。そこで提供されるのが残高利息。Kyashは決済のたびに支払額の1%をポイント還元してきたが、さらに利息で1%を付与するため、「ためても1%、決済しても1%」(鷹取社長)の還元となり、「総合的にユーザーにとって便利なサービス」を実現したとアピールする。
対象となるのは銀行口座、セブン銀行ATM、コンビニエンスストア、ペイジーから入金された残高。入金された残高は全額保証される。
鷹取社長によれば、Kyashはユーザーあたり平均月20回の決済が行われ、決済金額は5〜10万円が中心だという。高額の買い物をたまにするという使われ方ではなく、日常での利用がメインというのが特徴。こうした使われ方から、月初に「今月使う分」を残高としてプールして日々の決済として使いながら、残高に対して利息が付いてさらにお得に使える、という利用を想定する。
Kyashが目指すのは決済サービスではなく、フィンテックをベースにした「デジタルバンク」だ。あくまでKyashは資金移動業のため、銀行と同じサービスはできないが、「お金の不便をテクノロジーで解決する」(同氏)ことが目標。そのため2021年以降、順次クーポンや与信・融資、支出管理、投資・保険、ペイロール、ローンといったサービスを早期に開始していく。
こうしたサービスを展開していくと、おのずと口座への残高チャージが必要になってくる。残高利息がその第一歩となることで、新サービスにつなげていく狙いもある。新サービスは「スピード感を持って提供する。2〜3年はかからない」(同氏)という勢いで準備を進め、貯蓄、決済だけではなく、個人のお金の問題を解決する新しいデジタルバンクを構築していきたい考えだ。
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