Tuesday, December 8, 2020

【しずおか・この人】漆に語りかけ67年 「現代の名工」漆塗師、新井吉雄さん(85) - 産経ニュース

新井吉雄さん
新井吉雄さん

 今年度の「現代の名工」に選ばれた漆工、新井吉雄さん(85)は、静岡市の伝統工芸品「駿河漆器」に「緑錦の変塗り」という新たな技法を生み出して技術の伝承に尽力してきた。18歳で漆塗師の父に師事し、4代目としてその世界に身を投じて67年目。これまでの苦労や後継者の育成、今後の抱負を聞いた。(小串文人)

 --静岡市は古くから漆塗りをはじめ木工家具など伝統工芸の“宝庫”ですが、漆塗師を継いだきっかけは

 「文献から知ったんですが、静岡の漆塗りの歴史は今川、江戸時代から伝わるものと記されていました。その頃からかどうかは不明ですが私の家は代々、漆塗師だったため、長男ということで高校を卒業してすぐに父、信雄に弟子入りして師事し、後を継ぎました。すぐに技法を習得できるものではなく、最初は掃除から始まって、67年たちました。私は4代目となっていますが、初代の以前から、漆塗りが家業だったらしいんです。ルーツを知りたいのですが、詳しいことは分かっていません」

 --漆塗りの技法を含め「駿河漆器」について教えてください

 「いろいろな技法があり、範囲は広いんです。私の家は『変塗り』を代々続けてきました。漆を塗り重ねて模様を作り、その上にまた塗る。そのあとに、静岡独特の『駿河炭』を使って仕上げ、きれいな肌(面)になるんです。『珊瑚塗り』『錦塗り』の変塗り技法を習得し、駿河漆器を代表することになった『緑錦の変塗り』(緑の濃淡の深みと銀の輝きが特徴)という新しい変塗り技法を生み出しました。漆は自分の思うようにはならないんです。湿度や温度の調整が難しく、『漆さんこんにちは』と語りかけるようにして漆に気持ちよく乾いてもらうようにすることが大事と思って、塗っています」

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