阪神は25日、浜地真澄(22)、糸原健斗(27)陽川尚将(29)、岩貞祐太(29)、馬場皐輔(25)の選手5人と球団スタッフ2人が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出たことを発表した。24日夜に2軍の浜地の感染が判明、浜地が20日まで1軍に帯同していたことから、すぐさま全員のPCR検査を実施した結果、ヤクルト戦に備え東京に移動していた1軍メンバーからも陽性者が出た。球団によると浜地と馬場は19日に名古屋での中日戦後に小川一平(23)、岩崎優(29)と4人で市内の飲食店の個室で会食。糸原、陽川、岩貞の3人も、福留孝介(43)、木浪聖也(26)、小林慶祐(27)、江越大賀(27)、球団スタッフの計8人で同19日に市内の別の飲食店を貸し切って会食していた。球団では各地の感染拡大状況等を考慮し、広島・名古屋遠征時の球団指定日に限り、球団関係者および家族との外食を許可していた。ただ個室を利用し人数は4名までで同一ポジションのメンバーは避け2時間程度、マスク着用などの細かい条件を付けていた。保健所は小川、岩崎を濃厚接触者に認定、福留、木浪、小林、江越は濃厚接触者に指定されなかったが、球団の独自判断で濃厚接触者扱いとして登録を抹消。名古屋で行われる予定だったウエススタンの中日ー阪神戦は中止となり、神宮でのヤクルトー阪神戦は、阪神が19人を入れ替え、残りのメンバーのPCR検査の陰性が明らかになったことからNPBと12球団の臨時実行委員会の裁定を待って決行された。2軍の浜地らは入院、他の1軍選手は東京のホテルで隔離されている。
阪神が犯した2つの間違い
実質的なクラスターを発生させてしまった背景で阪神が犯した”間違い”は2つある。ひとつは球団が個室、4人以内、2時間などの条件付きながら指定日を設けて会食を認めたことだ。今回の7人の感染経路は明らかになっていないが、この会食が原因と推測されている。個室、4人以内のルールを守った浜地が感染したのだから会食、そのものを認めた球団の管理が間違っていたことになる。 広島、横浜DeNA、日ハムなど遠征先での外食を一切禁止にしている球団は少なくない。選手の精神衛生上、長い遠征中の外食禁止は辛いことかもしれないが、そもそも新型コロナ禍で慎重論もある中、プロ野球の開幕を決定した際、感染予防の徹底が一番の条件とされていた。NPBはJリーグと合同で立ち上げた新型コロナウイルス連絡会議で専門家チームの助言を受けながら細やかなガイドラインを作成し、その徹底を各球団で合意。ガイドラインでは遠征時の外食禁止まで決められていなかったが、新型コロナウイルス連絡協議会では、専門家チームから、感染リスクが高く注意すべき具体的なケースが何度となく提言され遠征、移動、会食時の警戒が呼びかけられていた。 選手の管理は、各球団の裁量に委ねられていたが、阪神は、3月に藤浪晋太郎、伊藤隼太、長坂拳弥の新型コロナ感染者を球界で初めて出した球団である。しかも、この際も感染経路とされたのはタニマチ主催のマンションの特別ルームでの会食だった。 長い遠征期間の「選手の息抜き」に気を使い、会食日を9月では19日に1日だけ感染者の多い東京を避けて名古屋で設定したそうだが、まだ全国レベルで感染拡大がまったく収束していない状況で許可すること自体がどうにかしている。球団の判断が甘かったと断罪されても仕方がないだろう。 今は球界全体で我慢すべき時なのだ。
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