性加害問題の調査報告を受けて事務所が7日に開いた会見をどうみるか。芸能界の内幕を知るジャーナリストや音楽批評家に受け止めや、事務所側の狙いを聞いた。東山紀之氏が新社長に就任した理由はー。(戎野文菜)
◆がっかり。名前も変えないなんて…
「ジャニ研! ジャニーズ文化論」の著者の1人で音楽批評家の大谷能生さんは会見に落胆した。「評価できるのは犯罪を認めたというところだけ。もっと変わると思っていた。社名も変えて、分社化するのかと…。何も変わっていないじゃないか」
自身もジャニーズの大ファン。だからこそ、きちんと経営改革がなされた事務所でのタレントたちの活躍を願っていた。「ジャニーズの名前を変えないという選択は非常に問題がある。あれだけの犯罪をした人の名前を冠にしたまま会社を続けるというのは、普通では考えにくい。国際的にも認められないだろうし、タレントたちの海外での活動が難しくなるのでは」と懸念する。
新社長の東山紀之氏については「昔から藤島ジュリー景子氏の相談にのっていた人物で、ジャニーズ事務所にとっては身内。一心同体と言える。一番身内の人に会社を渡したのは、このまま続ける体制をつくりたいから。それはこれまでの体制を変える気がないということではないか」と批判した。
◆なくすべき部分、残すべき部分
メディアの責任についても言及。
「テレビには今もジャニーズ事務所に所属するタレントが出演し続けている。他のゲストが忖度してフリートークで性加害の問題を聞けないような状況もある。その光景をテレビを通して社会に見せることが最大の問題だ。これは暴力だと思う。これからのテレビ番組の制作者は大きな責任を負う」
一方で、元々ジャニーズは、テレビではなくステージでエンターテインメントを見せる集団だったといい、「ライブやミュージカルなどこれまでつくってきた舞台と劇場文化を残していってもらいたい」と願った。
◆会見の狙いは同情を誘うこと?
喜多川氏の性加害問題を追及してきたジャーナリストの松谷創一郎氏は、今回の会見にも参加し、「世間の同情を誘い、溜飲を下げるのが事務所側の狙いだった」とみる。
会見は4時間超の長時間に及び、記者の質問にすべて答えた。ジャニー喜多川氏による性加害を調査した外部専門家による再発防止特別チームの指摘にもすべて応えている。一見丁寧に対応しているようだが、「真摯に向き合っている姿勢を見せているだけ」と松谷氏は語る。
何をするのかという具体的な部分には事務所側が答えていないためで、「ふわっとしているんです」と強調する。「実際に何をするのか、今後の姿勢をチェックしないといけない」と呼びかけた。
◆意外と高得点 理由は…
ただ、松谷氏は今回の会見に点数をつけるなら「合格点が75点で、70点。合格するかしないかくらいの評価だ」と意外と甘め。
理由について「性加害を認め、補償をするとしたのは評価できる」と説明。「今までのジャニーズ事務所なら、マスコミの忖度に頼って否定していただろうから、そこは変わった」と受け止めた。
さらに、ジュリー氏が株式を手放していない点についても「本当は手放そうとしたけど、他企業との交渉が決裂したみたいだ」と擁護。
「社長も他の人を探したが見つからず、結局東山氏に頼んだようだ」と言い、問題視されている同族経営は「継続せざるを得なかったのが実情」との見方を示した。
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2023-09-07 21:00:00Z
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