
小田原市早川の丘陵地にあるみかん農園で11月30日、鈴木優介さん・こころさんの結婚式が行われた。果樹園を活用した新たな試みとして関東学院大学の学生が考案したもので、小田原の景観や地場産の果物を生かした企画は参列者からも好評だった。
会場となったみかんがたわわに実る農園は、数年前まではいわゆる耕作放棄地で荒れ放題だった。この再生にあたったのが、シニアネットワークおだわら&あしがら(SNOA)。シニアらに健康的な生活を送る居場所を提供することを目的とした民間団体で、その活動の一環として4年前から土地の開墾や苗木の植栽を行ってきた。
一方、関東学院大学は2018年、人生100年時代の到来で抱える課題の解決を目的に、神奈川県と包括連携協定を締結。人間共生学部の二宮咲子ゼミでもこのテーマについて研究にあたるなか、フィールドワークとして昨秋からSNOAの活動に参加し、作業を手伝いながらシニアとの交流も深めてきた。
地元産にこだわり
「仕事が忙しく、式を挙げていない姉に結婚式を贈りたい」。4年生の鳥海さくらさんは卒業研究テーマが「果樹園ウェディング」だったこともあり、活動で慣れ親しんだみかん農園を会場とした式を考案。ゼミの仲間の賛同を得て、SNOAが再生させた農園を若い世代にも知ってもらいたいという意味合いも込め、3カ月にわたって準備を進めてきた。
式の運営はもちろん、会場の備品からケーキに至るまですべて学生の手作り。みかんや米粉など、材料も小田原産にこだわった。鳥海さんは、「農園にはさまざまな活用方法がある」として、「今回の結婚式がひとつのアイデアとなり、SNOAの皆さんの活動が広がるきっかけになれば」と期待を込めた。
同じく4年生の柴山妃夏さんは東京都出身。「この農園から眺める海は、とにかく大きい。他の地域に住む人にとっては羨ましい環境」とし、イベント会場としても魅力ある立地と話した。
格式ばらない温かみのある式は、農園の再生に汗を流してきたシニアの参列者からも好評。SNOA代表の安藤和幸さんは、「こんな形で農園を活用できるとは思ってもいなかった」と学生に感謝を伝えた。
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December 06, 2019 at 10:00PM
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