尿や血液を使った郵送型検査キットサービスなどを手掛けるハルメク・ベンチャーズは、スマートフォン(スマホ)用アプリなどに健康診断のデータを入力すると、認知症のスクリーニングテストの1種であるMMSE(Mini-Mental State Examination)のスコアを推定して提示する「おうちで認知機能チェック」を発表した。健常者に対して、手元にある血液検査データなどを基に認知症のリスクを提示し、適切な受診を勧奨することを目的としたもので、いわゆる「0次スクリーニング」に当たる。個別検査としての時間や行動を取ることなく、病院外で安価に確認できるとする。
WebやスマホアプリのAPIなどとして提供するBtoB(事業者向け)のサービスとする。各種保険サービスや自治体、PHR(Personal Health Record)事業者などが自社事業・サービスに組み込む形で利用することを想定している。1検査あたりの価格は1000~2000円。既に複数の生命保険企業で採用が内定しており、加入時審査(引き受けリスク判定)への活用を検討する企業もあるという。
東京大学大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻 特任教授の酒谷薫氏による、血液検査データから深層学習を用いて認知症リスク判定を行う研究・発明がベースとなっている。認知症は生活習慣病や代謝機能障害といった全身性機能障害が影響すると考えられる。健康診断における血液検査データはこうした体の状態を反映していることから、酒谷氏は血液データに深層学習を応用し、MMSEスコアを予測するアルゴリズムを開発した。
血液を使った郵送型検査キットを扱うことから、血液検査結果の応用について情報収集していたハルメク・ベンチャーズが酒谷氏の学会発表を聞いたことがきっかけとなり、協業に至ったという。ハルメク・ベンチャーズが実用化に向けた検査項目の選定や法律上の課題対応などに関して支援し、事業化を実現した形だ。
今回のサービスで用いる健康診断の血液検査データは、HbA1C、GLU(グルコース、血糖)、γ-GTP、中性脂肪、AST(GOT)の5種類。これにBMIと年齢、性別を組み合わせる。認知症リスクはMMSEで28~30点に相当する「正常」、同24~27点に相当し軽度認知障害(MCI)が疑われる「やや低下」、同23点以下で認知症が疑われる「低下」の3段階で提示する。
24点以上と23点以下をカットオフとした場合、MMSE実測値に対するMMSE推定の感度特異度は80%とする。酒谷氏の研究では24種類の血液検査データとの相関を分析しており、今回のサービスでも残りの19種類の血液検査データを入力データとして追加することで、感度特異度で90%と予測精度を高めることができるとする。
からの記事と詳細 ( 認知症リスクを健診結果から推定、受診勧奨につなげるスクリーニングに - DIGITALIST )
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