国軍によるクーデターへの抗議デモが続くミャンマーで3日、少なくとも38人が死亡したと国連が明らかにした。クーデターが起きてからの約1カ月で「最悪の流血の日」だとしている。
国連ミャンマー問題担当のクリスティーン・シュレイナー・バーグナー特使は、衝撃的な映像が現地から出てきていると述べた。
また、クーデターが発生した2月1日以降、50人以上が死亡し、多数のけが人が出ているとした。
市民たちによる抗議行動と不服従は、ミャンマー各地で続いている。目撃者は、治安部隊がゴム弾や実弾を発砲していると話している。
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3日に多数の死者が出たことを受け、イギリスは国連安全保障理事会を5日に開催するよう要求。アメリカは、ミャンマー国軍に対する制裁強化を検討していると明らかにした。
近隣の東南アジア各国からは前日の2日、国軍に対して抑制を求める声が出ていた。
群衆に発砲との報道も
国連のバーグナー特使は3日、武器をもたないボランティアの医療関係者が警官に殴打されている映像を見たと述べた。別の映像には、デモ参加者が路上で銃撃され、死亡したとみられる様子が映っていたという。
「武器の専門家に聞いたところ、警察装備の9ミリ口径の短機関銃などに見える。つまり実弾ということだ」
現地報道によると、ヤンゴンなどの都市では、治安部隊がほぼ事前警告なしに群衆に向かって発砲しているという。
慈善団体セーブ・ザ・チルドレンは、14歳と17歳の少年が死亡したとしている。さらに、19歳の女性も死亡したとされる。
ミャンマー中部モンユワでは、抗議デモで少なくとも6人が死亡したとされる。地元ジャーナリストはロイター通信に、30人以上が負傷したと述べた。
ミンジャンでは、けが人が10人以上出ていると、ボランティアの医療関係者がAFP通信に話した。「向こうは催涙ガスを発射し、ゴム弾や実弾を発砲した」。
抗議デモ参加者はロイター通信に、「放水器は使われず、解散を狙った警告もなかった。いきなり銃を撃ってきた」と述べた。
マンダレーでは、抗議デモに参加した学生がBBCに、自宅近くでデモ参加者らが殺されたと話した。
「午前10時か10時半ごろ、警察と兵士がやって来て、市民に向かって発砲し始めた。警告はなかった」
「ただ現れて撃ち始めた。ゴム弾を使っていたが、実弾も使い、ひどい方法で市民を殺していた」
国軍は、死者が出ていると報じられていることについてコメントしていない。
国軍は強硬姿勢
クーデターを起こした国軍には、国際的な圧力が高まっている。これに対し国軍は、制裁措置や孤立に抵抗する準備はできているとしている。
バーグナー特使は国連に、国軍幹部らに対する「非常に強い措置」を取るよう求めている。特使は国軍幹部との協議で、制裁措置の可能性について警告したという。
「返答は『私たちはわずかな友人と歩んでいくことを学ぶ必要がある』というものだった」と、特使は米ニューヨークで記者団に語った。
そうした中、欧米諸国は追加制裁を検討している。
米国務省のネッド・プライス報道官は、3日の暴力行為にアメリカは「愕然(がくぜん)としている」と表明。「各国が一致して、ビルマ(ミャンマー)軍の国民に対する残忍な暴力を非難することを求める」と述べた。
プライス氏はまた、ミャンマーと長く同盟関係にある中国に対し、ミャンマー国軍に影響力を行使するよう求めた。
国連安全保障理事会はこれまで、ミャンマー情勢への懸念を表明しているが、クーデターを非難してはいない。常任理事国のロシアと中国が、内政問題だとして反対しているためだ。
一方、キリスト教カトリック教会のフランシスコ教皇は、「関係当局に、対話は抑圧に勝ることを強調したい。また国際社会に、ミャンマーの人々の強い希望が封じられないよう、対応を求めたい」とツイートした。
東南アジア各国の外相らは2日、急きょ会議を開き、ミャンマー情勢を話し合った。
外相らは国軍に抑制を求めたが、国民民主連盟(NLD)を率いてクーデターで拘束されたアウンサンスーチー氏(75)の解放を求める意見は、一部からしか出なかったという。
国軍は、NLDが大勝した昨年11月の総選挙で不正があったため、権力を奪取したとしている。これまでその証拠を示さないまま、選挙管理委員会のメンバーを入れ替え、来年改めて選挙を実施すると宣言している。
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