[東京/ワシントン 13日 ロイター] - 菅義偉首相は12日夜に開いた米国・オーストラリア・インドとの4カ国首脳会談(クアッド・サミット)で、インド太平洋地域の途上国に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を支援していくことで一致したと明らかにした。会談後、首相官邸で記者団に語った。海洋進出などを強める中国の動きに強く反対することを訴え、支持を得たとも述べた。
日米豪印の首脳会談は初めて。中国が地域で存在感を高める中、4カ国は連携を強めている。コロナ禍中のため今回はテレビ会議方式で実施したが、年内に対面方式で開くことを申し合わせた。
菅首相は記者団に対し、「中国による一方的な現状変更の試みに強く反対することを訴えた」と説明。クーデターで政権を起した軍が抗議活動を弾圧するミャンマー情勢に重大な懸念を持っていることや、北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決も訴えたと語った。
4カ国は共同声明で、ワクチン配布や気候問題、安全保障について緊密に協力することを約束。名指しは避けたものの、中国を念頭に「民主主義的な価値観に支えられ、抑圧によって制約されない、自由かつ開放・包括的で健全な地域を目指す」と表明した。
ワクチンについては、途上国支援の具体化などに向け、作業部会を設置することを決定。菅首相は「新型コロナ対策などの重要課題について議論を重ねていくことで一致した」と述べた。
会談には菅首相、バイデン米大統領、モリソン豪首相、モディ印首相が参加した。ブリンケン米国務長官が司会を務めた。
バイデン大統領は冒頭、「自由で開かれたインド太平洋の実現がそれぞれの国に不可欠。緊密に連携したい」と発言。菅首相は「米国のイニシアチブに感謝したい」と語り、「自由で開かれたインド太平洋実現を強力に進め、コロナ対応も含め、地域の安定繁栄に貢献したい」と抱負を述べた。
4カ国は2月18日の外相電話会談で、東シナ海や南シナ海への進出を強める中国を念頭に、「一方的な現状変更の試みを始めとする国際秩序に対する挑戦が続くなか、日米豪印4カ国が果たすべき役割は大きくなっている」との認識を共有。自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、各国が連携することで一致していた。
バイデン政権は対中政策を外交・安全保障分野の重点課題に位置付け、就任後初の対面での会談相手にインド太平洋地域の同盟国である日本を選んだ。菅首相は4月前半にもワシントンを訪問する。
日米は今月16日に外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)も東京で開き、連携強化に弾みをつけたい考え。
米国のサリバン国家安全保障担当大統領補佐官は、4カ国会議で南・東シナ海における「航行の自由と抑圧からの自由」や北朝鮮の核開発、ミャンマーの圧政などの問題が話し合われたと指摘。ワクチンについて、首脳らは2022年末までに南東アジア地域へ最大10億回分のワクチンを供給する方針と明らかにした。
また、インドのシュリングラ外務次官は、米国のワクチンをインドで生産する方向で各首脳が合意したと述べた。
*情報を追加します。
山口貴也 編集:久保信博
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